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大人気ミニバンの生き残りを賭けた戦い ノア/ヴォクシー/エスクァイア3兄弟の行方

掲載 更新 17
大人気ミニバンの生き残りを賭けた戦い ノア/ヴォクシー/エスクァイア3兄弟の行方

 2020年5月からトヨタの全モデル全系列店扱いになって以来、10ヶ月あまりが経過した。それにともない、トヨタの人気ミディアムミニバンである「ノア/ヴォクシー/エスクァイア」に、販売戦線で大きな変化が見られている。

 これまで3兄弟それぞれの個性を背景に、それぞれの販売系列の顧客層に合わせてそれなりに売れていた3モデルであったが、その売れ行きに「偏り」が出てきた。絶好調のヴォクシー、まずまず堅調なノア、激減ですっかり影が薄くなったエスクァイアといった、マーケット評価である。

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 本稿では、大人気ミニバンであるノア/ヴォクシー/エスクァイア3兄弟の現状の販売戦線と、今後の動きについて、ディーラー営業マンに取材してみた。

文/遠藤徹 写真/平野学

【画像ギャラリー】トヨタの大人気ミニバン「ノア・ヴォクシー・エスクァイア」3兄弟を画像で見る

■販売系列の統合の影響により販売前線に大きな変化が...

 今年(2021年)1~2月の登録台数累計と前年同期比は、ヴォクシーが1万3760台で11.9%増、ノア7781台で8.2%増、エスクァイア2462台で61.5%減といった具合。ヴォクシーがノアの2倍近く売れていて、エスクァイアは前年同期に比べて3分の1近くまで落ち込んでいる。

 登録車の銘柄別ランキングでは2月時点でヴォクシーが8位でベスト10の圏内で健闘、ノア17位、エスクァイア41位と、大きな格差がついたわけだ。

登録車の銘柄別ランキングによると、ヴォクシー8位(写真左)・ノア17位(写真真ん中)・エスクァイア41位(写真右)となっている

販売系列の統合により、販売状況に差が出ている

 これまでヴォクシーはヤングファミリー、ノアはファミリー層全般、エスクァイアは高級感を求める独身&ファミリー層と、コンセプト分けをした仕立てで売り分けてきた。

 これが販売系列の統合で、売れるクルマはますます売れ、やや売れ行きが厳しい車種はますます売れなくなってきている。

 2020年4月の一部改良で、ノアは引き続き5ナンバーの標準タイプや3ナンバーのエアロボディなどほとんどのグレードを継続販売態勢にしたのに対して、ヴォクシーは3ナンバーのエアロボディおよび特別仕様車「ZS煌III」にグレードを絞り、5ナンバー車を廃止。そしてエスクァイアは上級グレードのみと、商品ラインアップを再編している。

 これは何を意味するのか。トヨタの各販売店は、このグレード再編を、「次期型への世代交代時にはヴォクシー&エスクワイアを廃止し、新型ノアに1本化するつもりなのだろう」と受け止めた。

 しかし、前述したように最近のマーケット評価は異なった。エスクァイアは思惑どおりだが、ノアが期待ほど売れておらず、ヴォクシーが予想を大きく裏切る結果になっているのである。

激減ですっかり影が薄くなった エスクァイア

■販売側の予想と異なり、ヴォクシーに人気が集中!

 ヴォクシーが好評なのはフロントマスクを中心としたワイルド感のある個性的なデザインを採用していることである。

 全トヨタ系列店併売になったことで、人気が集中。「これまで独身の若者やヤングファミリーが主要ターゲットであったが、最近のヴォクシーは40代、50代のミドルファミリーまで拡大しているよう変遷している」(首都圏ネッツ店営業担当者)と指摘。

 こうなると開発するメーカーのトヨタも今後の方針を変えざるを得ない状況になりつつある。

「3兄弟を統合し、新型ノアに1本化するのは基本だが、ヴォクシーもなんらかの形で残すようにしないと、戦略的にまずい、という考え方が浮上している。ただその継続の仕方が課題になる。」(販売店関係筋)というのである。

 次期型にバトンタッチする際、新型ノアと新型ヴォクシーの2本立てにするのと、あるいは新型ノアのみを世代交代し、ヴォクシーは現行モデルを継続販売するという方法である。どちらが有力かは現段階ではまだ明らかになっていない。

