現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > 味わうなら今しかない!! 500馬力オーバー車の世界

ここから本文です

味わうなら今しかない!! 500馬力オーバー車の世界

掲載 更新

 2000年代初頭頃までは、一部のスーパーカーのみしか実現できなかった500馬力超という最高出力は、今では珍しい存在ではなくなってきた。いっぽうで「500馬力オーバーの車」は、優に1000万円を超える価格となり、簡単に体感できる世界ではない。そんな「500馬力オーバー」の持つ意味は、ここ25年で大きく変わっていた!!

文:西川淳/写真:NISSAN

 500馬力車“一般化”の契機になった車は?

2002年に登場したベンツ SL55 AMGは5.4L、V8スーパーチャージャーエンジン搭載で517psを発揮

 このギョーカイに入って間もない頃、つまりは25年ほど前まで、体験できる最高出力といえば国産車の自主規制280psがせいぜいで、オーバー500psのクルマなんぞ夢のまた夢、それこそF1マシンかグループB&Cカー、ロードカーならマクラーレンF1やフェラーリF50といったごく一部のスーパーカー、まったくもって浮世離れした世界の存在でしかなかった。

 潮目が変わったのは世紀も変わってメルセデスベンツがSL55AMGを発表してからだったと思う。5.5L、V8スーパーチャージドエンジンは500psを発揮。巧みな電子制御のおかげでFRにもかかわらず素人でも500psを味わうことができた。

 そこから感覚が麻痺しまくりはじめる。スーパーカーの世界では今や、500psはおろか、600psでも700psでも動じない。何なら1500psのブガッティ シロンだってフツウに乗れてしまう。Dセグメントクラスの高性能スポーツセダンでさえ500psを謳う時代なのだ。電子制御の進化が“麻薬”となり、もはや500psを怖れることなど、まるでなくなってしまった。

昔の“ピュアな”オーバー500馬力車は「恐怖」だった 

1989年に発売されたZ32型フェアレディZ。市販車は3L、V6ターボで280psを発揮した

 そう考えるとその昔、せいぜい300psを謳っていた国産スポーツカーを、街の有名チューナーが改造して作り上げたピュアなオーバー500psこそ、ホンマモンだったのかも知れない。

 電子制御によってじわじわと出力を放出するのではなく、エンジンの性能曲線そのままに、そしてタイヤのグリップ状態にかかわらず、パワーを駆動輪へ伝えてしまうチューニングカー。そのオーバー500馬力は、恐怖以外の何ものでもない。

 筆者のガレージにもその昔、一度だけそういうチューニングカーが収まったことがある。800psを発揮するというフレコミのZ32型フェアレディZ。F1用タービンや、フェラーリF40&F50用ブレーキなど、金に糸目をつけずに改造された、魂の一台だった。

 とにかく、ビビりまくりながらアクセルを踏んだものだ。踏み込むたびにクルマが粉々になってしまうような錯覚に捕われた。加速中もずっと粉々気分だ。

 タイヤの接地フィールなどないに等しく、文字どおり、すっ飛ぶように走った。それでも直進安定性だけはよかったが、あまりに凶暴なため、何回か乗ってそれ以上乗ることを封印した。馬力むき出しのエンジンに、魂ごと引き抜かれるような気がして、怖くなったのだ。 

 以来メーカー製500馬力以上しか試乗することはなくなった。一度だけ1200psのランボルギーニ ディアブロのチューンドカーに乗ったが、ついぞフル加速には挑戦しなかった。ライオンを猫だと思って抱きしめろと言われて、ハイそうですかと、素直に抱くバカはいない。

内燃機関の500馬力を体感できるのは「今だけ」

 オーバー500psの悦楽と恐怖。その境目には自動車メーカーおよびサプライヤーが英知を注ぎ込んだ制御技術というものが確かに存在する。それはセンシングとアナライズ、そしてコンピュータの計算能力の進化とともにいっそうきめ細かなものになって、今や1000馬力であっても日常的に手なずけることができるまでに至った。

