ゴーンショック以来混乱が続いた日産であるが、2020年は新型車を5車種出すなど、復活への準備は着々と進んでいるようだ。
そんな日産には目を引く海外向けのモデルが多数あり、デザインや走りは高い評価を受けている。その海外向けモデルのなかには、日本導入を期待したいものも何車種か浮かぶ。
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2020年6月から「ジューク」に代わり日本導入されるとの情報がある「キックス」のように、日本導入が熱望されるクルマ5台を、日本導入の期待値も交えながら紹介していく。
文/永田恵一
写真/NISSAN
【画像ギャラリー】今後日本導入があるかもしれない、海外向けモデルの内外装をチェック!
■マイクラ
欧州仕様のマイクラ。「N-SPORT」は1Lターボエンジンを搭載し、最高出力100ps/5000rpm、最大トルク160Nm/2750rpmとなかなか魅力的!
もともと「マイクラ」はマーチの輸出名として、ヨーロッパで使われていた車名である。2017年に登場した現行マイクラもコンパクトカーのジャンルに属することは変わらないが、フランスのルノーの工場で生産される点など、タイなどの新興国で生産される日本の現行マーチとはまったく別のクルマだ。
現行マイクラはボディサイズが全長3999×全幅1743×全高1455mm(イギリス仕様)と全幅が日本の5ナンバー枠を超えており、VW「ポロ」やルノー「ルーテシア」と同じ『ヨーロッパのコンパクトカーのど真ん中』という位置付けだ。
ヨーロッパ仕様のエンジンは、ガソリンがそれぞれ1Lの3気筒となるNA(自然吸気)、90ps、100ps、117psのターボ、1.5Lディーゼルターボと豊富だ。またシャープなスタイルに加え、インテリアも仕様によってはアクセントとなるカラーとコーディネートされるなど、なかなかファッショナブルだ。
現行マイクラは魅力的なコンパクトカーだが、日本では日産の国内販売でエースとなっているノートのフルモデルチェンジも近づいていることもあり、コンパクトカーが2台あってもバッティングする可能性が高く、日本導入の可能性は残念ながら低いと見られていた。
しかし、最近になって一部報道で次期ノートは、トヨタ「シエンタ」やホンダ「フリード」と同じようなスライドドアのコンパクトミニバンになるという情報もある。日産にもそういったクルマは必要だが、そうなると今度は日産からそれこそ『ど真ん中のコンパクトカー』が消えてしまうことになる。
という背景を考えると5ナンバー幅でない点、生産体制、プロパイロットに代表される運転支援システムや自動ブレーキ、e-POWERの設定などのパワートレーンの設定といった日本向けの対応という課題は大きいにせよ、現行マイクラの日本での必要性は上がっているように感じる。
★日本導入の期待値 70
■ジューク
欧州仕様の新型ジュークが搭載するのは1L直3ターボエンジン(117ps/18.4kgm)。6速MTが標準で、ほかにパドルシフトを備えたDCT搭載車も用意されている
日本では2010年に登場し、スペシャリティなコンパクトSUVというジャンルを開拓した初代モデルが販売終了間近となっているジュークだが、ヨーロッパ向けは2019年9月に2代目モデルに移行している。
2代目ジュークもキープコンセプトではあるが、スタイルは初代モデルほど好みがわかれそうでない、いい意味で万人向けのものとなった。ボディサイズは全長4210×全幅1800×全高1595mmと初代モデルに対しそれぞれ全長プラス75mm、全幅プラス35mm、全高プラス30mmと若干拡大されている。パワートレーンは今のところ7速DCTと6速MTと組み合わされる3気筒の1Lターボ(117ps)のみの設定で、日産のイギリス工場で生産される。
コンパクトSUVは、日本でも需要が多いジャンルだけに次期ジュークの日本導入も期待したいところだが、日産はこのジャンルに当サイトでも何度もお伝えしているようにオーソドックスなキャラクターを持ち、世界各国で販売されるキックスを導入する見込みとなっている。
キックスの日本導入は極めて真っ当な判断といえるだろう。しかし、スペシャリルィなコンパクトSUVというジャンルを開拓したジュークが日本からなくなってしまうというのも寂しい話だ。このあたりを総合するとマイクラ同様に日本向けの対応の必要や費用対効果といった課題もあるだけに、余力があればかつてのシルビアのようなスペシャリティカー的なクルマとして日本導入を期待したい。
