CHEVROLET CAMARO SS × CAMARO CONVERTIBLE
シボレー カマロ SS × カマロ コンバーチブル
ジャガー史上最強のハイパーセダン「XJR575」、そのツボは絶妙なセッティングのアシにあった 【Playback GENROQ 2018】
アメリカンマッスルの新流儀
アメリカを代表するスポーツクーペ、シボレー カマロが6代目へ進化を遂げた。新型は先代より小さいサイズながらワイド&ローの迫力あるデザインを実現。ラインナップは6.2リッターV8のカマロ SSのほか、2.0リッター直4ターボモデルも設定される。アメリカンマッスルの象徴であるV8モデルを中心に新型の世界を堪能した。
「453psをしっかり受け止めるシャシー。新型カマロの真骨頂はまさにそこにある」
シボレーを代表するピュアスポーツモデルがコルベットなら、カマロはそこから一歩退いたスポーティネスを実用的な4シーター&ラゲッジスペースのパッケージに内包することで多くの支持を集めてきたモデルだ。80~90年代を生きた3~4代目は時流的嗜好に合わせてハッチバックボディを採用したが、基本は独立したトランクルームを持つノッチバックのクーペスタイルを守っている。特に5代目では、当時バカ売れだったマスタングの好敵手として67年に登場した、初代のデザインイメージが色濃く反映された。
先日、日本上陸を果たした6代目は、その5代目からのテイストを基本的には踏襲している。それもあってコンポーネンツは5代目との共通項が多いように思えるかもしれないが、実は両車の間で基本エンジニアリングが共有されてはいない。5代目の企画当時、適切なプラットフォームを持たなかったGMが傘下の豪ホールデンが主導して開発したゼータプラットフォームを活用したのに対して、6代目は初期からの開発計画に基づいて、最新世代のアルファプラットフォームを採用している。つまりキャデラックATSやCTSと同じく、アルミ材や超ハイテン材を最適配置したハイブリッドアーキテクチャーが奢られたわけだ。
「伝統のLT1を名乗る6.2リッターV8はスポーツカーとして一線級の魅力を備える」
その結果、新型カマロは先代に対してホイールベースも含む車寸が若干小さくなり、大幅な軽量化を果たしている。GMいわく、数値的には最大で90kg以上軽くなった一方で、28%以上の剛性向上を果たしているという。実際、日本仕様の数値をみても同じ6.2リッターV8を搭載するSS同士では新型のほうが70kg軽い。サスペンション形式はストラット&マルチリンクと表記的には同様だが、もちろん構造やジオメトリーはまったくの別物でリヤ側は従来の4リンクから5リンクに改められた。
この軽さを活かす形で、新型カマロのベースモデルに搭載されるエンジンは従来の3.6リッターV6ユニットから2.0リッター直4直噴ターボに、組み合わせられるトランスミッションも全グレード8速ATへと改められた。2.0リッター直4ユニットは既にキャデラックATSやCTSに搭載され実績を積んできたもので、最高出力は275ps、最大トルクは400Nmをマークする。クーペでは1570kg、オープンでも1670kgとCTSより100kg以上軽く仕上がっていることを考えれば、その動力性能に不安はない。そして伝統のLT1を名乗る6.2リッターV8ユニットは453psの最高出力をもって0-100km/h加速4.5秒、最高速250km/hとスポーツカーとしても一線級の魅力を備えているといえるだろう。
「剛性感のみならず、全体精度の向上が著しいことは明らかといえる」
試乗に用意されたのは2.0リッターを搭載するコンバーチブルと、V8を搭載するクーペのSSの2台。内装の仕立てについては両車に大きな品質差はない。先代に対しては樹脂類の質感が確実に向上しただけでなく、アップル&アンドロイドのスマートフォンリンクにも対応する大画面インフォテインメントシステムが採用されるなど、その設えは今日的になった。一方で、初代のイメージを受け継いだセンターコンソールのメーター類はごっそり整理されるなど、演出的なところではちょっと物足りないなと思ったのも正直なところだ。
骨格からの全面変更はタイヤの転がり始めの軽さだけではなく、段差を乗り越えるなどの日常的な入力でも十分にその恩恵を感じることが出来る。上下左右の小さな揺すりは劇的に抑えられ、ライドフィールは歴然とスキッとした印象だ。剛性感のみならず、全体精度の向上が著しいことは明らかといえるだろう。
