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【打倒ムーヴ・キャンバス?】ワゴンRスマイル いまスライドドア仕様を追加したワケ

掲載 更新 31
【打倒ムーヴ・キャンバス?】ワゴンRスマイル いまスライドドア仕様を追加したワケ

仕様追加 メインターゲットは女性

執筆:Chika Sakikawa(先川知香)

【画像】軽トールワゴン首位への返り咲き狙う【ワゴンRとムーヴを比較】 全76枚

編集:Taro Ueno(上野太朗)

2021年8月27日、スズキは同社の人気軽トールワゴン「ワゴンR」に、スライドドア仕様の派生車「ワゴンRスマイル」を追加し、2021年9月10日に発売すると発表した。

ワゴンRの初代モデルは、1993年に登場。当時の軽自動車の弱点であった室内の狭さを、車高を高くすることで克服し、現在では当たり前となっている軽トールワゴンの先駆けとなった存在である。

その後も軽自動車規格の運転しやすいサイズに、想像を超える室内の広さ、そして乗り降りがしやすく楽に荷物を積むことができる使い勝手の良さなど、大人4人がゆったりとくつろげるパッケージで、これまでに470万人を超える多くのユーザーに愛されてきたモデルに成長を遂げている。

現行モデルはその6代目で、「ワゴンR」と「ワゴンRスティングレー」の2車種、3デザインを設定。

そこに今回、スライドドア仕様のニューモデル「ワゴンRスマイル」の追加が発表されたのだ。

ここで、現行ワゴンRシリーズのラインナップを整理してみよう。

まず、ベースモデルのワゴンRには、「FA」と「ハイブリッドFX」、「ハイブリッドFZ」の3グレードを設定。

ガソリンエンジンモデルとハイブリッドモデルの標準グレードである「FA」と「ハイブリッドFX」には、歴代ワゴンRのトレードマークともいえる四角いヘッドライトを中心とした、優しい印象のフロントマスクが採用されていて、万人に好まれるデザインとなっている。

一方で、ハイブリッドモデルの上級仕様「ハイブリッドFZ」には、上下が2段に分かれた切れ長のヘッドライトが採用されており、少しスポーティで男性好みの印象。

そして派生車としてラインナップされている「ワゴンRスティングレー」は、かなり目力の強い少しヤンチャなイメージのデザイン。

全車ハイブリッド仕様となるラインナップの上級モデル「ハイブリッドT」には、ターボが搭載されるなど、走りにもこだわりたいユーザーを意識したモデルとなっている。

そんな、「万人」、「男性」、「走り」のラインナップを揃えるワゴンRに、スズキが新たに追加するのは、「女性」を意識した派生車だ。

キーワードは「スライドドア」

現在の軽乗用車市場に投入されている車種は、約40車種にのぼるという。

その中で、軽ハイトワゴンの販売台数が増加しているとともに、スライドドア車の販売台数も年々増加。

2018年度には、遂に新車販売の半数を超える結果となっているだけでなく、まだまだ人気は上昇傾向にある。

さらにスズキの調査では、軽ワゴンの購入を考えるユーザーのなかで、女性では半分、男性もあわせると4割を超える人々が、軽ワゴンのサイズ感でスライドドア仕様のモデルを希望しており、ニーズが高いことが明らかになったという。

スズキ広報部は今回、ワゴンRにスライドドア仕様を追加したことについて、次のようにコメントした。

「ワゴンRなどの軽ワゴンにお乗りいただいているお客さまから、『広さに不満はない』というお声をいただく一方、『スライドドアが欲しい』というご意見も多数頂戴しております」

「そういったお客さまのご要望にお応えするために、日常で使いやすいサイズのワゴンRをベースとしたスライドドア車を開発致しました」

また、クルマを購入したユーザーへの調査では、約6割がクルマを選ぶにあたって、最も重視しているのは「スタイル、外観」と回答。

SNSを利用して、さまざまな人たちが自分らしさという個性を発信し、それぞれに共感できる仲間とつながり合う世の中となっており、商品には多様な個性を満たすことが求められているとした。

それらの調査結果を受け、スズキは「ワゴンRの運転しやすい丁度いいサイズ感と、使いやすく広い室内空間」、「毎日使って便利で安心の装備」、「自分らしさを多用に表現できる、今までにない魅力的なデザイン」の3つを兼ね備えた、「これからの時代に向けた、自分らしさを表現できるわたしのための新しいパーソナルスライドドア」を作ることを目指したという。

