かつて「110(ワンテン)」の名で憧れの座をほしいままにしたディフェンダー110。2020年4月からいよいよ日本でも受注が始まった。
先代から約30年ぶりのフルモデルチェンジ、先行予約モデルの即完売など、ここまでですでに数々の話題を振りまいてきたディフェンダー。世界中で話題となっているその新型の試乗会の様子をお伝えする。
ついに公道試乗!! 日本の風景を変えられるか 正式発売直前 ホンダeの挑戦と実力
【画像ギャラリー】本文では紹介しきれなかった画像も! ディフェンダー、並み居るライバルたちの画像をギャラリーでチェック!!!
※本稿は2020年9月のものです
文:音羽スーパーSUV研究会/写真:ベストカー編集部/撮影:平野学
初出:『ベストカー』 2020年10月10日号
■新型ディフェンダーが日本上陸。SUV好きにとってこれは「事件」なのだ!
ディフェンダーといえばSUVの大王、1990年代最も過酷なアドベンチャーレースだった『キャメルトロフィー』の影響に加え、正規輸入がごくわずかな期間ということもあり、1年中半袖、半ズボンのエクストリームスポーツ愛好者からは、「神のSUV」としてあがめられた。
ディフェンダーは1948年誕生のランドローバーシリーズ1をルーツに持ち、基本的な骨格はそのままに2016年まで生産された
また50歳以上のおじさんたちは映画『野生のエルザ』に登場する姿を思い出されるかもしれない。
新型110に乗った時のアイポイントと車両感覚はあのでかいグランエースに近い。それもそのはず、全長こそグランエースよりも30cmほど短いが、全幅と全高はほぼ同じでどちらも2mに迫る。
現在も大人気のオリジナル110と比べると丸形ライトやボンネットフード、グリルなどデザイン面でのオマージュが見て取れる
しかし、走り出せば最高出力300psの2Lターボは滑らかな加速を見せ、4輪独立となったエアサスペンションが路面をしっかりとホールドするから、高級車のよう。
新たに開発したアルミ製のモノコックボディは、剛性面だけでなく、静粛性や乗り心地面でも魅力的なものとしている。
最低地上高は218mmだが、オフロード走行に合わせて最大291mmになる。逆に乗降性を高めるため-40mmとすることも可能だ
ルーフの後方には110とひと目でわかるアルパインライトウィンドウを採用。リアゲートは横開きで先代と共通
新型110の見せ場はオフロード。「テレインレスポンス2」によって地形をモニタリングし車両設定を自動で変更してくれる。ハードな方から 1.渡河 2.岩場 3.砂地 4.泥・轍 5.雪・砂利・芝生 6.コンフォート 7.エコとなる。
ジャガー・ランドローバーの主力エンジンPT204を採用。最高出力300馬力、最大トルク40.8kgmを発生
オフロードでは 1.~5.までのモードだが、これにツインスピードトランスミッション(2.93対1の低速ギア)、ロッキングセンターディファレンシャル(センターデフロック)、アクティブリアロッキング・ディファレンシャル(リアデフロック)といった先進装備が与えられ、かつては、ナビゲーターがクルマの外から誘導して走ったような凸凹道もステアリング操作だけであっさりとこなしていく。しかも怖さがない。
11月に日本でも公開される007の最新作『NO TIME TO DIE』で新型ディフェンダーは、泥道の激走、ジャンプに横転と七転八倒しながら、そのタフネスぶりをアピールするが、その強さと安心感は日本でも味わえるはずだ。
ショートホイールベースの90もラインナップ。全長4510mmと435mm短く、最小回転半径は5.3mと80cm小さく当然オフロード性能も高いが、110で標準のエアサスはオプションでコイルサスが標準。90は499万円から
ディフェンダー価格一覧。欧州仕様には2Lディーゼルターボ(最高出力200ps&240ps)と直6、3Lガソリンターボ(最高出力400ps)もあり、日本導入を期待したい
■ディフェンダー対世界のライバルたち
新型ランドローバー110が、どのくらいすごいモデルか? は、世界最高峰のSUVと比べるにかぎる。英、米、独、日のトップモデルが激突し、キングを決める!