「先代に対すれば遥かに応答性は素早く、ブレーキの制動力や前後バランスも十分頼れる」
日常的速度域を穏やかに走る限り、V8ユニットは2000rpmにも至らぬところをユルユルと回るに過ぎない。そういういかにもアメ車的な使い方をしていると気づくのは、低負荷時に4気筒分の燃焼をカットする気筒休止がかなり頻繁に稼働していることだ。平坦路であれば100km/h巡航からの微妙な加速でもV4のままこなそうとするほどだから、この特性を巧く使えばツーリングでは10km/Lを超える燃費も充分に狙えるだろう。
ドライブモードをスポーツ&トラックの側にセットした際のパフォーマンスは、さすがにコルベットのように濃密な一体感が味わえるわけではない。あちらはシャシー構造もジオメトリーも重心設定も、ドライバーとタイヤの位置関係も異なるのだから比べるのも酷だろう。だが、少なくとも先代に対すれば遥かに応答性は素早く、ブレーキの制動力や前後バランスも十分に頼れるものとなっている。コーナリング最中のロードホールディングに関しては中高速域で凹凸超えでの上下動が大きく、ややラインがズレてしまうところが気になったが、修正は十分に効くシャシーの確度は持ち合わせているから、そこを織り込んで対話しながらワインディングを走り込むのも楽しいひと時になるだろう。
「このクルマの本懐はV8モデルにある。そう言い切れるだけのシャシー性能が得られた」
この特性を踏まえてコンバーチブルに乗ると、運動性能的にも剛性低下の影響が殆ど感じられないことに驚かされた。気になるのはむしろ大開口かつ小細工なしの4シーターゆえの風の巻き込みだが、これはスリークなスタイリングを重視した結果ゆえ、目を瞑りたいところだ。むしろクローズ時は剛性起因のきしみ等がまったく感じられないことを積極的に褒めたくなる。そして2.0リッター直4ユニットの動力性能は過不足ないどころか、回せば十分に速いと感じるほどのところにあるのも意外な発見だった。
そのスタイリングと共に気持ちよく走るくらいのスポーティネスを期待するなら、2.0リッターモデルでも十分にその役割は果たしてくれる。が、全域でのサウンドや吹け上がり感、回転上昇に伴うパワーの乗りなど、その速さの質をみるに、やはりこのクルマの本懐はV8モデルにある。そう言い切れるだけのシャシー性能が得られたことが、新型カマロの最大のニュースといえるかもしれない。
REPORT/渡辺敏史(Toshifumi WATANABE)
PHOTO/小林邦寿(Kunihisa KOBAYASHI)
【SPECIFICATIONS】
シボレー カマロ SS
ボディサイズ:全長4780 全幅1900 全高1340mm
ホイールベース:2810mm
車両重量:1710kg
エンジンタイプ:V型8気筒OHV
総排気量:6153cc
ボア×ストローク:103.2×92mm
最高出力:333kW(453ps)/5700rpm
最大トルク:617Nm(62.9kgm)/4600rpm
トランスミッション:8速AT
駆動方式:RWD
サスペンション:前マクファーソンストラット 後マルチリンク
ブレーキ:前後ベンチレーテッドディスク
タイヤ&ホイール:前P245/40ZR20 後P275/35ZR20
車両本体価格:645.84万円
シボレー カマロ コンバーチブル
ボディサイズ:全長4780 全幅1900 全高1350mm
ホイールベース:2810mm
車両重量:1670kg
エンジンタイプ:直列4気筒DOHCターボ
総排気量:1998cc
ボア×ストローク:86×86mm
最高出力:202kW(275ps)/5500rpm
最大トルク:400Nm(40.8kgm)/3000-4000rpm
トランスミッション:8速AT
駆動方式:RWD
サスペンション:前マクファーソンストラット 後マルチリンク
ブレーキ:前後ベンチレーテッドディスク
タイヤ&ホイール:前後P245/40R20
車両本体価格:602.64万円
※GENROQ 2018年 1月号の記事を再構成。記事内容及びデータはすべて発行当時のものです。
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みんなのコメント
アメ車の醍醐味を味わえるSSは税金11万超でうちには無理なので2.0のLTRSでいいです。