ジャガー&ランドローバーには、メルセデスAMGやBMWのMのようにスペシャルモデルやビスポークオーダーモデルなどの開発、生産を担うSVO(スペシャルビークルオペレーションズ)という部門がある。例えばレンジローバーの上級グレードに設定されている“オートバイオグラフィ”はSVOの仕事である。そんなSVOが手掛けたハイパフォーマンスモデルには“SVR”というグレード名が冠されている。
ジャガー&ランドローバー サーキットテスト|JAGUAR & LANDROVER CIRCUIT TEST
今回はiペイスで熊本から福岡に向けて走りそこで一泊。翌日は福岡市内からHSR九州・サーキットへ向かい、サーキットテストを行った。
熊本県のHSR九州・サーキットコースで開催された試乗会には、「ジャガーFタイプSVR」、「ジャガーFペイスSVR」、「ランドローバー・レンジローバー スポーツSVR」という3種類のSVRと、その名はつかないものの同じエンジンを搭載する「ジャガーXJR575」、そしてブランド初の電気自動車「ジャガーiペイス」というなんともバラエティに富んだラインナップが用意されていた。
それぞれクーペ、SUV、セダンとボディタイプは異なるものの、「iペイス」以外の4台は、5リッターV8スーパーチャージドエンジンを搭載している点で共通している。「Fペイス」のみ550psであとの3モデルは575psという大パワーを発揮する。
ジャガー&ランドローバー サーキットテスト|JAGUAR & LANDROVER CIRCUIT TEST
阿蘇山を経由して初日のゴール地点である福岡ヒルトンに到着。一般道、ワインディング、高速道路とすべての環境でiペイスの走り、そしてタフさが実感できた。もちろん初日の移動距離の約190kmも余裕で走破し、使用電力はおよそ50%ほど。
まず「ジャガーXJR575」から試乗した。フロントグリルや20インチホイールなどはブラック基調で、ボンネットには大きなルーバーがあいている。フラッグシップセダンであるXJシリーズではもっともヤンチャな仕様だ。700Nmという最大トルクで、約2トンのボディをぐいぐい加速させる。ちなみに0-100km/h加速は4.4秒。試乗車の中では唯一のFRモデルだったのだが、加速に少し慣れてきた頃に意を決して横滑り防止装置をオフにしてみた。大柄なボディながらもテールスライドも楽しめるセッティングになっているのがいかにもジャガーらしい。実はこの仕様には“V8 FINAL EDITION”というサブネームがつけられているのだが、先日ジャガーは次期型XJを電気自動車にすると発表した。初代の誕生から50年以上にわたって、8世代まで歴史を重ねてきたXJシリーズの内燃エンジンモデルはこれで幕を閉じる。最後を飾るにふさわしい華々しい仕様というわけだ。
ジャガー&ランドローバー サーキットテスト|JAGUAR & LANDROVER CIRCUIT TEST
バッテリー残量や航続可能距離を常に観察しながら道中では様々な走行モードをテスト。エネルギー回生システムの「強」は強めのエンジンブレーキとなるが、慣れるとこちらの方がペダル操作が少ない分、楽に感じた。
「ジャガーFタイプSVR」は、全長約4.5m、前後のオーバーハングを切りつめた2シータースポーツカーだ。ベースモデルは後輪駆動方式だが、575ps/700Nmもの大パワーを制御するため4WD方式となっている。トラスミッションは切れ味鋭い8速ATで、0-100km/h加速は3.7秒。車両重量は1840kgとフロントに5リッターV8エンジンを搭載し、4WD化されているだけに、コンパクトなボディから想像するほどは軽量ではない。とはいうもののその加速力は強烈だ。コーナーにさしかかるとカーボンセラミックブレーキが威力を発揮する。狙った速度域にまでスピードをコントロールしやすい。チタンとインコネルというF1マシンなども採用する軽量素材を用いたエグゾーストシステムがいい音を放つ。間違いなくこの日の最速モデルだった。
ジャガー&ランドローバー サーキットテスト|JAGUAR & LANDROVER CIRCUIT TEST「ジャガーFペイスSVR」は、SUVとは思えないほどのスポーティさだ。そもそもベース車のFペイスの開発チームは、ポルシェマカンをターゲットとして何度もテストを繰り返してきたことを公言しており、ハンドリングの良さに定評がある。5リッターV8エンジンの出力は550ps/680Nmと他のSVRよりわずかに控え目になっているが、レスポンスを高めるようチューニングされたクイックシフト8速ATを駆使すれば、その俊敏さにtまったく遜色ない。コーナリング時に内輪にブレーキをかけて旋回性能を高めるTVBB(トルクベクタリングバイブレーキ)と電子制御アクティブディファレンシャルによって、重心の高いSUVが苦手とするはずのタイトコーナーもなんなくこなす。スポーティなインテリアの設えもよく、走行性能とのバランスの良さを考えれば1272万円という価格がリーズナブルに思えたほどだ。