●加速性能
【ライバルその1・イギリス代表 席巻するか!?期待の新人】ディフェンダー110 HSE 812万円……新型D7xプラットフォームを採用し、オリジナルの110に比べると快適性や静粛性を大幅にアップ。乗り手を選ばず、驚きの走破性を獲得した
まずはオンロードの加速及び最高速比べ。6台のスーパーSUVをわかりやすくチーターと比べてみよう。
チーターは最高速120km/h近くで走る地上最速の動物。0~100km/hは3秒強というからさすがにチーターが本気で襲えば、どのSUVも捕まってしまう。チーター恐るべし。
この6台ではG350dが低速トルクを生かして2.5トンにもなる車重にもかかわらず速い! 期待の110は2.2トン超と重いので最高速もそれほど伸びない。
動力性能の比較表
●クロカン性能
【ライバルその2 イギリス第2代表・新人と同門の超本格派】ランドローバー ディスカバリー HSE 877万円…ディフェンダーが登場するまではランドローバー社のラインナップのなかでは最もオフロードを得意とするモデル。オンとオフのバランスがよく居住性もいい
写真のアイベックスのように自由に崖を上りたい! オフロードの走破性を決めるのは最低地上高と、アプローチ、デパーチャー、ランプブレークオーバーアングルの3つの角度がそれぞれ大きい方がいい。
この数字をいかに稼ぐかは重要でデザインを左右することは言うまでもない。数字だけを見ればエアサスの110がリードする。
3つのアングルと最大渡河
いずれのモデルもローレンジを持つがルビコンはパートタイムに加え、4輪リジッドコイルと耐久性の面でも優れる。
さらにローレンジ比はルビコンが4.00:1、110やGクラスは2.93:1と単純計算だがルビコンは約4倍、110やGクラスは約3倍の力が出せることになる。
ルビコンがピカイチだが、経験とテクニックがないと、その性能を生かし切れない。
オフロード性能の比較表
●渡河能力
【ライバルその3 アメリカ代表・オフロード性能はダントツ!】ジープ ラングラー アンリミテッド ルビコン 612万円……オフロードはおまかせのスペシャルヘビーデューティモデル。サブトランスファに加え、4輪リジッドサスペンションはJeepの伝統だ
【ライバルその4 ドイツ代表・セレブに好かれる極上の安心感】メルセデスベンツ G350d 1237万円…人気のGクラスはストレート6のディーゼルターボを選べるのが強み。オフロードの走破性はもちろん、オンロードでのスポーティな走りも光る
日本でも豪雨災害が多発し、渡河能力が重要視されはじめてきた。一般に600mmほどの水深で乗用車は動かなくなってしまうといわれている。
日本にワニはいないが、アメリカにはフロリダ南部をはじめアメリカワニに代表されるワニたちが生息している。もしも、うっかりはまってしまったらワニの餌食になってしまうかもしれない。
ランドローバーの2台はさすがの900mm、日本のランドクルーザー勢は700mmあり、まずまずだ。
渡河最大水深の比較表
●乗り心地
さて乗り心地は乗り手の好みで評価は異なる。そこでここでも動物で例えることにした。現在でも動物に乗るといえば馬やラクダだが、乗り心地という点ではいいとは言えない。
【ライバル その5 日本第1代表・ベテランながらバランスよし】トヨタ ランドクルーザー ZX 697万4000円……さすがに2007年登場とライバルに比べると古いが、基本性能は高く、V8特有のラグジュアリーな走りは、今でも充分魅力的だ
タイに観光に行きアジア象に乗ったことのある方はその優しく安定感のある乗り心地に感心したはず。
そういった評価ならわが日本のランドクルーザーが一番。しかし、高速移動もこなすフラットライドな乗り心地というならディフェンダー110が一番。
新幹線に乗ったような振動の少なさや静粛性の高さは新型プラットフォームの効果だろう。またGクラスも直進性は高い。
6車をセカンドシートに乗車しての長距離移動という観点で評価すれば、1.ディフェンダー110、2.ランドクルーザー、3.Gクラス、4.ディスカバリー、5.ランドクルーザープラド、6.ラングラールビコンとした。
【ライバルその6 日本 第2代表・パワーアップで洗練度もアップ】トヨタ ランドクルーザープラド 2.8TZ-G 553万円……2.8Lディーゼルエンジンが130kwから150kwへと大幅にパワーアップし、コストパフォーマンスも大幅にアップ。日々の使い勝手を考えるとナンバーワンのお買い得モデルだ
●総合力
今回取り上げた6つのモデルは、いずれも世界七大陸を自由に快適に走れるポテンシャルを持つが、ここまで見たとおりオフロードの走破性で抜きんでているのはラングラールビコンで次点が110となるが、ラングラールビコンを操るには腕と経験が必要。
オンロードの快適さではGクラスが110やディスカバリーのランドローバー勢を若干リードするが、価格を考えると110が魅力的で、オンとオフの総合力で抜けた存在となる。日本勢は両車とも発売から10年以上経過し、新型が待ち遠しい!
主要諸元比較表
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