ランドローバー「ディフェンダー」に、雪舞う長野県・白馬で小川フミオが試乗した。悪条件下のディフェンダーの実力は?
新しくて古い
見かけ以上に手が込んでいます──新型電気自動車・レクサスUX300e試乗記
ランドローバーの本格的SUV「ディフェンダー」で、2021年冬、長野県・白馬の雪山を走った。オリジナルはクロスカントリー型4WDとして開発されただけあって、悪路走行はブランドの”DNA ”とでも表現できるような、安定したドライブで楽しませてくれた。
とはいえ、売れているのは、どちらかというと、スタイリングが理由のようだ。2020年にフルモデルチェンジを受けたディフェンダーは、1948年の登場いらいマイナーチェンジを繰り返してきた初代のイメージをうまく取り込んでいる。
「好まれているところを無理に変える必要はない」と、デザインを統括するディレクターが明言するように、新しくて古い、ともいえるデザインが、競合と一線を画す個性である。
走りはいかに? 今回、雪道での走りを体験することが出来たのが、うれしかった。かつてオフロードで、岩ごろごろや泥、それに水の流れのなかを走ったことはあるものの、新型ディフェンダーでのスノードライブは初体験だったのだ。
冬の長野駅からウィンタースポーツ好きに人気の白馬(はくば)まで乗ったのは、ディフェンダー110(ワンテン)。110とは110インチ(2794mm)近いホイールベースを持つことを意味している。これに4ドアボディが載り、オプションで3列目のシートをそなえることもできる。同時に発売された「90」は、2585mmのホイールベースに2ドアボディというややコンパクトサイズだ。
試乗した「P300」が搭載するのは、最高出力300ps(221kW)を発揮する2.0リッター直列4気筒ガソリンターボエンジン。これにフルタイム4WDシステムを組み合わせる。
安心して悪路を走れます
エンジンは、1995cc直列4気筒とは思えないほど力強く走る。400Nmという太いトルクが2000rpmと比較的低い回転域からでる設定だ。それでも、市街地では2tを超えるボディだけに、ダッシュを決めるにはやや深くアクセルペダルを踏み込む必要があるのは事実。いっぽう、信号が少ない白馬までのワインディングロードでは、ストップアンドゴーが頻繁でないこともあり、じつに快適なドライブが楽しめた。
クロカンSUVの出自を意識してか、大きめな径のステアリング・ホイールと、あえて簡素な雰囲気をだしたダッシュボードを持つ車内……シンプルとはいえ、作りのいいシートの恩恵もあって、そこは快適な空間だ。足まわりも路面の凹凸をきれいに吸収してくれるので、長距離でも疲労感はない。
はたして、雪道での動きには感心した。幸か不幸か、私が訪れたとき、舞台になった白馬のスキー場の雪のコンディションは最悪。というのは、ふかふかしていて、タイヤが思ったようにグリップしてくれないのだ。へたをすると、すぐ空転。しつこく加速しようとすると、4WDシステムのクラッチが過熱するおそれがある。
そこで、4000rpmあたりでエンジン回転を維持しながら、ステアリング・ホイール操作だけで、コース上に設置されたポールとポールのあいだを抜けるスラローム走行をしてみる。雪の状態がよくないために、タイヤが空転したところからは、盛大に雪がかきあげられる。
しかし、すぐにデファレンシャルロックが働き、タイヤはグリップを取り戻し、操舵している方向へとめがけてディフェンダーは猛然と(というかんじで)加速してゆく。
後輪が滑りぎみになっても、ステアリング・ホイールの位置を固定し、アクセルペダルを閉じないで駆動力をかけ続けていると、グリップしたフロントタイヤが、車体をうまく導いてくれる。これが楽しい。いや、楽しいというより、じつは安心感につながる。けっしてコースから大きく外れないからだ。
いまなお大人気
ディフェンダーでは、ドライブトレインの設定が印象的だ。メーカーによっては安定方向の設定で、タイヤの駆動力が雪のせいで失われがちのときは、エンジントルクをしぼって、そろりそろりとゆっくり走らせようという考えを持つところもある。
が、ランドローバーは、ちがう。エンジンはつねに太いトルクを出し続け、前へ前へと、出来るだけ速く進んでいこうとするのだ。
貢献していたのは、フィンランド製スタッドレスタイヤだ。サンクトペテルスブルクやエストニアに近いタンペレ郡ノキアに本社を持ち、ラリーでは知られるノキアンのスタッドレスタイヤを履いていた。指定タイヤサイズから探すと選択がごく限られてしまう、とは輸入元担当者の弁。クルマとの愛称は抜群で、雪上のディフェンダーの大きな”武器”となっていた。
あいにく新型ディフェンダーは、新型コロナ感染症対策で生産工場がしっかり稼働していず、供給不足が続いているという。
本来なら、ベースモデルが529万円もする”高級車”だけに、自分好みの色やオプションを組み合わせて注文したいところだ。しかしいまのところ、早めの納車を望むなら、日本法人があらかじめ設定した「キュレーションスペック」というグレードを選ぶのが良いそうだ。
私が乗った「タスマンブルー」なるくすんだ水色の車体色の車両には、「エクスプローラーパック」が装備されていた。クロスカントリー的テイストの内容だ。
132kgの積載量を持つ「エクスペディションルーフラック」をはじめ、ラリー車のような「レイズドエアインテーク」、前後輪用「フロント&リアクラシックマッドフラップ」、そして濡れたり汚れたりしたものを収納しておける「エクステリアサイドマウントギアキャリア」などが装着される。
モデルグレードは上級の「SE」(732万円)で、これに約55万円の、「エクスプローラーパック」がくわわっているのだ。汚れるとますますカッコよくなる。それをディフェンダーの”よさ”と考えるひとにはこれを勧めたい。
文・小川フミオ 写真・安井宏充(Weekend.)
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富裕層じゃないと買えないのが残念ですね!