日産自動車は2021年2月4日(日本時間5日)、大型SUV『パスファインダー』と、ミッドサイズピックアップトラック『フロンティア』をフルモデルチェンジし、2021年夏より、北米市場で発売すると発表した。
日産は、2020年5月に発表した事業構造改革「Nissan NEXT」に基づき、現在製品ラインナップの変革を進めている。今回の新型パスファインダーと新型フロンティアは、その中核を担うモデルであり、絶対に外してはならない旗艦モデルでもある。
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本稿では、今回公開された情報を元に、新型パスファインダー、そして新型フロンティアどのように進化したのか、確認していこう。
文/吉川賢一
写真/NISSAN
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■堅牢かつモダン、ボクシーなデザインでさらにカッコよくなった、新型パスファインダー
現行型パスファインダーが登場したのは2012年のこと。同社のラージサイズクロスオーバーSUV『ムラーノ』と同じDプラットフォームを採用する全長5m級の7人乗りクロスオーバーSUVだ。主に北米にて販売されている。
今回発表された新型は、四角くて無骨なデザインではあるが、モダンな雰囲気も漂わせている。特に、フロントフェイスは、C字型につながったシグネチャーライトとヘッドライト、新形状のVモーショングリルなど、非常に力強い表情だ。
サイドビューは、厚みのあるブリスターフェンダーや大きなカーゴエリア、そして短いフロントオーバーハングで、タフさを感じられるつくりとなっている。リアに入った新しい日産エンブレムと、「PATHFINDER」という文字も効いており、直線的なラインを使ったスクエアなデザインがうまく織り込まれ、従来型よりもはるかにカッコよくなった。
スリースロットグリルと組み合わされたVモーショングリルは、初代パスファインダーをオマージュしたそうだ
ツートンカラーを採用したCピラー。またリア部分は、初代パスファインダーを彷彿とさせる、スクエア形状のデザインが取り込まれている
初代パスファインダー(日本では初代テラノ)にあったスリースリッドグリルがオマージュされ、新型パスファインダーにもついている。右は現行型パスファインダー
インテリアは、ブラックを基調としており、派手さはないが、シックで引き締まった雰囲気だ。新形状のステアリングホイールの奥には、12.3インチのデジタルディスプレイを新たに採用。10.8インチサイズのヘッドアップディスプレイも備えている。シフトノブは、電動シフターが採用されており、宙に浮いたようなセンターコンソールの下側は、収納スペースとなっている。
前席シートはたっぷりとしたボリュームで、長距離でも快適な移動ができることだろう。標準仕様の乗車定員は8人で、パスファインダーとしては初採用となる、2列目にキャプテンシートを採用したグレードも設定された。
ブラックを基調としたインテリア 前方がよく見える
新形状のステアリングホイールの奥には、12.3インチのデジタルディスプレイを新採用
電動シフターを採用。宙に浮いたようなセンターコンソールの下側は収納スペース
乗車定員8人を標準仕様とし、2列目にキャプテンシートを採用したグレードも設定
また、すべてのグレードに、日産セーフティシールド360と、合計10個のエアバッグが標準装備。上級グレードの「SV」「SL」には、先進運転支援技術「ProPILOT Assist」を搭載、最上級グレードのプラチナには、前方にカーブがあるシーンや分岐合流点、高速道路出口などで自動減速を行う「ProPILOT Assist with Navi-link」も採用されている。
パワートレーンは、全グレード、新型9速ATと、最大出力284ps、最大トルク259lb-ft(≒351Nm)の3.5L V6エンジンの組み合わせとなる。また、4WDモデルは、7種類のモード選択が可能なドライブ&テレインモードセレクターを装備した新型のインテリジェント4WDを採用。オンロードから砂地、雪道、泥地、トーイングまで、あらゆるシーンに対応した駆動制御を行ってくれる。
モードは、「ノーマル」「スポーツ」「エコ」「スノー」「サンド」「マッド/ラット」「トーイング」の7つから選択。モードを切り替えるとポップアップ通知でメーター内に表示される
ほかにも、運転席には10箇所が調節できる10ウェイパワーシート、シートヒーティング機能は前席のみならず後席にも採用。静粛性向上のため、フロントガラスに防音積層ガラスを使用したほか、後席シートのガラス厚みも増し、ドアやフロア面にも防音を施した。これによりエンジンノイズの防音性能が、60%も向上したそうだ。
デザインだけでなく、中身も一気にブラッシュアップし、魅力的になった新型パスファインダー。日本で手に入らないが本当に悔やまれる一台だ。
