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LSに乗ってSUVのつぎのトレンドを考える【九島辰也】

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LSに乗ってSUVのつぎのトレンドを考える【九島辰也】

新車試乗レポート [2023.12.02 UP]


LSに乗ってSUVのつぎのトレンドを考える【九島辰也】
文●九島辰也 写真●レクサス

レクサス「LS」一部改良でドライブレコーダーを標準設定 操作性や安全性能も強化

 世の中まさにSUV一色といったところでしょうか。高速道路を走っていると背の低いクルマを探すのが難しい気がします。2000年代に入ってしばらくは背の高い方が目立っていましたが、もはや逆転現象が起こっています。

 さらに細かくいうと、SUVの派生が増えているので“背の高いクルマ”という形容もあまり当てはまらなくなってきました。通常のハッチバックを少しだけリフトアップしたようなクロスオーバーが増えたことで、SUVと比較すると低いクルマに見えてしまう。「あれ、これはどっちのジャンルだ?」という感じですね。もはやSUVがデフォルトなので、いろんな意味で価値観が変わってしまいました。4ドアクーペもそう。SUVクーペの方が人気は高いようです。

 なぜそんな話をするかというと、最近「やっぱ高級サルーンはいいなぁ!」なんて思ったからです。要するに逆振り。“背の低い方の”話です。

 走らせたのはレクサスLS。日本を代表する“背の低い方の”トップエンドです。すでにフーガやレジェンドはありませんから文句なしの代表車ですね。しかも現行型はかつての標準ホイールベースモデルを廃し、ロングホイールベースのみとなりました。まさにラグジュアリーカーの極み。ショーファーカーとしても立派に成立します。

 「ショーファーカーとしても……」としたのは、走りとデザインの面でドライバーズカーの印象が強いからです。高速道路での沈み込むような加速感やワインディングでキレイにおさまるハンドリングがそんな風に思わせます。全長5235mmですが、走り出せば長さは気になりません。一般道、高速道路、ワインディングのどこを走っても後に広い空間を背負っている気がしませんでした。3mを超えているホイールベースとは思えない身のこなしです。

 流れるようなデザインもドライバーズカーとしての色を濃くします。“攻め!”のフロントマスクもそうですし、前後の膨らんだフェンダーもそうです。それに横から見た時のリアピラーの角度もそちらの印象を導きます。「この角度でリアシートの人は首がキツくないの?」なんて思ってしまう方もいるかも。当然そこは問題なしです。

 インテリアでは豪華な装飾はショーファーカーに近いかもしれませんが、コックピットのつくりはドライバーズカー的です。運転席はいい意味タイトでドラポジも低く構える感じが運転を楽しくさせます。太いセンターコンソールもそうかもしれません。コックピット感を盛り立てます。

 ドライバーズカーとしての美点もそうですが、このクルマには最新テクノロジーが搭載されているのも見逃せません。トヨタとレクサスの垣根を超えた先進技術部門の成果がここにあります。今回のテストドライブではAdvanced Driveをいろんな状況で試しました。ACCをより発展させたものです。

 機能はステアリング上のスイッチひとつで立ち上がります。ACCと同じ要領。ただいろいろな条件がマッチしないとAdvanced Driveは起動しません。車線の真ん中を走っていたり、モニターがドライバーが正しい運転姿勢をしているかを見極めたり、料金所のある無しなどが関係します。その意味ではこちら側の学習も必要で、技術解説書を斜め読みしただけでは使いこなせません。宝の持ち腐れでしょう。もちろん、オーナーになればディーラーで2時間みっちり説明を受けますから達人になれます。頭から湯気がでそうですが。

 それはともかく、およそ2週間このクルマと付き合っていますが、じわじわと馴染んできました。数年前の新型車の試乗会ではLSに対する既成概念が働いて、想定内の大きな高級車といった目線でしたが、今回は違います。同じカテゴリーのラグジュアリーSUVを思い起こしてもこのハンドリングと運動性能には敵わない気がしました。物心ついた時から四駆が好きで、80年代は四駆専門誌でバイトしたり、2000年代初頭には日本で最初に“SUV”という言葉を雑誌のタイトルにしたりしてきましたが、このところちょっと飽き気味ですね。

 そういえば、今年のモビリティショーはSUV然としたコンセプトカーが少ない気がしました。そこで元日産のデザイナー中村史郎さんにそれを尋ねると、「デザイナーもSUVに飽きてる人が多いんじゃないかな」なんておっしゃっていました。となると、ここら辺で自動車業界に何か新しい動きが起こったりして。パワーソースの転換期ですが、クルマのカタチとそのトレンドにも注目です!

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