目指すはクルマを通じた「笑顔」

スズキは、ワゴンRスマイルの名前の由来を、「使われる方が笑顔になれるようなクルマ」。

「Smile」を文字って、スペシャル(S)マイ(mi)ルーム(Le)からマイスタイル、マイワゴンというコンセプトにつながっていると説明する。

そして四角いワゴンでありながら愛着が持て、女性だけでなく男性にも喜んでもらえるオシャレなデザインを採用。

今までにない新しい日々の生活に寄り添い、乗ることで、所有することで、ユーザーの気持ちを豊かにする、まさにユーザーが新しい車との生活を笑顔で楽しめる、SNSで発信したくなるようなクルマに仕上げられたとし、今までの軽自動車では物足りない、自分のお気に入りを求めている多くのユーザーに喜んでもらえる1台となったと明言した。

これが、スズキの説明する今回、新型「ワゴンRスマイル」をラインナップに加えた経緯だ。

一方で、ワゴンRのサイズ感に、明らかに女性を意識した可愛らしい印象の外観や、スライドの採用など、コンセプトを聞けば聞くほどダイハツ「ムーヴ・キャンバス」を思い浮かべずにはいられないのが、実際のところである。

それもそのはずで、軽トールワゴン市場を牽引するライバルとして切磋琢磨してきたワゴンRとムーヴの販売台数の差は年々開いている。

2021年1月から6月におけるワゴンRの販売台数は3万236台、ムーヴは5万7761台とほぼ半数となっているのだ。

そして、そんなムーヴの販売台数の半数以上を占めているのが、ムーヴ・キャンバスなのである。

このことからも、ワゴンRスマイルは、明らかに打倒ムーヴ・キャンバスを狙ったモデルとなっている。

ムーヴ・キャンバスの刺客として?

スズキは、現在軽トールワゴン市場で独り勝ちともいえるムーヴ・キャンバスに対し、ワゴンRスマイルにどのような勝ち筋を見ているのだろうか。

スズキ広報部に聞いてみたところ、以下の回答が返ってきた。

「ワゴンRスマイルは、特定の車種を意識して開発したクルマではございません。したがって比較する車種によって差別化のポイントは異なります」

「軽ワゴンと比較した場合は、軽ワゴン最大級の全高と室内高、衝突被害軽減ブレーキ(夜間歩行者検知機能、後退時ブレーキサポート、標識)、スライドドアの開口部の広さが挙げられます」

「また、軽ハイトワゴンと比較した際は、軽ハイトワゴンにはないサイズ感や、軽ワゴンサイズならではの運転のしやすさが挙げられます」

つまり、軽ワゴンの中では最大級の広々とした室内空間を持ち、使い勝手や安全装備もワンランク上。

軽ハイトワゴンと比べると、車内は少し狭くなるがその分取り回しはしやすいという、軽ワゴンと軽ハイトワゴンのさらに中間的存在としてのポジション確立を狙っているということなのだろうか。

そういわれてみれば、たしかに女性を意識した柔らかいデザインにはなっているのだが、カラーは比較的ハッキリとした男性でも躊躇なく選べるラインナップとなっている。

とは言ってもやはり、現在の軽トールワゴン市場を牽引するムーヴ・キャンバスのユーザー層がメインターゲットとなると見て、間違いないだろう。

軽トールワゴン首位への返り咲き狙う

そんな2台の、最大の違いはパワートレインと価格である。

ガソリンエンジンのみをラインナップするムーヴ・キャンバスは、エントリーモデルである「X メイクアップリミテッドSA III/2WD」でも150万7000円(消費税込)の設定となっていることに対し、ワゴンRスマイルのエントリーモデル「G/2WD」は129万6900円(消費税込)と、現行のワゴンRからの大幅な価格の上昇は見られない。

さらに、ワゴンRスマイルにはマイルドハイブリッド搭載モデルも用意されていて、「ハイブリッドS 2WD/CVT」価格は147万2900円(消費税込)からと比較的安価な設定となっているのだ。

元々、使い勝手の良さには定評のあるワゴンR。

使い勝手をさらに向上させるファッショナブルな両側スライドドア仕様が追加され、低燃費、低価格とくれば、軽トールワゴン販売台数トップの座に返り咲く日もそう遠くないのでははいだろうか。

新たな軽トールワゴンのスライドドア仕様が、軽自動車市場にどのように受け入れられるのか、楽しみである。

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みんなのコメント

31件
  • >ワゴンRスマイルは、特定の車種を意識して開発したクルマではございません。

    ここは別に隠さないでキャンバスの対抗馬としてスズキなりに頑張りました
    で、良いんじゃないの?
    価格もお買い得なんだし、隠さない方が良いライバル関係になると思うんだけど。
  • 正面から見ると、ラパン系を縦にグイッと伸ばした感じw

    エントリーモデルとしての価格設定、ベースグレードは今時の200万越えが当たり前のご時世にあっては良心的な感じ。
    ※上級グレードはちょっとオプションマシマシで200は越えますが…。

    ただ、キャンバスの刺客としてはキャラが弱く、ワゴンRの復権に関しては、スライドドアの車重でターボの設定もない時点で購買層の拡充に苦戦しそうな雰囲気、はたして助力になるやらならぬやら…。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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