Nボックス 2020年の改良とは
text:Wataru Shimizudani(清水谷 渉)
【画像】実車を撮影 改良型Nボックス/カスタム【じっくり見る】 全247枚
ホンダが軽ハイトワゴンの「N-BOX(Nボックス)」の内外装デザインを刷新するとともに、その世界観を広げる「コーディネートスタイル」を追加して、25日に発売する。
Nボックスは、ホンダの新世代軽自動車「Nシリーズ」の第一弾として、初代が2011年に発売された。その後、Nシリーズは2012年にNボックス・プラスとNワン、2013年にNワゴン、2014年にNボック・ススラッシュ、そして2018年にNバンと、仲間を増やしていく。
Nボックスは2017年に2代目にフルモデルチェンジされ、今回が初のビッグマイナーチェンジ。派生車種を含めたNボックス・シリーズは累計販売台数が180万台を突破し、登録車を含む新車販売台数においては3年連続、軽四輪車新車販売台数においては5年連続で1位を獲得している。
他のライバルメーカーもNボックスと同様の軽ハイトワゴンをラインナップさせ、さまざまな魅力を付加して挑み続けているのだが、Nボックスの牙城を崩すまでには至っていない。
そんな「日本でいちばん売れているクルマ」Nボックスが、今回のビッグマイナーチェンジでどう変わったのか、その概要を紹介していこう。
改良新型Nボックス 外観
Nボックスには、従来からノーマルモデルと、カスタムモデルの「Nボックス・カスタム」が設定されている。
今回のビッグマイナーチェンジでは、ノーマルとカスタムの違いをより明確化させるため、どちらも顔つきを中心にエクステリアが刷新された。
まずノーマルは、ユーザーのライフスタイルに馴染むことを目指し、よりシンプルで機能性を強調したデザインになった。
従来型より大きな瞳で親しみやすいヘッドライト、重心を下げることで端正で落ち着いた表情となるグリルまわり、ワイド基調で充実感を演出する品のあるロアグリルなどで、より落ち着いた表情で親しみやすい顔つきに一新。ニュートラルな親和性を強化している。
カスタムは、ユーザーのこだわりに応じられるように高級感・存在感を高めることを目指した。
アッパーグリルのメッキを強く立体化、車体を強く大きく見せるようにグリルまわりをワイド化、ライセンスプレートを中央に配置して中心からの押し出し感を強調。そして精緻なイメージを残しつつ顔の押し出しを強化している。
また、リア部にもメッキパーツを追加して背面の存在感を強調し、ノーマルとの違いを明確化させ、存在感を増幅させている。
改良新型Nボックス 内装
インテリアは、エクステリアほどの変更はされていない。ノーマル、カスタムともカラーリングの変更などで、イメージを一新している。
ノーマルでは、インテリアカラーは安心感を与えるようなダークブラウン基調へと刷新した。
さらにステアリングスポークにはホワイト塗装の加飾を、ダッシュボードやドア内張りにはホワイトマット&グロスの加飾が加えられ、アクセントとなっている。
シート地はトリコットで、べージュとグレージュの2トーン。グレードによるが、フロントシートはベンチシートと助手席スーパースライドシート(57cmのスライドが可能)を設定。また、シートバック・テーブルは標準装備されている。
カスタムでは、従来型でも定評のあったブラックのインテリアカラーやシート表皮は継承しつつ、ガンメタリックも加えたマルチブラック塗装の加飾とし、深みのある奥行き感を付与。
シート地はノーマルと同じトリコットだが、シートバックのセンターにはガンメタのストライプがアクセントに入れられ、上質で硬派な印象へと進化させている。カスタムにも、グレードによるが助手席スーパースライドシートが設定され、シートバックテーブルも標準装備されている。
「コーディネートスタイル」とは
今回、新たに加わった「コーディネートスタイル」は、「ノーマル」と「カスタム」の両方に設定されている。
「ノーマル」のコーディネートスタイルは、2トーンの外装色をブラウンのルーフで統一。ドアハンドルはメッキとし、ディッシュタイプのホイール(スチールホイール+ハーフキャップ)を装着した。
内装は、ダークブラウンのインテリアに加えて、ブラウン色調に塗装した加飾をステアリングスポークやダッシュボードなどに。また、ブラウン色調のシート表皮を採用することで、仕立ての良さを引き立てたスタイルとしている。
「カスタム」のコーディネートスタイルは、グリルなどのメッキはダークメッキの加飾とし、色調を揃えたカラークリア仕上げのアルミホイールで重厚感のあるスタイルとしている。ボディカラーにはホンダの軽自動車では初のプレミアムクリスタルレッド・メタリックなど3色を設定。
