この記事をまとめると
■ホンダN-BOXがキープコンセプトのままフルモデルチェンジを敢行した
新型登場直前だけどあえて「現行N-BOX」を買うのもあり! 狙いの在庫があれば10万円引きもあるぞ
■クロスオーバーモデルやマイルドハイブリッドモデルがN-BOXには用意されていない
■「ライバルにあるものがない」というのは欠点でもあるが、それが今後どう出るか注目だ
ほかの軽自動車にあってN-BOXにはないものとは
8年連続で軽自動車の新車販売ナンバーワンとなっている絶対王者、ホンダN-BOXが今秋のフルモデルチェンジを発表した。
初代からメインターゲットとしている子育てママをコアユーザーにしながら、「毎日乗りたくなる私のN」「いっしょにいたくなる家族のN」「仲間と楽しむみんなのN」をキーワードに開発が進められたという。
その結果、ひと目でN-BOXとわかるスタイリングへと進化。室内についてはクラストップの広さに磨きをかけつつ、新しいシンプルライフに似合ったデザインを提案するものとなっている。とくに後席の座り心地は明らかな進化が見られるポイントで、「仲間と楽しむみんなのN」という開発者の狙いが実感できることだろう。
スタイリングについて深掘りすれば、標準系は「シンプルで街になじむ、親しみやすいエクステリア」というのが狙い。人間の瞳を意識したヘッドライトデザイン、多孔タイプのフロントグリルは清潔感のあるシンプル家電のようなイメージを醸し出している。
カスタム系では、これ見よがしなメッキグリルから脱却。一文字のライティングなどにより「品格とパフォーマンスをまとうエクステリア」表現を目指している。専用デザインのフロントバンパーが実寸以上に伸びやかなスタイリングを演出している力作だ。
ただし、こうしたカスタム系の新提案はメッキグリルでの押し出し感を求めるユーザーからすると不満かもしれない。軽スーパーハイトワゴンのライバルであるスズキ・スペーシアやダイハツ・タントの、ある意味でオーソドックスなカスタムスタイルに安心感を覚えるというユーザーも少なからず存在しそうだ。
また、話題の三菱デリカミニに象徴されるクロスオーバーSUVテイストのバリエーションを新型N-BOXは用意していない。スペーシアギアやタントファンクロスなど、SUVテイストの軽スーパーハイトワゴンは一定のマーケットを形成しているだけに、そうしたバリエーション展開をN-BOXのモデルチェンジに期待していた向きからすると残念ポイントとなりそうだ。
「他車にあるものがない」点が最大の弱点
もっとも、SUVテイストの軽スーパーハイトワゴンというのは、そもそもN-BOXという横綱に小技で対抗するようなもの、という声もある。その意味では、N-BOXはSUVバリエーションを用意せず、どっしりと構えているのは絶対王者らしいともいえるが、SUVムーブメントが主流となっていくトレンドにおいては、王者の油断といえるかもしれない。
このように、新型N-BOXにもライバルと比べてウィークポイントになり得そうな部分はある。
たとえば、新型N-BOXの室内を見る限り、スズキや日産三菱の軽スーパーハイトワゴンが装備しているサーキュレーターの設定はないようだ。たしかにエアコンの性能をしっかりと確保していれば、空調機能としてのサーキュレーターは不要ではあるのだが、「他車についているものがない」というのは、ユーザーが比較する際にはネガとなるのも事実だろう。
また、現時点ではパワートレインについての情報は未公開となっているが、ホンダのハイブリッド技術「e:HEV」のエンブレムは確認できない。つまり、ハイブリッドではない純エンジンのパワートレインである可能性が高い。
スズキや日産三菱がマイルドハイブリッドを設定しているのに比べるとディスアドバンテージになる。現行N-BOXであっても、実用燃費においてはマイルドハイブリッドと比べても互角なので、あえてハイブリッドを採用する必要はないのかもしれないが、これまた「ライバル車にはあるものがない」のは、新車販売の現場においては指摘されることが増えそうだ。
いずれにしてもライバルと比較するには、価格帯が判明しないことには始まらない。内外装のクオリティアップが顕著なN-BOXが、どのような価格設定となるのか興味津々といえる。提供価値に対するコストパフォーマンスが高ければ、N-BOXは絶対王者であり続けるだろう。
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みんなのコメント
シンプルで使い勝手が良く値段も手頃を求めるユーザーが多数派である限り、ニッチなマーケットに注力する必要はないと思う。