★日本導入の期待値 50
■シルフィ&セントラ
北米仕様の新型セントラは、従来の1.8Lエンジンから、新開発の2L直4NAエンジン(151.1ps/20.2kgm)に変更。トランスミッションはCVTを採用している
日本では2012年登場の現行モデルが販売されすっかり影の薄くなっているシルフィだが、世界的に見ればトヨタ「カローラ」やホンダ「シビック」、VW「ゴルフ」などと同じミドルクラスに属するだけに日産にとっても重要なモデルである。
シルフィは中国では日本と同じシルフィ、北米ではセントラの車名で販売されており、中国では2019年4月の上海モーターショー、北米では2019年11月のロサンゼルスモーターショーで次期モデルに移行済だ。
最新のシルフィ&セントラはベンツ「CLA」のようなクーペルック的な部分もある4ドアセダンで、ボディサイズは全長4641×全幅1815×全高1450mmとミドルクラスとしては大きい部類だ。インテリアもダッシュボードの形状やキルティング的なシート生地を採用した点など、スペシャルティな部分も持つ。エンジンは中国仕様が1.6LNA、北米仕様は2LNAを搭載する。
日本でのこのクラスのセダンの需要は決して多いとは言えない。しかし、9月にフルモデルチェンジされたカローラセダンに対する反響が悪くないのを考えると、前出してきたことに加え、カローラセダンのようにボディサイズの縮小も含めた日本向けの対応ができるなら、日本に導入する価値はあるように思う。
さらに先代セントラにあった1.6Lターボを搭載し、MT設定されるNISMOのようなスポーツモデルも設定して、日本での車名も、この際かつての名門ブルーバードに戻すなどの工夫も盛り込めば、意外に面白いクルマになるかもしれない。
★日本導入の期待値 60
■アルティマ
北米仕様のアルティマには、量産エンジンとしては世界初となる、可変圧縮ターボ技術を採用した2L直4ターボエンジン(251.4ps/37.7kgm)が搭載されている
シルフィのひとつ上のアッパーミドルのセダンである「ティアナ」は、日本ではシルフィと同じように影の薄い存在となっている。しかし、「アルティマ」の車名で販売される北米と中国では、トヨタ「カムリ」やホンダ「アコード」のライバルとなるだけにシルフィ&セントラ同様の重要なモデルで、2018年から次期モデルに移行している。
北米と中国で販売されるアルティマはクーペルックな点など、全体的にシルフィ&セントラを大きくしたようなセダンである。エンジンはそれぞれに搭載される2Lの可変圧縮ターボ、北米仕様には2.5LNA、中国仕様には2LNAがあり、トランスミッションはいずれにもCVTが組み合わされる。
日本導入に関しては、日本でのトヨタ車以外のこのクラスのセダンに対する注目の薄さや、日本で売るにはハイブリッドが欲しいのを考えると、その費用対効果に疑問を感じるのも事実で、難しいように感じる。
★日本導入の期待値 30
■ムラーノ
北米仕様は全グレードで3.5LV6エンジン(263.6ps/33.2kgm)を搭載。最大4台のカメラと3台のレーダーセンサーが組み合わせた先進安全技術「日産セーフティシールド360」を採用する
ラグジュアリーラージSUVの「ムラーノ」は、日本では2015年に二世代で絶版となってしまったが、北米や中国では2014年登場の3代目モデルが販売されている。
現在のムラーノも2代目までとキープコンセプトに近く、パワートレーンは北米仕様が3.5LV6、中国仕様は2.5LNAと2.5Lスーパーチャージャー+モーターのハイブリッドとなる。
現在のムラーノは登場から時間が経っており、日本に導入するなら次のモデルとなるだろう。その際には、インテリアに代表される各部の質感向上などを施した上で、ライバル車になりそうなレクサス「RX」より『コストパフォーマンスがいい』といった売り方をすれば、商品として成り立ちそうな予感がする。
★日本導入の期待値 50
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みんなのコメント
ゴーンがいなくなり日本軽視路線が変わるといいですね。