先日の日産スカイライン開発中止のニュースは、大きな波紋を呼んだ。
しかし、日産自身が新型車「ノート・オーラ」の発表会において、きっぱりと否定。そのメッセージに、胸をなでおろしたファンも多かったことだろう。
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また今回の日産の対応は、スカイラインの存在は、決して小さくないことを意味している。その姿勢は、現行型スカイラインへのプロパイロット2.0初搭載や高性能モデル「400R」の設定からも感じられるところだ。
その一方で、フーガやシーマなどを含め、日産の高級セダンは、一部改良を重ねることで延命措置が図られている現実もある。かつて栄華を誇った日産の高級セダンの魅力は何処にあったのだろうか。
文/大音安弘、写真/NISSAN
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■日産高級セダンは『走り』で勝負
パワフルな加速を売りに爆発的なヒットを記録した初代シーマ
スカイラインに代表されるように、日産高級セダンの魅力は、何も豪華さや上質さだけではない。正直、その点では、常にトヨタがリードしてきた歴史がある。例えば、初代ソアラが切り開いた「ハイソカー」というジャンルも、主役はトヨタ。日産は賑やかしの脇役に過ぎなかった。
しかし、走りの良さとなれば、話は別だ。バブル期は、パワフルな加速を売りにした初代シーマは、爆発的なヒットを記録。日本中の運転好きなエグゼクティブたちを虜にし、「シーマ現象」という流行語まで生んだ。
興味深いのは、より上位に位置するインフィニティQ45は、セルシオに惨敗したことだ。サイズやパワー感などGTとして魅力的だったからこそ、シーマは、トヨタに打ち勝つことが出来た。それは後にトヨタが、初代アリストで応戦したことからも良く分かる。
残念ながら、日産は方針を誤り、シーマの天下が二度と訪れることはなかった。
■プリンス自動車から続く『飛行機屋』の魂
プリンス自動車出身の技術者、桜井眞一郎が育成した技術者たちの「901活動」は、写真のS13シルビアなどの名車を生んだ
日産が走りを重視した高級セダンを得意としたことは、やはり、プリンス自動車の存在が大きいだろう。
戦後、飛行機屋たちが、平和な日本に相応しい移動を楽しめるクルマを送り出したプリンスは多くの人々に愛され、小さなメーカーながら、御料車開発にも抜擢。世に送り出された際は、日産の看板を背負っていたこのの、その中身は、プリンス魂そのものだった。
近年は、特別な機会にのみ活躍していたが、旧型車が長く現役であったことは、機械として優れていたことを物語るエピソードだ。
そのプリンスの技術者で、近代の日産のクルマ作りに大きな影響を与えたのが、スカイラインの父、桜井眞一郎だ。高性能なクルマであるだけでなく、血の通ったクルマを目指し、人とクルマのコミュニケーションを重視したクルマ作りは、まさに走る喜びを体現したものであった。
桜井氏は、クルマだけでなく人の育成にも力を入れた。その技術者たちの高い志は、1980年代の「901活動」へと繋がっていく。これは「90年までに技術世界一を目指す」を目標とした活動で、S13シルビア、R32スカイライン、P10プリメーラなどの名車を生んでいく。
さらに高級車では、スポーティなセドリックとグロリアの「グランツーリスモ」シリーズも誕生。これにシーマが加わることで、スポーティな日産高級セダンの名はより高まっていく。
■日産セダンを追い詰めた『コストカッター』
『コストカッター』ゴーン体制下で生まれた名車は驚くほど少ない。その中で最大の転機をなったのはV35スカイラインだ
しかし、日産もバブル崩壊の余波を受けて、それまでも好調とは言えなかった経営が悪化の道を突き進む。その結果、ルノーとの資本提携を行い、その傘下に収まることに。その日産の救世主として送り込まれたのが、かのカルロス・ゴーンである。
コストカッターの異名を取るゴーンは、「日産リバイバルプラン」を推し進め、不可能ともいわれた大胆な経営改革を断行する。その結果、日産の経営は持ち直したが、その新生日産に、かつてのファンは大いに落胆を覚えたのも確かだった。
それは新型車に、かつてのような拘りが見いだせず、失われたものの大きさを感じさせたからだろう。当時の私もそんな印象を持っていた。
もちろん、販売上のヒット作も多く生まれたが、ゴーン体制下で生まれた日産車で名車と称されるクルマは驚くほど少ない。ただ、その中でも最大の転機といえるのが、V35スカイラインだろう。
元々、ローレルなどのミドルセダンの後継となるべき、高級セダンのコンセプトカー「XVL」を急遽、スカイラインへと仕上げたものだった。誤解してはならないのが、V35スカイライン自体は、駄作ではなく、むしろ優れたセダンであった。
しかし、それがスカイラインかと問われれば、疑問に感じたファンは多かったはずだ。その掛け違えたボタンは、V36型で軌道修正を図るも、現行のV37型となっても、スカイラインのようなものを作り続ける結果となってしまった。誰にも響かないスカイラインなど悲劇以外の何ものでもない。
挙句の果てには、インフィニティのバッチを付けるという暴挙にまで及んだ。それはフーガも同様で、主力となるインフィニティ主体の味付けやデザインは、結果として、かつての大人たちを魅了した日産高級セダンとは全く異なるものにしかならなかったのである。
■日産セダンの窮地はスカイラインが救う!?
現行スカイラインに設定された400R。走りのスカイラインを彷彿させる400Rはかつてのスカイライン党を大きく刺激した
しかし、今、少しずつ変化も生じている。それが2019年のビックマイナーチェンジのスカイラインだ。
確かに伝統の4灯丸目テールは、付け焼刃的でもある。しかし、走りのスカイラインを彷彿させる「400R」の新設定は、かつてのスカイライン党を大きく刺激したことも確かだ。
それは日産が、スカイラインのあるべき姿を改めて見つめ直したとも受け取れるだろう。それがインフィニティQ50のスポーツグレードのリファインだとしても……。
日産はスカイラインを諦めないというメッセージが本物かどうかは、この数年で答えが出るだろう。それが日産セダンの命運を決めるといっても過言ではない。スカイラインの名だけを受け継ぎ者では意味がない。それだけはしっかりと新型で示してほしいものだ。
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みんなのコメント
日産の基本でいつの時代も売れるはずのサニー、ブルーバード、プリメーラ、ローレル、セフィーロ、セドグロ、プレジデントをなくして日本のお客様を軽視したからここまで落ちぶれたんだよw犯罪者ゴーンがすべて悪い!
日産の「技術の日産」や「Feel the Beat」等、社としての魂がどこいっちゃったんでしょうかね。
という状況ではないか?
だから、やっちゃえ日産ではなく、やっちまった日産なんて揶揄されんだよ。