WEC世界耐久選手権は2月27日、カタールのルサイル・インターナショナル・サーキットで、2024シーズンの公式テスト“プロローグ”2日目のセッションを行った。
ハイパーカーに新たなマニュファクチャラーが加わり、LMP2は廃止、GTクラスはLMGTEからLMGT3へ移行するという、注目点の多いシーズンのスタートがいよいよ切られている。27日はポルシェ・ペンスキー・モータースポーツの5号車ポルシェ963が全体ベストタイムを記録し、2日間のテストを締めくくっている。
【2024年WECをイチから学ぶ】ハイパーカー9車種がしのぎを削る黄金時代が到来。一新されたGTカテゴリーも激戦必至
ここでは、テスト2日目のルサイルのパドックから、各種トピックスをお届けする。
■最多周回は昨年ル・マン・ウイナー
ルサイル・インターナショナル・サーキットで行われた2日間のプロローグテストは、火曜日の第4セッションをもって終了。フレデリック・マコウィッキは、最終セッションで全体のベストタイムとなる1分40秒404を5号車ポルシェ963で記録した。
周回数の面で見てみると、テスト全体で最も多くの周回を記録したハイパーカーエントリーはフェラーリAFコルセの51号車フェラーリ499Pで、2日間で292周を走破。これに続いたのは2台のトヨタGR010ハイブリッド(TOYOTA GAZOO Racing)で、8号車が291周、7号車が280周を走行した。一方、最も少なかったのは153周にとどまったイソッタ・フラスキーニ・ティーポ6-Cだった。
LMGT3では、マンタイ・レーシングがオペレートする2台のポルシェ911 GT3 Rが周回数ではトップとなり、91号車が258周、92号車が256周となり、チームWRTの46号車BMW M4 GT3が251周で続いた。
■テストからトラックリミット違反は厳しく監視
火曜日の2つのセッションを通して、多くのドライバーがトラックリミット違反でペナルティを受けた。 3人のドライバーは、10分間のストップ&ホールドペナルティを受けている。ユナイテッド・オートスポーツ95号車マクラーレン720S GT3 Evoの佐藤万璃音、15号車BMW MハイブリッドV8のふたり、ラファエル・マルチェッロとマルコ・ウィットマンの3人である。
また、同様に5分間のペナルティを科せられたのは、94号車プジョー9X8のポール・ディ・レスタ、50号車フェラーリ499Pのアントニオ・フォコ、アコーディスASP78号車レクサス RC F GT3のティムール・ボグスラフスキーとケルビン・ファン・デル・リンデ、31号車BMW M4 GT3のダレン・レオン、そしてプロトン・コンペティションの88号車フォード・マスタングGT3のジョルジオ・ローダという面々だ。
■新BoPシステムはテストできず?
トヨタ・ガズー・レーシング・ヨーロッパの新たなテクニカル・ディレクター、デビッド・フルーリーによれば、FIAとACOによる新しいいわゆる『2ステージBoP』の評価は、プログラム上の問題により当初の計画通りに実施されなかったと理解されている。
「昨日の夜に予定されていたが、残念ながら正しくプログラムされていなかった。他の陣営もそうだと思う」とフルーリー。「少なくとも我々の側でどうにかできるものではなかった。結局のところ、我々はそれをテストしていない」。
■テストで速くても気にしないポルシェ
ポルシェ・ペンスキー・モータースポーツのマネージングディレクター、ジョナサン・ディウグイドは、テストにおけるトップタイムというパフォーマンスが、3月2日に行われる第1戦『カタール1812km』での勝利に向けた布石になることを軽視している。
「例としては、(昨年までの)セブリングでのプロローグを挙げることができる」とディウグイド。
「ペースなどについて、あまり深読みするつもりはない。正直に言うと、我々はここでの(11月下旬に行われた)テストで、皆がどんなタイムを記録したか知っている。(彼らが)速かったとは言わないが、いまとは順位が違う」
