■まるで操縦桿みたいな「斬新ステアリング」一体どうなの?
群馬県の榛名湖畔で開催された、地元のレクサスディーラーイベントによるBEV(バッテリーEV)関連のイベントで、BEV専用SUVである「RZ」のステアバイワイヤ試作車と限定100台の特別仕様車に乗ることができました。
一体どのようなモデルなのでしょうか。
【画像】超カッコいい! これがレクサスの「斬新ステアリング」です! 画像を見る
まずはRZのステアバイワイヤ試作車です。車内には、円形ではなく操縦桿のようなステアリングが装着されていているのが最大の特徴。小ぶりなステアリングに合わせて、メーターまわりも変更されています。
このステアバイワイヤ試作車では操舵角が見直され、従来は半回転での150度だったところを、今回の最新版では200度に広げることで、マイルドな特性にしたとのことです。ちなみに開発の途中で180度も試したそうです。
会場の広い駐車場にスラロームやクランク、Uターンなど曲がる箇所の多い特設コースが用意されていて、まずは操舵角が標準の円形ステアリング(操舵角540度)のRZをドライブして感触をつかみ、つづけてステアバイワイヤのRZをドライブしました。
走り始めは、やはり少し違和感を覚えるものの、筆者(岡本幸一郎)は2回ステアリングを切ったらもう動きをつかむことができました。
実は、以前の操舵角150度の車両に乗ったことがあるのですが、そのときはアタマではわかっていても、1周目にはどうしてもステアリングを切りすぎてしまい、ほとんどのパイロンにリアタイヤをひっかけてしまったものですが、200度になった今回のRZはすぐに慣れることができました。
これくらいなら動きが読めて、パイロンにタッチすることなくクイックなハンドリングを存分に楽しめちゃいます。
そして、ステアリングを持ち替えることなくスラロームやUターンができるのは実に気持ちがいいものです。
バックで駐車するような状況ではより顕著で、従来の150度の車両は動きが機敏すぎてとまどったものですが、200度なら大丈夫です。切りすぎることもなく、なおかつあまり切らなくていいので操作しやすいことから、駐車枠にクルマを合わせることに集中できます。
今後は、くるまのニュース編集部の女性スタッフに運転を交代。ステアバイワイヤのRZは初めて乗ったそうですが、すぐに感覚をつかむことができたと言っていました。
また、ステアリングが小さいので圧迫感がなくて、視界が広く開けたことを真っ先に感じたようです。女性の方がそのあたりの感性が鋭いかもしれません。
開発担当者によると、レクサスオーナーは複数台を所有している方が多いので、乗り換えてもすぐになじめるように、との思いでこのようにしたとのことでしたが、まさにそうなっていました。
ただし、クイックなハンドリングを好むユーザーにも楽しんでもらえるよう、市販時には150度も選択できるようにしようかと検討しているそうです。
このステアリングには反力アクチュエーターが装着されています。これがないとオモチャみたいに軽くなってしまうところを、これによる反力でしっかりとした据わり感を作り出しているわけです。
反力だけでなく、センサーから取った路面入力から必要なものだけを伝えるようにもなっていて、たとえば砂利道でずっとガタガタしているような路面など、不快なので伝える意味がないものはシャットダウンし、路面のうねりなどの状況など必要な情報は再現して伝えるというような仕組みが採用されました。
また、既存のステアバイワイヤでは、「インターミディエイトシャフト」により万が一のときに二重でバックアップするという形で安全性を担保している例がありますが、安全性を確保しながらもシャフトを廃したことで、車両トータルでほとんど重くなっていないところもポイントです。市販されるのが楽しみです。
■2つのリアウイング装着で走りが変わる!? “スゴいRZ”の乗り味は?
もう1台のRZは、2024年のはじめにわずか100台だけ発売され、あっというまに完売したという「“F SPORT Performance”」です。
外観は見ての派手めのエアロパーツをまとい、足元は車高を10mmダウンして太いタイヤを装着。カーボンパネルが目を引き、黒を基調に青のアクセントを配したインテリアも実に精悍です。
このクルマの開発にあたって、全体の方向性にはレーシングドライバーの佐々木雅弘選手が、空力面にはエアレース・パイロットの室屋義秀選手が深く携わっています。
2つのリアウイングの上側は、通常とは違って後方にいくにつれて下に向けることで、下側のウイングに当ててよりダウンフォースを発生するように設計されています。
100台限定とされたのは、レクサスでこういうクルマが受け入れられるのかという不安があったことや、内製のドライカーボンパーツの品質に非常にこだわっていて、1日当たり1台分しか作れず大量生産できないことが少数販売となった理由だそうです。
榛名湖畔のワインディングでベース車と乗り比べると、走りの違いがわかります。
BEV専用車であるRZは、もともと地上高を確保しながらもルーフはそれほど高くなく、乗用車的なドライビングポジションと運転しやすい視界を実現した巧みなパッケージングが特徴です。
さらに、BEVの強みで重心が低く慣性モーメントも小さいので、ドライブフィールがSUVっぽくありません。
その上さらに空力と足まわりに手を入れた“F SPORT Performance”は、リアウイングとターニングベーン(垂直整流板)が効いて、ベース車よりも安定性が高まり、ステアリング操作に対して素直に応答して無駄な動きが出にくく、ピタっと決まる感覚があります。
リアウイングの効果でリアがグッと押さえられて落ちついたおかげか、走っていて目線のブレが少ないことも印象的でした。
8部位で17点のドライカーボンパーツとワイドなタイヤ&ホイールほか、さまざまな専用アイテムが装着されるなど充実した内容にもかかわらず、価格がベース車の300万円プラスの1180万円というのは非常にお買い得だったことにあらためて気づかされた思いです。
※ ※ ※
そう遠くないうちに、RZに関する興味深い新しい情報が発表されることでしょうが、大いに期待して待ちたいと思います。
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みんなのコメント
誰か乗せたくもなる
表面加工が雑なのか、トヨタっ!って感じなんですよねぇ…
機能も味も充実していると思うんですが、メルセデスの質感を真似ても良いと思うのですが、いかがでしょう。