F1第17戦アゼルバイジャンGPの決勝レース、残り2周となった50周目の1コーナー。3番手を走行していたセルジオ・ペレス(レッドブル)はDRSを使用して2番手のシャルル・ルクレール(フェラーリ)に追いつき、サイド・バイ・サイドとなった。イン側を守ったルクレールをアウト側から抜こうとしたが、抜ききれなかったペレスは1コーナーの出口が苦しくなり、4番手のカルロス・サインツ(フェラーリ)に1コーナーの立ち上がりでかわされてしまう。
3番手に上がったサインツは今度はチームメイトのルクレールのアウト側に並びかけるが、抜ききれずに、今度は自分が2コーナーの出口で苦しくなり、立ち上がりでペレスに並びかけられてしまう。
速さを取り戻したペレス、接触で表彰台を失い、ノーポイント「心の底から悲しい」レッドブルは選手権首位から陥落
その直後、2台は接触。コントロールを失ったペレスとサインツは絡み合いながら、コンクリートウォールに激突し、レースを終えた。
ペレスはこう振り返る。
「ターン2でカルロスはシャルルの後ろに少し詰まったように見えたので、僕はターン2の立ち上がりでスピードを上げて、カルロスに並びかけたら、彼は突然僕の方に寄ってきて、僕のフロントタイヤに接触してきて、僕のレースは終わってしまった」
クリスチャン・ホーナー代表も、事故の責任はサインツにあるという見方をしている。
「重要なのは、両ドライバーとも無事だったことだが、リプレイ映像を見る限り、カルロスが左側に寄って行ったことが確認できる。とても残念だ。なぜなら、今日のチェコは表彰台はもちろん、優勝できるペースがあったからね」
だが、レース後、レース審議委員会はサインツにペナルティを科すことはしなかった。
「調査の結果、ターン2の出口で、どちらのドライバーもハンドル操作に乱れはなく、両者ともハンドルはニュートラルな状態を保っていたことが確認された。にも関わらず、事故が起きたのは、わずかに先行していたサインツは自分のラインを走る権利がありながら、視界の狭い(イン)側に向かってわずかに動いたからだった。 一方で、ペレスのライン取りには何の異常もなかったが、彼は視界がより良好だったことを考えると、前のクルマを避けることができたはずだった。この事故はちょっとした接触が重大な結果を招いたという典型的な事故だった。ただし、審議の対象となったのは、結果ではなく、その事故がどのようにして起こったかということ。それゆえ、スチュワードは、これはレース中に起こりうる出来事であり、両ドライバーに大きな過失はないと判断し、これ以上の処置はとらない」
スチュワードはサインツの動きに事故を招いた一因があるとしながらも、その事故をペレスは避けることができたと結論づけた。スチュワードの決定が常に正しいわけではないが、たとえ責任がサインツにあったとしても、ペレスとレッドブルが失ったポイントは返ってこない。
このレースでペレスが無得点に終わったレッドブルは、コンストラクターズ選手権でマクラーレンに逆転された。
レッドブルがシーズン後半戦においてコンストラクターズ選手権でトップの座を明け渡すのは2021年以来3シーズンぶりのこと。2014年のオーストラリアGP以来、10年以上ぶりにコンストラクターズ選手権で首位に立ったマクラーレンに対して、第11戦オーストリアGP以降レッドブルの方が多くポイントを獲得したグランプリは一度もない。
コンストラクターズ選手権争いは、バクーで完全に攻守が入れ替わった。
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