■次期型は2022年に投入か⁉

 次期型の投入時期(フルモデルチェンジ)は今のところ2022年4月が有力である。

 当然のことながらトヨタの次世代における新しいクルマづくりの考え方である「TNGA」による新開発のプラットフォームを採用。

 ボディサイズは全長&全幅はほとんど同じだが、全高を50mm程度引き下げ、走行安定性を向上。ホイールベースを約50mm引き延ばすことで、室内の居住空間拡大と使い勝手&走行性を改善する。

 エクステリアデザインはキープコンセプトで全幅1695mmの5ナンバーサイズと1750mm程度のエアロバージョンとの2ボディ構成は引き継ぐ。

 パワーユニットはガソリン2L&1.8Lハイブリッドの搭載は継続する。ハイブリッド用バッテリーは従来のニッケル水素からより高効率&コンパクトのリチウムイオン方式に切り替える。

1.8L+モーターのHVユニット

 駆動方式は従来の2WDに加えて4WD車も設定する。大型ディスプレイオーディオは10インチ以上を標準装備する。安全・安心パッケージのトヨタセーフティセンスは最新に進化したデバイスを標準装備するなどとなっている。

 2LハイブリッドはレクサスUXで実用化しているが、トヨタブランド車については、とりあえず次期型は1.8Lのままリチウムイオンバッテリーと組み合わせれば十分に出力&燃費の向上で対応できるとの判断があるようだ。

■「ライバルも来年チェンジ」証言1:首都圏カローラ店営業担当者

 3兄弟の最近の販売推移だと、カローラ店はノアの売れ行きが最もよく、次いでヴォクシーも好調だが、エスクァイアはほとんど買い手がいない状況にある。

 次期型では車種統合が進む、という話も聞いている。ノアが残るのはほぼ間違いないが、ヴォクシーもフルモデルチェンジして、ノアとの2車種態勢になるのではないか。

「カローラ店ではノアの売れ行きが最も良い。ノアが残るのは間違いないだろう」と営業マン

 そうなるとエスクァイアだけが廃止となる見通しで、これはノア、ヴォクシーのそれぞれの上級志向グレードにその名が残るということだと予想している。

 他メーカーのライバル車種と比べると、充分有利なところはあるが、セレナやステップワゴンも2022年中にフルモデルチェンジする見通しだと聞いているので、世代交代する必要があるだろう。

■「リセールバリューはヴォクシーが圧倒」証言2:首都圏ネッツ店営業担当者

 当社では3兄弟の中では圧倒的にヴォクシーが最も良く売れている。リセールバリューも5年経過で20万円以上もノアやエスクァイアを引き離しているので、もし三車種のなかでどれかを廃止してどれかを残すというのであれば、ヴォクシーを残すのが自然といえる。

3兄弟の中で圧倒的に売れているヴォクシー

 最近は特別仕様車の「ZS煌III」が圧倒的に売れている。次期型でもこのコンセプトは引き継いで欲しいところだ。

【画像ギャラリー】トヨタの大人気ミニバン「ノア・ヴォクシー・エスクァイア」3兄弟を画像で見る

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みんなのコメント

17件
  • ノアとヴォクシー見るけど
    エスクァイアは、そんなに走ってないようなきがする
  • ホント、ベストカーって
    クルマ「だけ」しか見てないにわかだよな。

    今の全車種取り扱い前のラインナップで見たら
    ノアはカローラ店だからファミリー向け、
    ヴォクシーはオラオラ好みなネッツ店のクルマ、
    そしてエスクァイアの場合、そもそも扱っていたのは
    高級セダンを扱うトヨタ店とトヨペット店だから
    ノアとヴォクシーより勢いが小さいことなんて
    最初から分かっていたようなものでしょ。

    でもさ、3兄弟を統合されていちばん困るのは
    実は日産でしょうね。唯一残されたドル箱に
    トドメをさすことになるし、そんなことを
    ルノーが知ったら「トヨタより売れてないじゃん、
    それじゃ次期モデルの開発は凍結ね」って
    最悪な事態も迎えかねないから。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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