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「幌を開けても閉めてもサマになる4人乗りオープンカー」ファミリアの兄弟車、フォードレーザーコンバーチブル【ManiaxCars】

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「幌を開けても閉めてもサマになる4人乗りオープンカー」ファミリアの兄弟車、フォードレーザーコンバーチブル【ManiaxCars】

ほどよい速さとオープンエアの爽快感! 日常ユースでの実用性もしっかり確保

1.6Lの直4DOHCエンジンは、4速ATで乗ってもスポーティ!

「幌を開けても閉めてもサマになる4人乗りオープンカー」ファミリアの兄弟車、フォードレーザーコンバーチブル【ManiaxCars】

BF型ファミリアをベースとしたレーザーに手動開閉式ソフトトップを持つカブリオレが追加されたのは1986年3月のこと。ファミリアカブリオレが登場したのと同じタイミングで、エンジンは当初1.5L直4SOHCターボを搭載してたけど、翌87年7月のマイナーチェンジで1.6L直4DOHCに変更された。

取材車両はその1.6Lモデルでロングストローク型となるB6型エンジンを搭載。4ドアセダンと3ドアハッチバックのスポーティグレード、Sにも同じエンジンが搭載される。カブリオレに限っては4速ATのみの設定(Sには5速MTも用意)だけど、実用域で扱いやすく7000rpm近くまでパワーも追従するなど、フィーリングはスポーツユニットそのものだ。

歴代レーザーで唯一のオープンモデルとなるカブリオレは、まず完成されたスタイリングに注目。オープン時はもちろん、クローズド時も端正な姿を見せる。ボディ色はカブリオレ専用となるパールホワイトマイカ。横転時の乗員保護を目的としたロールオーバーバーとフロントサイドの大きな三角窓が外観上の特徴と言える。

国産車において、始めからオープンカーとして設計されたロードスターやMR-S、S2000のような2人乗りスポーツカーを除くと、オープン時はカッコよくてもクローズド時がちょっと…という残念なクルマが多かったりするのが現実。オーナーには申し訳ないけれど、古くはパルサーEXAに始まり、リーザやサイノス、セリカ、カルタス、シルビアあたりの屋根開きモデルは、ソフトトップを閉めた姿がお世辞にもカッコ良いとは言えない。

その点、レーザーカブリオレはひと味違う。ソフトトップを開けた状態はもちろん、閉めていてもデザイン的な破たんや違和感を覚えないのだ。そう考えられる理由は、そもそもが直線的なスタイリングであることを基本に、2ドアながら独立したトランクルームを備えたオーソドックスな3ボックスボディだから…と勝手に思ってる。

それから、Bピラーに相当するロールオーバーバーとリヤサイドウインドウの存在も影響しているはず。もしそこまで黒いソフトトップで覆われてたら、とくに真横や斜め後ろからの眺めが大きく変わり、キャビン部が重苦しく感じられるだろうから。まさに2ドアクーペ然としたスタイルのままオープンボディを実現したところに、レーザーカブリオレとその他多くの国産オープンカーとの決定的な違いがあるのだと思う。

ソフトトップを開けるには2人がかりだとスムーズだ。まず室内側からAピラー左右上端のロックを解除。続いてリヤウインドウ左右のホックを外してジッパーを開き、ソフトトップ前端を持ち上げながら後方に折りたたんでく。最後に上からトノカバーを被せれば完了…と言葉にすれば簡単だが、慣れてないと2人がかりでもその作業に5分はかかりそう。手動式だと、よほどのオープンカー好きでない限り、頻繁に開け閉めすることはないだろう。

スイッチ類には防水シーリングを採用し、シートやドアトリム、スピーカーグリルには撥水加工が施されたインテリア。ステアリングホイールはモモ製ウッドタイプに交換される。メーターは右側にタコメーター、左側にスピードメーターが配置され、その間に水温計と燃料計をセット。

前席は限定モデル、カペラヨーロッパに標準装着されたレカロシートを流用。張りのある座り心地と適度なサポート性によって快適にドライブできる。

後席は2人がけ。背もたれの角度が立ち気味だけど、大人2人が乗れるだけのスペースをしっかり確保している。

オープン時に折りたたんだ幌が収納されるスペース。深さがあるから、ルーフを閉めた状態ではちょっとした荷物を置いておくことができる。

背もたれ中央上部にはロック機構付きのフタがあり、それを開けると背もたれを前倒しするためのレバーが現れる。一体可倒式で、天地方向は狭いが、トランクスルーも使える。

サイドウインドウは手動開閉式のため、レギュレーターハンドルが付く。左右のアームレストは上部が開閉式となった小物入れとしても機能する。背もたれ脇のレバーは、オープン時に折りたたんだ幌を固定するためのロック用。

マフラーは当時モノのタナベリミット。経年変化によって多少抜け気味になってることもあって、加速時にはそれなりのボリュームで耳を楽しませてくれるサウンドを発する。

オープンエアは爽快の一言! 頭上に遮るモノがないって時点で、すでに非日常感がたっぷりだ。サイドウインドウを上げておけば風の巻き込みもほとんどないから快適に乗れるし。

オープンカーだけに路面の凹凸やステアリング操作に対してボディのヨレやねじれを強く感じるのかと思ったら、もちろん皆無ではないにしても、予想以上にしっかりしていたのが良い意味で意外だった。それは屋根付き車庫保管で走行5万4000kmと、これまでオーナーが大事に乗ってきた証に他ならない。もうひとつ言うと、年式を考えれば個体によって大きく状態が異なるのも間違いないところだ。

B6型エンジンは実用域で過不足ないトルクを発揮しながら、トップエンドまで力強く回る印象。マフラー交換されてることで、タコメーターの針の上昇に合わせてトーンを高めていくエキゾーストノートがなんとも耳に心地良い。

ミッションが4速ATだから正直、走りにはあまり期待せず、雰囲気を楽しむオープンカーだとばかり思ってたんだけど、エンジンフィールや足回りのセットアップが基本的にスポーティだから、ワインディングをそれなりのペースで走ってもクルマがちゃんと応えてくれるし、それが楽しさを伴ったものであることは言うまでもない。

それに加え、フル4シーターで独立したラゲッジルームを持つなど、実用性も兼ね備えてるのが魅力。“オープンカー=趣味のクルマ”と思われがちだけど、日常ユースもなんなくこなせそうなバランスの高さにおいて、レーザーカブリオレと並ぶ国産オープンカーは、兄弟車のファミリアカブリオレを除いて見当たらなさそうだ。

■SPECIFICATIONS

車両型式:BFMSF

全長×全幅×全高:3990×1645×1380mm

ホイールベース:2400mm

トレッド(F/R):1390/1415mm

車両重量:1110kg

エンジン型式:B6

エンジン形式:直4DOHC

ボア×ストローク:φ78.0×83.6mm

排気量:1597cc 圧縮比:9.4:1

最高出力:110ps/6500rpm

最大トルク:13.5kgm/4500rpm

トランスミッション:4速AT

サスペンション形式:FRストラット

ブレーキ(F/R):ベンチレーテッドディスク/ディスク

タイヤサイズ:FR185/60R14

TEXT&PHOTO:廣嶋健太郎(Kentaro HIROSHIMA)

●取材協力:ボディショップ山陽車体 広島県安芸郡府中町千代7-16 TEL:082-283-1808

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