トヨタ自動車は、カーボンニュートラルなモビリティ社会実現に向け開発中の水素エンジンを搭載したカローラ(ORC ROOKIE Racing)を、5月22~23日に富士スピードウェイにおいて開催されたスーパー耐久シリーズ第3戦・富士24時間レースにデビューさせたが、7月31日~8月1日のS耐第4戦・オートポリスに改良型を投入。現地で記者会見を行なった。
今回の記者会見にはトヨタ自動車豊田章男(MORIZO)、大林組蓮輪賢治社長、トヨタ自動車九州永田理社長、GAZOO Racing Company佐藤恒治プレジデントにROOKIE Racing片岡龍也監督、ドライバーの佐々木雅弘、豊田大輔、井口卓人、松井孝允、さらに川崎重工橋本康彦社長が出席した。
■水素エンジン搭載の『カローラスポーツ』駆る小林可夢偉「このマシンには未来がある」|S耐久富士24時間
まず豊田社長が「前回の富士24時間が”使う側の自動車技術の選択肢を広げる活動”とするならば、今回は”再生可能エネルギー技術の選択肢を広げる活動”、次(鈴鹿)は”運ぶ技術の選択肢を広げる活動“となります。水素社会を実現するために仲間を増やすことが必要」と語った。
大林組は、大分県九重町に日本初の地熱発電電力を活用した”グリーン水素”を供給しており、今回はそのグリーン水素を水素エンジン車両に供給した。またトヨタ自動車九州は、太陽光発電により製造した水素を工場内で使用するフォークリフトや施設の照明等に使用しており、その水素を水素エンジン車両に提供した(水素供給比率は、福島県浪江町FH2Rが約50%、大林組が約30%、トヨタ自動車九州が約20%)。つまり九州で作った水素を九州のサーキットで使うことで、地産地消も実現することになった。
富士24時間から約2ヵ月が経過したが、その短い期間で車両も改良されたという。GAZOO Racing Company佐藤プレジデントによると、「富士24時間は完走したものの満身創痍であったので、信頼性の向上を目指した。エンジンは富士とは全く違うスペックで、ストレートの加速性能を9%向上、40kgの軽量化、ロールセンター高を変えるなどのセットアップ、そして給水素時間はFIA(国際自動車連盟)と相談しながら流速を上げて40%向上した」という。またエンジン内での水素の異常燃焼を抑えつつ、15%のトルクアップを果たした。ラップタイムは、富士でST-5クラス(排気量1,500cc以下)程度だったのに対し、今回はST-5クラスの上でST-4クラス(排気量1,501~2,000cc)の少し下あたりまで進化したようだ。
またトヨタ豊田社長は今後について「ぜひ他メーカーとも(水素エンジン搭載車両によるレースを)やっていきたい。まずはROOKIE RacingとGAZOO Racingであと3戦やってから声がけをしたい」とも語った。
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みんなのコメント
何気に凄い事を言っている。
トヨタ単独で開発はできるが、普及に向けて他企業や地域を撒き込んで発展、展開を考えているとは。
水素エンジンの可能性に期待します!