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メルセデス・ベンツ新型「Cクラス」はどう進化した? メルセデス流のセダンらしさとは

掲載 更新 3
メルセデス・ベンツ新型「Cクラス」はどう進化した? メルセデス流のセダンらしさとは

■インテリアはまさに「小さなSクラス」

 1982年に登場した190シリーズ(W201)を起源とするメルセデス・ベンツ「Cクラス」がフルモデルチェンジをおこない、このたび日本に上陸しました。190シリーズを初代と数えると、今回のモデル「W206」は6世代目となります。

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 エクステリアは全体的に先代の面影も残りますが、短いオーバーハングやロングホイールベース、絞り込まれたリアの形状などは、「プチSクラス」といっていいくらい堂々としたスタイルです。

 個人的にはよりスポーティ、より後輪駆動らしさをアピールしているように感じました。これは筆者(山本シンヤ)の推測ですが、SUVがメインストリームの時代だからこそ、セダンの価値のひとつである「カッコ良さ」を意識したデザインになったのでしょう。

 どちらかというと質実剛健の要素が強かった歴代モデルと比べると、これは大きな変化かもしれません。パッと見では「Cクラス、お前もボディ拡大か!!」と思われがちですが、ボディサイズは全長4785mm(+85mm)×全幅1820mm(+10mm)×全高1435mm(+5mm)と、全長以外は先代とほぼ同サイズとなっています。

 インテリアは全面刷新です。メーターは庇のないフル液晶、センターには11.9インチのメディアディスプレイ(ドライバー側に6度傾いている)と、Sクラスのそれと同じフルデジタルコクピットを採用。電動シート調整も静電式に変更されています。フラッグシップから普及モデルへの水平展開の早さは「さすがメルセデス!!」といったところでしょう。

 ただ、インパネ形状は先代を踏襲したセンターコンソールや楕円形のエアコン吹き出し口、さらにツインスポークのステアリングなどはCクラス独自で、エクステリアに合わせスポーティな印象を強めています。

 スポーティなエクステリアデザインながら、パッケージの工夫で居住性は高められており、後席のヘッドルームは先代+13mm、足元は先代+21mm拡大。先代モデルは平均的なスペースだった事を考えると、嬉しい進化です。

 パワートレインはガソリンが1.5リッター直列4気筒ターボ+ISGと、2リッター直列4気筒ターボ+モーターのプラグインハイブリッド、ディーゼルは2リッター直列4気筒ターボ+ISGの3タイプを設定。つまり、全モデル電動化……ということになります。

※ ※ ※

 今回試乗したのは1.5リッターターボ+ISGの「C200」ですが、このエンジンは新開発のM254型で204馬力/300Nmのパフォーマンス。ISGの出力も15kWに引き上げられています。

 組み合わされるトランスミッションは9速ATとなっています。

 プラットフォームは一新され、Sクラスと同じ「MRAII」を採用、サスペンションはフロント・4リンク/リア・マルチリンクとなっています。

 注目なのはSクラスで話題となった後輪操舵(リアアクスルステアリング)がCクラスにも設定されたことでしょう。

 街乗りでの取り回しの良さ(最小回転半径5.0m)と高速走行時の安定性を、高い次元で両立させるための大きな武器というわけです。

■操作に対する反応が速く、よくいえばスポーティな走り

 その走りはどうだったのでしょうか?

 今回は日本でもっとも売れ線といわれる「C200アバンギャルドAMGライン装着車」で、一般道からワインディング、高速道路とさまざまなステージを走ってきました。

 パワートレインはスペック以上の違いを感じました。

 先代はエンジンのトルクバンドを上げ(3000-4000rpm)効率を高める代わりに、低回転域はBSGがカバーと、内燃機関と電動パワートレインを適材適所で使う考え方でしたが、新型は再びトルクバンドが下がり(1800-4000rpm)、その上でISGが上乗せ……というイメージなので、実用域の力強さはもちろんですが、アクセルを踏んだ時のレスポンスや応答性は従来と比べると俊敏で、ダイレクト感は強めに感じました。

 実は乗り始めた直後は「えっ、扱いにくいかも!?」と思ったものの、すぐに慣れたのはスロットル早開きのようなギミックではなく、パワートレインのレベルアップがそう感じさせたと、筆者は解釈しています。