■これぞアメリカントラック!! さらに厳つくアグレッシブになった「新型フロンティア」
『フロンティア』は、日産が北米で生産・販売しているミドルサイズのピックアップトラックだ。現行モデルは2代目。同社のフルサイズSUVの『タイタン』、同じく同社のフルサイズSUVの『アルマーダ』と同じ、頑丈なラダーフレームのシャーシがベースとなっている。現行型のフロンティアは2005年登場とモデルが古く、フルモデルチェンジが期待されていたモデルであった。
日産は、60年以上も米国市場でピックアップトラックを作り続けている。現行型の登場は2005年と古く、新型フロンティアは待ちに待った一台だ
今回発表された新型フロンティアは、よりアグレッシブでモダンなスタイルとなった。特に、フロントフェイスからは、力強く上下にラインが入った新型ヘッドライトや、ひし形を組み合わせたグリル、大型のフロントバンパーなど、耐久性と屈強さを印象づけられる。
地上高は高く確保されており、大きなタイヤを覆う前後のフェンダーラインなどからは、安定感と耐久性の高さを感じられる。リアの縦型テールランプは、リアゲートとボディサイドをしっかりと固定しているように配置されており、堅牢さを感じられるつくりとなっている。この新型フロンティアの全体的なシェイプは、ダットサントラック220のハードボディから、着想を得たそうだ。初代モデルをオマージュしている点は、パスファインダーと同じアイデアだ。
サイドビューの特徴は、大径タイヤとフロントオーバーハングの短さだ。リアビューもシャープな印象でかっこよくまとまっている
日産のピックアップトラックの源流に当たるのがこのダットサン220。60年の長きにわたり、日産は北米向けにピックアップトラックを作り続けている伝統がある
オレンジのアクセントが効いたインテリア。ステアリングホイールはパスファインダーとは異なるデザインを採用
インテリアは、インパネ中央にある7.0インチのアドバンスド・ドライブアシストディスプレイのほか、メーター中央に備わる大きめのカラーディスプレイ、シンプルで直感的な操作が可能なセンタークラスターなど、ピックアップトラックらしく実用的でありながら、モダンなデザインもしっかりと織り込まれている。
直感的に操作ができるインテリア。置くだけでワイヤレススマホ給電も可能
パワートレーンは、最大出力310psを発揮する3.8L V6エンジンと、9速ATの組み合わせとなる。エンジンは、なんと今回、9割以上の部品を新開発もしくは改良を施したそうだ。現行フロンティアの5速ATと比べて、ギアレンジをほぼ2倍に拡大、高効率かつ力強い走りを実現、ステアリングのギア比も16%クイック方向にセッティングし、少ない操作でレスポンスのいいハンドリングとなった。
また、油圧キャブマウントを新たに開発したことで、走行時のキャビン振動を80%低減、さらにウレタン製のバンプラバーを採用したことで、より滑らかな乗り心地となっているようだ。
4WDシステムは、2WD/4HI/4LOモードを備えた電子制御のパートタイム式を採用、4輪リミテッドスリップ制御によって、滑りやすい路面でもトラクションを確保する。4WDモデルには、ヒルディセントコントロールも標準装備されるようだ。
先進技術は、オフロードモードを備えた日産インテリジェントアラウンドビューモニターを搭載したほか、日産セーフティシールド360も採用。タイヤ空気圧警報システムや、リアドアアラート、合計8個のエアバッグは標準装備される。
いかにも、アメリカントラックといった感じの新型フロンティア。ピックアップトラックの需要が高い北米で、どこまで食い込めるか、注目だ。
■まとめ
北米市場は、日産にとってメイン市場だ。その北米で需要の高い、大型SUVのパスファインダーと、ミッドサイズピックアップトラックのフロンティア、どちらもモデルが古かったことで、これまで販売では苦労していたことだろう。今回、満を持してモデルチェンジとなったこの2台には、北米日産の未来がかかっているといっていい。
北米市場で勝ち抜くには、とにかくインパクトのあるデザインと、そのインパクトにふさわしい走りのよさ、そして、現状はまだまだ手薄となっている先進装備系を充実させることだ。フロンティアには、プロパイロットの採用についての記載がなかったが、モデルライフ途中で、順次採用されていくことを期待したいところだ。
新型パスファインダーと新型フロンティア、どちらも魅力がさらにブラッシュアップされ、今後が非常に期待できる仕上がりとなっている。いつの日か、日本国内でも活躍がみたいところだが、まずは、本拠地北米で大活躍してくれることを期待している。
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みんなのコメント
これは売れそう
そこまで売れなくても日本でだせば時間かけてこの状態に風穴あけられるかもなのにもったいないね