 それが果たして心から楽しいと思える結果をもたらすかはさておき、少なくともボクたちは今、平気で500頭の馬を蹴飛ばせる。たとえ完璧に制御されたものであっても、どこかに必ず500psを感じるポイントがある。内燃機関の500馬力、経験できるのは今のうちかも知れない。

日欧米、今買える! 主な500馬力オーバー車

■日産 GT-R【557ps/65.0kgm】

 3.8L、V6ツインターボエンジンを搭載。NISMOモデルは600ps/65.5kgmを発生し、0-100km/hタイムも2.9秒となる。国産車としては唯一の存在。

 

・価格:996万840円~

・0-100km/h加速:3.3秒

 

■ベンツ AMG C63 A【510ps/71.4kgm】

 4L、V8ツインターボエンジンを搭載。当然、セダンのみならず、ワゴンもクーペもカブリオレも500ps超の出力となっている。

 

・価格:1357万円

・0-100km/h加速:4.0秒

 

■シボレー コルベット Z06【659ps/89.8kgm】

 エンジンは6.2LのV8、OHV+スーパーチャージャー。この高出力をMT(7速)で操らせようという心意気がいい(8AT車も設定あり)。しかも、駆動方式はFRだ。

 

・価格:1468万円

・0-100km/h加速:2.95秒

 

■BMW M5【560ps/69.3kgm】

 すでにドイツ本国で新型が発表されたが、現在日本で買えるのはこの6代目ベースのモデル。エンジンは4.4LのV8ツインターボ。

 

・価格:1566万円

・0-100km/h加速:4.3秒

 

■アルファロメオ ジュリア クアドリフォリオ【510ps/61.2kgm】

 国産のGT-Rを除くと、今回紹介している車両のなかで最安値。それでいて2.9LのV6ツインターボエンジンが生み出す最高速は307km/h。スペック的にみれば、かなりお得なモデルだ。

 