 ハンドリングに関しても同じ印象で、操作に対する反応が俊敏になっています。例えるなら、先代は各部に薄皮が3枚くらい入っているかのような穏やかさがありましたが、新型はそれが1枚に減ったようなイメージで、結果としてダイレクト感がより高まっています。

 このあたりは、リアアクスルステアリングに加えて10%クイック化されたステアリングレシオはもちろん、それ合わせて最適化されたサスペンションのセットアップやタイヤセレクトなども影響しているはずです。

 こちらもパワートレインと同じく初期応答を重視のような演出ではなく、コーナリング時の力の伝達がより短く・より効率よくおこなえるようになった結果だと思っています。その証拠に高速道路の走行時はいつものメルセデスで、手をそっと添えるだけで矢のような直進性はシッカリと備わっています。

 ちなみに運転支援システムは、Sクラスから採用の最新スペックを搭載。多くの人が使うアダプティブ・クルーズ・コントロール(ACC)は、ステレオマルチパーパスカメラとレーダーセンサー、ステアリング支援はステレオマルチパーパスカメラと360度カメラシステムを使うことで、より滑らか、より精密な制御になっている事を実感。従来は「上級モデルはいいけど、普及モデルは」と性能差がありましたが、新型では共通です。

 快適性は、大きなうねりの吸収のさせ方、スピードともに人間の感覚にあった印象で「さすがメルセデス!」と感心する一方で、不快なほどではありませんが、細かい凹凸に対しては角のあるコツコツ感とヒョコヒョコとした動きが少し気になりました。

 ちなみに試乗車は走行500km+αの卸し立てで、おそらく距離を重ねていくにつれて、良い方向になるのは間違いないでしょう。

■メルセデスらしい「心地よいダルさ」は薄れた印象

 ただ、「乗り味」という部分でいえば、従来のメルセデスで感じられた「心地よいダルさ」、「間合い」、「タメ」などは若干薄れたのも事実です。

 恐らく、従来のメルセデス・ベンツが体に馴染んでいる人は「否」、Aクラスなど新世代メルセデスが体に馴染んでいる人は「是」の評価になると予想しています。

「では、お前はどうなのか?」と問われると、「セダンの生き残り」という観点で見ると「是」です。

 クロスオーバーSUVがトレンドセンターの中、セダンの需要は下がっています。スペース効率では勝ち目がない以上、今後は「セダンらしさ」を今まで以上に高めていく事が重要になります。

 では、セダンらしさとは何か? 筆者は全高の低さを活かした「カッコ良さ」と基本素性の良さを活かした「走りの良さ」のふたつを際立たせることだと考えています。となると、Cクラスの乗り味の変化は必然といえるのかもしれません。

 このように書くと「Sクラスはそんなことないぞ」という人もいるでしょう。実はここもポイントのひとつで、単なるサイズの大中小だけでなく使われ方に合わせた「性格分け」もセダンの重要な要素になります。そう思うと、Cクラスがスポーティ寄り、Sクラスがフォーマル寄りになったのは、単なる偶然ではないと思われます。

 このように、変わっていないようで、実は大きく変わった新型Cクラス。筆者はビックネームこそ生き残りのために変革が必要だと考えているので、今回の進化は高く評価していますが、果たしてユーザーはどのようなジャッジをするのか? 非常に気になるところです。

Mercedes-Benz C200 AVANTGARDE
メルセデス・ベンツC200 アバンギャルド

・車両価格(消費税込):654万円
・試乗車オプション込価格:751万7000円
・全長:4793mm
・全幅:1820mm
・全高:1446mm
・ホイールベース:2865mm
・エンジン形式:直列4気筒DOHCターボ
・排気量:1496cc
・駆動方式:FR
・変速機:9速AT
・エンジン最高出力:204ps/5800-6100rpm
・エンジン最大トルク:300Nm/1800-4000rpm

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みんなのコメント

3件
  • Cクラスで800万はビックリだけど、乗ったらいい車なんだろうなぁ。
  • メルセデスって中国資本が入ってるのを知ってから購入リストから外れた。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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