ジャガー&ランドローバー サーキットテスト|JAGUAR & LANDROVER CIRCUIT TEST
スロットル解放と共に最大トルクで加速するiペイス。ギャラリーとして眺めていると静かに、そして速く加速する姿はまさに異質。
「レンジローバースポーツSVR」は、0-100 km/h加速4.5秒、最高速度283 km/h、と史上最速のランドローバーを標榜するモデルだ。アクティブエキゾーストシステムがオンになると、いかにもV8なドロドロドロという重低音が、バリバリバリと高めの音へと切り替わる。同じエンジンを搭載していながら不思議なもので、この日もっとも大きなエキゾーストノートを奏でたモデルだった。アクセルをガンと踏み込むとフロントがぐんと浮き上がるのがわかる。車両重量は約2.5トンもあるから、お世辞にもコーナリング上手とは言えない。しかしそもそも“レンジローバー”なのだから、本来の軸足はオフロード性能やロングドライブ性能にあることは言うまでもない。
ロングドライブとサーキットでiペイスをテスト最後に乗ったのが電気自動車の「iペイス」。正確には、熊本空港で車両を受け取り、阿蘇山をぬけて約170km先の福岡を目指し、夜間に充電をして、福岡から熊本にあるこのサーキットまで走ってきたので一般道での性能は十分に堪能してきた。
ジャガー&ランドローバー サーキットテスト|JAGUAR & LANDROVER CIRCUIT TEST
ジャガー、ランドローバーの中で数少ないピュアスポーツであるFタイプのSVR。当然この日の最速モデルであり、高い旋回能力、スタビリティの高いサスペンションとジャガーの技術力の高さをしっかりと感じさせた。
iペイスは、前後軸にそれぞれモーターを、床下に90kWhのバッテリーを配置し、400ps/696Nmを発揮。一充電走行可能距離は438km(WLTCモード)となっている。熊本から福岡に向かう往路はバッテリー残量70%で出発。航続可能距離は240kmと表示されていた。ルートは阿蘇のワインディングをはじめほとんどが一般道だった。福岡市内では渋滞に巻き込まれながら約3時間、184kmを走行してバッテリー残量は23%になった。これくらい走ってくれれば300km程度の距離であれば不安なくノンストップで行けそうだ。
ジャガー&ランドローバー サーキットテスト|JAGUAR & LANDROVER CIRCUIT TEST
FR駆動のXJR575。4ドアサルーンとは思えないほど素直に車両コントロールができ、いつもとは違ったジャガーらしさをフルに感じさせてくれた。
そしてサーキットを走行してより認識を深めたのが、iペイスの低重心および50:50の前後重量バランスの良さからくるコーナリング性能の高さだ。電気自動車なのでアクセル操作に対するレスポンスはいいし、回生ブレーキもうまく併用すればよく止まる。1速ギアしかない電気自動車の特性として高速域ののびは鈍くなってしまうが、コーナリング性能では、スポーツカーのFタイプをも凌ぐ印象だった。
ジャガー&ランドローバー サーキットテスト|JAGUAR & LANDROVER CIRCUIT TEST
轟音を鳴らしてサーキットを疾走するレンジローバースポーツSVR。加速力ももちろんだが、2.5tの車体をしっかりと止めるブレーキ性能に驚かされた。
しかし、爆音を放つ5リッターV8エンジン搭載車が与えてくれる心が沸き立つような感覚は、理屈を超えたところにある。そしておそらく人間の根源的な何かを刺激する。
ジャガー&ランドローバー サーキットテスト|JAGUAR & LANDROVER CIRCUIT TEST
SUVらしからぬスポーツ性を持つFペイス。今回の試乗でもピュアスポーツカーのように素直な走りを見せ、参加者を楽しませていた。SUVでもスポーティなのはジャガーらしい。
しかし、それと無音の電気自動車というコントラストのきいた組み合わせに時代を感じずにはいられない。ジャガー・ランドローバーはすでに2020 年以降、すべてのモデルに電動車を設定すると発表しており、2020年から英国内で15万ユニットの生産能力をもつ大規模なバッテリー生産工場が稼働しはじめるという。XJがそうであるように、V12やV10、V8といったマルチリンダーエンジンを味わうために残された時間は、もうそれほど長くなさそうだ。
ジャガー&ランドローバー サーキットテスト|JAGUAR & LANDROVER CIRCUIT TEST文・藤野太一 写真・ジャガー ランドローバー ジャパン 編集・iconic
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