・価格:1132万円

・0-100km/h加速:3.9秒

こんな記事も読まれています

角田裕毅9位、選手権6位争いにおいて価値ある2点を獲得「強力なレースペースを示せた。シーズン最後まで全力で戦う」
角田裕毅9位、選手権6位争いにおいて価値ある2点を獲得「強力なレースペースを示せた。シーズン最後まで全力で戦う」
AUTOSPORT web
サイズも価格も近い禁断の兄弟対決!! [ランドクルーザー250]と[ランドクルーザー300]の違いって??
サイズも価格も近い禁断の兄弟対決!! [ランドクルーザー250]と[ランドクルーザー300]の違いって??
ベストカーWeb
【ポイントランキング】2024年WRC最終戦ラリージャパン後
【ポイントランキング】2024年WRC最終戦ラリージャパン後
AUTOSPORT web
無冠の帝王が汚名返上。苦節13年で初王者のヌービル「本当に長かった。大変な努力へのご褒美だ」
無冠の帝王が汚名返上。苦節13年で初王者のヌービル「本当に長かった。大変な努力へのご褒美だ」
AUTOSPORT web
フェルスタッペンがドライバーズ選手権4連覇【正式結果】2024年F1第22戦ラスベガスGP 決勝
フェルスタッペンがドライバーズ選手権4連覇【正式結果】2024年F1第22戦ラスベガスGP 決勝
AUTOSPORT web
古さと新しさが同居した天才的デザインに仰天!! ディフェンダーの「貫禄」にシビれた!!!【テリー伊藤のお笑い自動車研究所】
古さと新しさが同居した天才的デザインに仰天!! ディフェンダーの「貫禄」にシビれた!!!【テリー伊藤のお笑い自動車研究所】
ベストカーWeb
ドリキンが自腹購入したホンダ「シビックタイプR」でチューニング指南! 無限×ヤマハコラボの「パフォーマンスダンパー」は買いです
ドリキンが自腹購入したホンダ「シビックタイプR」でチューニング指南! 無限×ヤマハコラボの「パフォーマンスダンパー」は買いです
Auto Messe Web
【F1第22戦決勝の要点】 岩佐歩夢が分析するメルセデスの速さの秘密「マシン特性の不利を覆すほどのいい仕事」
【F1第22戦決勝の要点】 岩佐歩夢が分析するメルセデスの速さの秘密「マシン特性の不利を覆すほどのいい仕事」
AUTOSPORT web
1.2L 3気筒+モーター3基で300ps ルノー・ラファール E-テックへ試乗 アルピーヌに相応しい走り
1.2L 3気筒+モーター3基で300ps ルノー・ラファール E-テックへ試乗 アルピーヌに相応しい走り
AUTOCAR JAPAN
ヒョンデ「アイオニック5」がマイチェンで航続可能距離703キロに! 気になる車両価格は523万6000円から…30台限定の「コナ マウナ ロア」にも注目
ヒョンデ「アイオニック5」がマイチェンで航続可能距離703キロに! 気になる車両価格は523万6000円から…30台限定の「コナ マウナ ロア」にも注目
Auto Messe Web
『絶対完走』の重圧に耐えた勝田。来季シートがかかっていたことを示唆【ラリージャパン後コメント】
『絶対完走』の重圧に耐えた勝田。来季シートがかかっていたことを示唆【ラリージャパン後コメント】
AUTOSPORT web
米国にある「廃車の山」で見つけたお宝 40選 後編 ジャンクヤード探訪記
米国にある「廃車の山」で見つけたお宝 40選 後編 ジャンクヤード探訪記
AUTOCAR JAPAN
中型からステップアップ 人気の“ミドルクラスネイキッド”スズキ「SV650」とカワサキ「Z650RS」どっちを選ぶ?【スペックでライバル比較】
中型からステップアップ 人気の“ミドルクラスネイキッド”スズキ「SV650」とカワサキ「Z650RS」どっちを選ぶ?【スペックでライバル比較】
VAGUE
ラリージャパンで一般車の侵入という衝撃トラブルが発生! SSのキャンセルもあるなかトヨタ勢は2・3・5位に着ける
ラリージャパンで一般車の侵入という衝撃トラブルが発生! SSのキャンセルもあるなかトヨタ勢は2・3・5位に着ける
WEB CARTOP
米国にある「廃車の山」で見つけたお宝 40選 前編 ジャンクヤード探訪記
米国にある「廃車の山」で見つけたお宝 40選 前編 ジャンクヤード探訪記
AUTOCAR JAPAN
サーキット派に朗報! ウェッズスポーツ「TC105X」に16インチの新サイズ登場…マツダ「ロードスター」や走りのFF車にオススメです
サーキット派に朗報! ウェッズスポーツ「TC105X」に16インチの新サイズ登場…マツダ「ロードスター」や走りのFF車にオススメです
Auto Messe Web
【ラリージャパン2024】最終ステージでトヨタが逆転! マニュファクチャラーズタイトル4年連続獲得、豊田章男会長「感動という共感を生んだ」
【ラリージャパン2024】最終ステージでトヨタが逆転! マニュファクチャラーズタイトル4年連続獲得、豊田章男会長「感動という共感を生んだ」
レスポンス
独創的な「近未来」フォルム! シトロエンCX 5台を乗り比べ(1) モデル名は空気抵抗係数から
独創的な「近未来」フォルム! シトロエンCX 5台を乗り比べ(1) モデル名は空気抵抗係数から
AUTOCAR JAPAN

みんなのコメント

この記事にはまだコメントがありません。
この記事に対するあなたの意見や感想を投稿しませんか?

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

539.9920.0万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

29.83630.0万円

中古車を検索
フェアレディZの車買取相場を調べる

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

539.9920.0万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

29.83630.0万円

中古車を検索

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村