■クラスを超えた上質さや性能で支持される「マツダ2」の次期型を予想
軽を除くマツダ車ラインナップにおいて、もっとも小型のコンパクトカー「MAZDA2(以下、マツダ2)」は、2019年7月に従来の「デミオ」から名称を変更し、2023年1月には若い顧客層を狙いフェイスチェンジを伴ったビッグマイナーチェンジがなされました。
しかしながら、ベース車は2014年に登場した第4世代のデミオのままで、登場から10年とそろそろフルモデルチェンジとなってもいいタイミングです。次期マツダ2はどのようなモデルになるのでしょうか。
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小型車の常識を覆すほどの上質なインテリアや走りの性能で、デミオとしてデビューした当時から話題となっていた現行型のマツダ2。
デビュー当時は、「コンパクトカーにここまでの上質なインテリアが必要なのか」とする人もいましたが、その価格以上の上質さからは、マツダのデザインの底力とコスト管理能力の高さがうかがえました。
昨今増えつつあるクラスレスな存在、いわば「小さな高級車」の先駆けといっても良いでしょう。
またコンパクトカーでは珍しいディーゼルエンジンの搭載グレード用意したことも注目されました。
そんなマツダ2の次期型ですから、マツダとしても相当力を入れて開発してくるでしょう。
真っ先に気になるのは、やはりパワートレインです。
マツダが昨年2023年11月に発表した「中期経営計画のアップデートおよび2030年の経営方針」のなかでは、段階的に分けた電動化戦略に沿い、2030年にはマツダ全体のBEV比率を最大40%に引き上げる方針を表明。
あわせて、2030年までにグローバルで7~8車種のBEVを展開することも表明しています。
この発表のなかでは、次期マツダ2に関する言及はありませんでしたが、エントリークラスのマツダ車として台数を売るべきモデルは、マツダが目指す、内燃機関や電動化技術などパワーユニットの展開を適材適所で行う「マルチソリューション」に早期に取り組む必要があります。
できれば、マツダ入魂のシングルロータリーエンジン発電によるプラグインハイブリッドユニットの搭載を期待したいところですが、標準的なコンパクトカーのコストには見合わない高価格なクルマになってしまうでしょう。
また現段階でもっとも現実的な電動化技術であるガソリンハイブリッドに関しても、欧州市場でトヨタ「ヤリス ハイブリッド」のOEMを受けてMAZDA2として出していることから考えると、自社開発をあきらめている様子もうかがえます。
■次期「マツダ2」は二段構えの展開か
このように現在マツダが置かれている状況を考えてくると、筆者(自動車ジャーナリスト 吉川 賢一)は次のような予想をします。
次期マツダ2には、既存の1.5リッター直列4気筒ガソリンエンジン、1.5リッター直列4気筒ディーゼルターボを改良して搭載するモデルを維持しながら、追ってEV専用の次世代プラットフォームを使用したBEV(バッテリーEV:電気自動車)が用意される二段構えのシナリオです。
マツダ2のディーゼルは、コンパクトカークラスのなかではやや高価であり、価格にシビアな日本のユーザーから近年はそこまで支持されていない傾向にあることから、日本向けの次期型ディーゼルは廃止となるかもしれません。
一方で欧州や国内の市場を考えると、燃費の良いハイブリッド車も欲しいところでしょう。
しかしコンパクトカー専用として新たにストロングハイブリッドシステムを独自開発するのはリスクが高いと考えられます。
マツダブランドへの入り口としての役割を全うするためにも安価なガソリンモデルに特化し、用意されたとしてもマイルドハイブリッド止まりというのが現実的でしょう。
ただしトヨタからパワートレイン供給を受ける可能性も完全には否定できません。
ボディサイズは、現行車とほとんど変えずに5ナンバー枠(全幅1700mm未満)を死守して欲しいところ。
新世代のマツダデザインを織り込んだハイパースタイリッシュな“小さな高級車”として、2024年末にワールドプレミア、2025年央より全世界発売、という流れを期待します。
※ ※ ※-
マツダ車は近年少しずつではありますが、上級車(=利益が得やすい車種)の販売台数が増えています。
主力の「CX-5」や新世代のラージクラス「CX-60」をはじめとして、「マツダ3」、「CX-30」、そして「ロードスター」も地道に販売台数を伸ばしています。
デビュー当時勢いのあった現行型マツダ2(デミオ)から上級移行するユーザーも少なくないことから、エントリーブランドの入り口としての役割は今後も重要と考えられます。
はたして次期マツダ2はどのようなクルマとなって登場するのか。それをベースとするであろう次期「CX-3」などコンパクト系派生モデルの新型車計画とあわせて注目です。
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みんなのコメント
かつてのデミオやベリーサみたいな見切りよくスペース効率のいい、小さいけれど広いクルマに原点回帰を。
今の魂動デザインの尻上がりレイアウトは視界と居住空間が狭く感じる。
ヤリスOEMなんてもってのほか。