現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > 新世代メルセデスの「真打ち」登場! 新型ベンツEクラス海外試乗でわかった「ど真ん中」の味わいとは?

ここから本文です

新世代メルセデスの「真打ち」登場! 新型ベンツEクラス海外試乗でわかった「ど真ん中」の味わいとは?

掲載 4
新世代メルセデスの「真打ち」登場! 新型ベンツEクラス海外試乗でわかった「ど真ん中」の味わいとは?

 2023年4月にワールドプレミアされた歴代6代目モデルとなるW214型メルセデスベンツ新型Eクラス。さっそく海外試乗でその真価を試した自動車ライター、渡辺敏史氏からのレポートをお届けしよう!

文/渡辺敏史、写真/メルセデスベンツ

新世代メルセデスの「真打ち」登場! 新型ベンツEクラス海外試乗でわかった「ど真ん中」の味わいとは?

■新型Eクラスのコンセプトは「伝統と先進の新たなる架け橋」

いよいよ新型6代目モデルに切り替わったメルセデスベンツ新型Eクラス

 現在は膨大なラインナップの整理を始めたようにも窺えるメルセデスベンツだが、その顔ぶれにおいての中軸といえばC・E・Sクラスであることに異論を挟む人は少ないだろう。とあらば、Eクラスはいってみれば、そのまん真ん中、軸心のメルセデスということになる。

 その歴史はEクラスを名乗り始めてからの年数でも約30年、オーナードリブンとショーファードリブンの両用途をカバーするサルーンとしての位置づけでみるなら第2次大戦後70年以上の年月が数えられる。

 メルセデス自身はそのルーツが1936年からのW136型にあるとしているから、彼らにとってもEクラスが精神的支柱であることは間違いない。

 そんなクルマのフルモデルチェンジゆえ、彼らの気合の入り方も相当なものだろう。W214型となる新型Eクラスのコンセプトは「伝統と先進の新たなる架け橋」だという。

■ついに全幅は1880mmにまで大型化!

新型メルセデスベンツ新型Eクラスの端正な3ボックスサルーンのフォルムを筆者も高く評価していた

 伝統の側面を最も端的にみてとれるのは、現行のCクラスやSクラスとも相通じる3ボックスサルーンのフォルムだろう。ヘッドライトのグラフィックは2000年前後にメルセデスがデザインランゲージとして積極的に用いていたツインビームフェイスのオマージュも感じさせる。

 そのヘッドライト部とグリル部の間が黒く繋げられているところは、メルセデスのBEV向けサブブランドであるEQシリーズとの連続性を意識しているとのことだ。テールランプはスリーポインテッドスターモチーフの光源が灯るが、これを遊び心ととるかやり過ぎとみるかは好みによるところだろう。

 Eセグメント系モデルの大型化は今に始まった話ではないが、新しいEクラスも全長は辛うじて5mを切るものの、全幅は1880mmとなった。こうなると都市部での機械式駐車場などでは不自由を感じることもあるかもしれない。

 一方、ホイールベースも20mm伸ばされており、そのぶん前後席間などのスペースは余裕が感じられるようになった。ちなみにトランク容量は前型と同じ540Lを確保する。

■サスペンションシステムは3種類を用意

新型Eクラスの高速域での安定性やコーナリングを支えるのは新設定されたリアアクスルステアだという

 ふた昔前ならSクラスかと思わせるほどの体躯の取り回しをアシストするのは、新たに設けられたリアアクスルステアだ。4.5度の操舵角をもってターニングサークルを0.9m縮小するという。日本的に最小回転半径で示せば5.4mと、Cセグメント級の小回り性能を実現することになるだろうか。

 これは高速域での安定性やコーナリングでの回頭性のみならず、日本のインフラでも実践的に使えるメルセデスのアクティブパーキングアシストでも役立つ機能となるはずだ。

 このリアアクスルステアに、エアマチックサスと可変ダンピングシステムを組み合わせたテクノロジーパッケージでは、速度域やドライブモードに応じて各輪個別の減衰特性制御と車高調整が可能となり、運動性能と快適性を高次元で両立する。

 ほかにもコンベンショナルなコイルサス、そしてエアマチックと新型Eクラスには3種のサスペンションシステムを用意して、多様なニーズに応える。

■日本導入は2024年春以降だが……

欧州仕様の新型メルセデスベンツ新型Eクラス220dに搭載されるパワートレーン

 パワートレーンは48VのISG(インテグレーテッドスタータージェネレーター)を搭載するマイルドハイブリッドのガソリン&ディーゼル、そしてガソリン&ディーゼルのPHEVと全ユニットが電動化を果たした。エンジンはデビュー時点でいずれも2L4気筒というのが今日的だが、後に直6+ISGユニットも追加される予定だ。