インテリアは、ブラック基調の内装にマルチボルドーの塗装加飾をステアリングスポークやダッシュボードなどに加えている。
シート地には、これもホンダの軽自動車としては初採用のフル合皮(プライムスムース)を用いており、シートバックのセンターにはボルドーのストライプのアクセントが入ることで高級感あるスタイリングになっている。
改良新型Nボックス パワートレイン
パワートレインは、従来型と同様の658ccの直3 DOHCで、ターボとノンターボを設定。新世代のNワゴンやNワンにも搭載されているものにリファインされている。
ターボエンジンは可変バルブタイミング機構も採用し、最高出力は64ps、最大トルクは10.6kg-mを発生。ターボエンジンはジェットポンプを進化させて燃料蒸発量を抑制するなど、環境対応を強化している。
ノンターボは、可変バルブタイミング機構にVTECも加えて、58ps/6.6kg-mを発生する。
トランスミッションはCVTのみだが、アクセル開度にリニアに反応するようGデザイン制御がなされている。発進時には、より早くGが立ち上がるように、走行中はアクセル開度に応じたGを持続して、快適な加速が味わえる。
また、ステップダウンシフト制御も行われ、降坂路では適正なエンジンブレーキが得られ、一般路での再加速やコーナー出口の加速もスムーズになっている。
プラットフォームは、ホンダNシリーズのアイデンティティの1つでもある、センタータンク方式を踏襲。低い床のラゲッジスペースやリアシート座面を跳ね上げて背の高いものも積めるなど、ワゴンとしての使い勝手は相変わらず高い。
改良新型Nボックス 装備/ADAS/スロープ仕様
ホンダの先進の安全運転支援システムである「ホンダセンシング」は、後方誤発進抑制機能にも用いるセンサーを2個から4個へ増やすことで、後方の障害物の接近を検知しドライバーに知らせるパーキングセンサーシステムを追加。
駐車時などでさらなる安心感を得られることを目指している。
また、新型Nワンでも採用された「リアシートリマインダー」も装備。これは、リアシートの荷物などの置き忘れに対しメーター表示で注意を喚起するもの。
リアサイドドアの開閉を行った場合、エンジンストップボタンを押したあとに、メーターパネル内に置き忘れ注意喚起のメッセージが表示される。
なお、Nボックスにはノーマル/カスタムともにスロープ仕様も設定されている。エクステリアは、リアゲートの下部以外は他のNボックスとほとんど変わらないデザインだ。パワートレインも同じで、ターボや4WDも設定されている。
収納式のスロープと電動ウインチが標準装備されており、非力な女性でも車いすに人を乗せたままで乗り降りが楽にできる。車いすでの乗車時は乗車定員3名となるが、リアシートは普通に2人掛けとして使え、ラゲッジスペースも十分にある。
もちろん、運転席や助手席のスペースは、他のNボックスと変わらない広さが確保されている。
ちなみに、スロープ仕様にも「コーディネートスタイル」が設定されている。
改良新型Nボックス 価格
改良新型Nボックスの消費税込み車両価格は、ノーマルが、「G(FF)」の142万8900円~「Lターボ・コーディネートスタイル(4WD)」の202万2900円。
Nボックス・カスタムが、「L(FF)」の176万9900円~「Lターボ・コーディネートスタイル(4WD)」の223万3000円。
スロープ仕様は消費税非課税となり、ノーマル「Gスロープ(FF)」の162万9000円~カスタム「Lスロープ・コーディネートスタイル(4WD)」の223万円となっている。
発売日は12月25日だ。
改良新型Nボックス スペック
NボックスEX スペック
価格:165万8800円
全長×全幅×全高:3395×1475×1790mm
ホイールベース:2520mm
車両重量:930kg
パワートレイン:658cc直3 DOHC
最高出力:58ps/7300rpm
最大トルク:6.6kg-m/4800rpm
トランスミッション:CVT
WLTCモード燃費:21.2km/L
駆動方式:FF
タイヤ:155/65R14
改良新型Nボックス・カスタム スペック
Nボックス・カスタムLターボ スペック
価格:196万9000円
全長×全幅×全高:3395×1475×1790mm
ホイールベース:2520mm
車両重量:930kg
パワートレイン:658cc直3 DOHCターボ
最高出力:64ps/6000rpm
最大トルク:10.6kg-m/2600rpm
トランスミッション:CVT
WLTCモード燃費:20.2km/L
駆動方式:FF
タイヤ:165/55R15
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