5号車と6号車、どちらのファクトリーポルシェも予選シミュレーション走行を試みず、タイヤとロングランに重点を置いた。ディウグイドによると、参加したすべてのハイパーカーチームがタイヤのグレイニングに悩まされた12月のテストとは異なり、それを経験したのは月曜夜の最初のセッションのみだったという。
6号車ポルシェは、テスト中にバリアに衝突したことが知られている唯一の車両だ。最終セッションでケビン・エストーレがターン15出口の縁石でコントロールを失い、車両をウォールに衝突させた。
「ノーズとリヤにダメージがあったようだ」とディウグイド。
「だが我々はノーズを交換し、簡単なセットアップチェックのためにすぐにコースへと戻った」
■キャデラックの安定感
2号車キャデラックVシリーズ.R(キャデラック・レーシング)は、参加した3つのセッションすべてでトップ5に入った唯一のハイパーカーだ。最終セッションでチームの最速タイムを記録したアレックス・リンは、次のようにコメントしている。
「全体として、プロローグでの出来にはかなり満足している。クルマはここカタールで非常にうまく機能しており、(昼と夜の)両方のコンディションにおいて、僕らはいいポジションにいるように見える」
「現時点で、クルマはとても良い状態にあると思う。このクルマとしても、素晴らしいスタートを切った。1月の(IMSA開幕戦)デイトナでも好調だった。 今年はライバルが増えているけど、全体的にはとても満足しているし、レースウイークが楽しみだ」
なお、キャデラックは、プレマ・レーシングやバーウェル・モータースポーツなどのチームで働いた経験を持つエリーズ・ムーリーという新しい戦略エンジニアを2号車に迎えている。彼女はキャデラックの別のメンバー、ジョナサン・モーリーと結婚している。
チームマネージャーのスティーブン・ミタスは次のように述べている。「チームの核は(昨年と)同じであり、それには正当な理由がある。なぜなら、チームは昨年素晴らしい仕事をしたからだ。その継続性が助けとなる。お互いを学べば学ぶほど、一緒に活動することが容易になるのだ」。
■ルサイルはタイヤに厳しいサーキット?
プジョーのドライバー、ストフェル・バンドーンは、ミシュランのミディアムとハードコンパウンドから選択できるルサイルでのタイヤについて、摩耗の観点からハイパーカーカテゴリーが直面する困難について説明した。
「タフなトラックであり、負荷の高い複合コーナーが多い」と彼は語った。
「現時点では、ミディアムは極めてトリッキーだ。グレイニングもあるし、摩耗の問題もある。ハードの摩耗はかなり少ないが、ミディアムではよりダメージを受けることになる」
「ミディアムは最初のウォームアップで大きなアドバンテージを与えてくれるが、ロングランでは苦しむことになるので、良い点と悪い点のバランスを取っているところだ。何らかの方法でうまくいくのなら、それはおそらく良いことだが、現時点ではその可能性は低いようだ」
■ビスタAFコルセ、フロー組の強み
AFコルセのスポーティング・デイレクターを務めるロン・ライヒェルトは、ダビデ・リゴン/トーマス・フロー/フランチェスコ・カステッラッチがトリオとして残ることで、ライバル勢と比較してビスタAFコルセはLMGT3ラインアップの継続という観点から恩恵を受けることができると信じている。
「我々は非常に良い立場にあると思う」と彼は言った。
「54号車のラインアップは変わっていない。昨年は富士で優勝し、ル・マンではフェラーリ勢最高位でフィニッシュするなど、非常に成功したラインアップだ」
姉妹車の55号車のラインアップについて、ライヒェルトは次のように付け加えた。
「アレッシオ(ロベラ)は83号車(昨年のリシャール・ミルAFコルセ)からやって来ているので、55号車のラインアップもある程度の経験がある。だから正直に言うと、 私は自信を持っている。継続性が重要であり、我々はACOのチャンピオンシップやWECで多くの経験を持っているので、非常に良い位置にいると確信している。
なお、フェラーリの広報担当者は、ロベラとリゴンがハイパーカークラスのAFコルセのリザーブドライバーとして待機していることを認めている。
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