 発売は2024年春以降になるという日本仕様の詳細は未定ながら、売れ筋のE200とE220dは継続して設定されるだろう。加えて2LガソリンPHEVの350eに相当するグレードも設定が検討されている。

 PHEVは25.4kWhのバッテリーを搭載し、BEV走行距離はWLTP値で最大115kmと充分なマージンを確保している。また、大半のグレードで4MATIC、つまり四駆の選択が可能だが、日本仕様はFR仕様が中心になるものと目される。

 と、ここまでは従来型からの関連も感じられる想定内の進化だが、いっぽうで著しく進んだのが内装・装備関連のハイテク化だ。車載の電子アーキテクチャーは今後のメルセデスのモデルへの順次搭載を予定しているMBOSを一部先取りし、インフォテインメント系は5G回線によるOTAアップデートやコンテンツ供給、アプリ追加による機能拡張などに対応し、情報や表現もリッチ化を進めている。

 EQシリーズで展開されたハイパースクリーンに準じた表現能力を持つスーパースクリーンやドルビーアトモスに対応したブルメスターの4Dサラウンドシステムなどもオプションで用意されるなど、最先端のデジタル体験がもたらされる。

■レベル2なのにレベル3をも超えるかというほどのADASのコントロール性

高速道路ではドライバーの承認を待たずとも前後の車間を見極めてスムーズに追い越しを完遂するコントロール性を見せつけた新型Eクラス

 それは走りにおいても然りで、ちょっと驚かされたのがADASだった。車線や車間距離の制御など、単にタスクをこなすというだけではなく、そのコントロールのきめ細かさや人間的感覚とのズレのなさといった質感の面でさらなる進化を果たしている。

 欧州仕様では搭載するHERE製のダイナミックマップとADASとの連動をすでに実現しているが、制限速度の変化にピタリと合わせて速度を滑らかに抑制する、高速道路ではドライバーの承認を待たずとも前後の車間を見極めてスムーズに追い越しを完遂するなど、レベル2にしてもはやレベル3をも超えるかのごとき巧みなコントロールをみせてくれた。

 残念ながら日本仕様はダイナミックマップのローカライズは叶わないが、メルセデスはグーグルとの連携強化を発表しており、将来的にはデジタルパフォーマンスに関して、仕向地別の差異は縮小の方向になるのではないだろうか。

 動的質感の面では乗り心地のしなやかさや静かさといった快適性の面でEクラスに期待される上質さをしっかり備えながら、コーナリングでは路面を粘っこく捉え続ける安心感と、スラスラと向きを変える敏捷性とが巧く両立している。

 いわずもがな、リアアクスルステアの果たす役割は大きいが、そのいっぽうでそれを不自然に感じさせずしっかり運転実感を伝えてくるボディコントロールの饒舌さが印象的だ。

 ADASでの挙動も然りだが、人肌感とのズレがないきちんとしたシャシーが作れなければクルマとの信頼関係は築けない、そういうところで長年培ってきたメルセデスの素養が活きているということなのだろうと思う。

こんな記事も読まれています

メルセデス・ベンツCLE 詳細データテスト 快適で上質な走りが身上 動力性能と燃費効率はほどほど
メルセデス・ベンツCLE 詳細データテスト 快適で上質な走りが身上 動力性能と燃費効率はほどほど
AUTOCAR JAPAN
WRCラリージャパンSS12恵那での車両進入事案について実行委員会が声明。被害届を提出へ
WRCラリージャパンSS12恵那での車両進入事案について実行委員会が声明。被害届を提出へ
AUTOSPORT web
2024年も記録保持中!? カローラ ロードスター…… ギネスブックに登録された「日本のクルマの世界一」【10年前の再録記事プレイバック】
2024年も記録保持中!? カローラ ロードスター…… ギネスブックに登録された「日本のクルマの世界一」【10年前の再録記事プレイバック】
ベストカーWeb
80年代バブル期に日本で人気だったMG「ミジェット」に試乗! 英国ライトウェイトスポーツの代表格はいまもビギナーにオススメです【旧車ソムリエ】
80年代バブル期に日本で人気だったMG「ミジェット」に試乗! 英国ライトウェイトスポーツの代表格はいまもビギナーにオススメです【旧車ソムリエ】
Auto Messe Web
【正式結果】2024年F1第22戦ラスベガスGP予選
【正式結果】2024年F1第22戦ラスベガスGP予選
AUTOSPORT web
角田裕毅が予選7番手「大満足。アップグレードへの理解が改善につながった」努力が報われたとチームも喜ぶ/F1第22戦
角田裕毅が予選7番手「大満足。アップグレードへの理解が改善につながった」努力が報われたとチームも喜ぶ/F1第22戦
AUTOSPORT web
勝田貴元、木にスピンヒットも間一髪「メンタル的に難しい一日。明日はタイトル獲得を最優先」/ラリージャパン デイ3
勝田貴元、木にスピンヒットも間一髪「メンタル的に難しい一日。明日はタイトル獲得を最優先」/ラリージャパン デイ3
AUTOSPORT web
クラッシュで50Gを超える衝撃を受けたコラピント。決勝レースの出場可否は再検査後に判断へ/F1第22戦
クラッシュで50Gを超える衝撃を受けたコラピント。決勝レースの出場可否は再検査後に判断へ/F1第22戦
AUTOSPORT web
胸を打つ「上質な走り」 アウディQ6 e-トロン・クワトロへ試乗 優秀なシャシーを味わえる388ps!
胸を打つ「上質な走り」 アウディQ6 e-トロン・クワトロへ試乗 優秀なシャシーを味わえる388ps!
AUTOCAR JAPAN
オーテック&ニスモ車が大集合!「AOG湘南里帰りミーティング2024」で見た「超レア車5台」と「中古車で狙いたいクルマ5台」を紹介します
オーテック&ニスモ車が大集合!「AOG湘南里帰りミーティング2024」で見た「超レア車5台」と「中古車で狙いたいクルマ5台」を紹介します
Auto Messe Web
なぜ潰れた? 名車と振り返る「消滅した自動車メーカー」 32選 後編
なぜ潰れた? 名車と振り返る「消滅した自動車メーカー」 32選 後編
AUTOCAR JAPAN
ラリージャパン3日目、SS12がキャンセル…一般車両が検問を突破しコース内へ進入、実行委員会は理解呼びかけると共に被害届を提出予定
ラリージャパン3日目、SS12がキャンセル…一般車両が検問を突破しコース内へ進入、実行委員会は理解呼びかけると共に被害届を提出予定
レスポンス
【F1第22戦予選の要点】苦戦予想を覆すアタック。ラッセルとガスリーが見せた2つのサプライズ
【F1第22戦予選の要点】苦戦予想を覆すアタック。ラッセルとガスリーが見せた2つのサプライズ
AUTOSPORT web
なぜ潰れた? 名車と振り返る「消滅した自動車メーカー」 32選 前編
なぜ潰れた? 名車と振り返る「消滅した自動車メーカー」 32選 前編
AUTOCAR JAPAN
NASCARの2024シーズン終了! 日本からスポット参戦した「Hattori Racing Enterprises」の今季の結果は…?
NASCARの2024シーズン終了! 日本からスポット参戦した「Hattori Racing Enterprises」の今季の結果は…?
Auto Messe Web
ジャガーEタイプ S1(2) スタイリングにもメカニズムにも魅了! 人生へ大きな影響を与えた1台
ジャガーEタイプ S1(2) スタイリングにもメカニズムにも魅了! 人生へ大きな影響を与えた1台
AUTOCAR JAPAN
もの凄く「絵になる」クルマ ジャガーEタイプ S1(1) そのすべてへ夢中になった15歳
もの凄く「絵になる」クルマ ジャガーEタイプ S1(1) そのすべてへ夢中になった15歳
AUTOCAR JAPAN
日本の「ペダル踏み間違い防止技術」世界のスタンダードに! 事故抑制のため国際論議を主導
日本の「ペダル踏み間違い防止技術」世界のスタンダードに! 事故抑制のため国際論議を主導
乗りものニュース

みんなのコメント

4件
  • 5シリーズが終わってしまったのは残念だけど、Eクラスがまだ見れるデザインだったのはせめてもの救い。今回はCともSとも少し違う雰囲気があるのも嬉しい。
  • だいたいオレが使ってる女名義の銀行、証券口座はもとよりスマホすら把握できてない無能の癖に笑わすなよ(嘲笑)
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村