現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > 2024全日本ラリーRd.6「ARKラリー・カムイ」は、新井・松尾組が全ステージベストで完全勝利!

ここから本文です

2024全日本ラリーRd.6「ARKラリー・カムイ」は、新井・松尾組が全ステージベストで完全勝利!

掲載 1
2024全日本ラリーRd.6「ARKラリー・カムイ」は、新井・松尾組が全ステージベストで完全勝利!

■北海道ニセコでグラベルラリー! 雨天の初日、新井・松尾組が圧倒的な速さで首位発進

 全日本ラリー第6戦、ARKラリー・カムイが2024年7月5日から7日にかけて北海道ニセコ町を中心に開催されました。

【画像】2024全日本ラリーRd.6「ラリー・カムイ」の様子を見る(33枚)

 全8戦中グラベルラリーは北海道で開催されるカムイと次戦ラリー北海道の2戦のみです。かつては北海道以外でも全日本のグラベルラリーは開催されていましたが、良好な環境が減ったことやラリー後の路面修復などに経費がかさむこともあり、徐々に数を減らしました。砂煙を巻き上げながら豪快に走り抜けていくグラベルラリーはとても魅力的なだけに残念です。

 パウダースノーを求めて最近では海外からの観光客が多いニセコアンヌプリ国際スキー場に設定されたサービスパークを中心に、12本のSSで総距離は90キロで開催されたARKラリー・カムイですが、金曜午後から雨が降り出します。元々が掘れやすく深い轍(わだち)ができやすいこの地域の路面ですが、そこに加えて雨が与える影響は少なくありません。
 
 夜半に降った雨は朝にはやんだものの、路面がウエットになったSS1 Knollでステージベストを記録したのはシュコダ ファビアR5の新井大輝・松尾俊亮組でした。SS1で5台がリタイアするなど、消耗戦を予感させる幕開けとなりました。

 新井・松尾組はここカムイでも絶好調で、Leg1の6本のステージ全てでベストを記録し、2位の勝田範彦・木村裕介組のトヨタ GRヤリスRally2に26.3秒の差をつけて初日を終えました。3位以下は新井敏弘・井上草汰組のWRX S4、奴田原文雄・東駿吾組のGRヤリスRally2が団子状態で続きます。

 胸部大動脈瘤(りゅう)と診断されて外科手術を受けたため療養中だった昨年のJN1クラスチャンピオンのヘイキ・コバライネン選手がこのラリーから復帰。新たな愛機となるGRヤリスRally2での初陣はSS1を7位でフィニッシュでした。ファビアとの違いを聞くと、エンジンの特性や足回りのジオメトリーなど、全てにおいて進化していてとても乗りやすいとのことでした。

■併催の「XCRスプリントカップ北海道」では、新型トライトンやCX-5が雄大な自然を駆け抜ける

 ARKラリー・カムイでは全日本ラリー選手権と併催という形でXCRスプリントカップ北海道というラリーが開催されました。このシリーズはXC(クロスカントリー)車両とSUV車両が対象となり、XC-1からXC-3の3つのクラスに区分されます。

 北海道で開催される地区戦と全日本戦との併催での全6戦のシリーズで、冬の2戦はスノーラリーとなります。

 主な参戦車両はトヨタ ハイラックスやスズキ ジムニーなどで、ダカールやバハなどに参戦する塙郁夫選手がライズで参戦するなど、年々注目度が上がっているシリーズです。

 ラリー・カムイからはジャーナリストの竹岡圭選手がベテランの山田政樹選手と組んで三菱 トライトンで、寺川和紘・石川美代子組がマツダ CX-5でこのシリーズへ参戦を開始しました。寺川選手は今ではスーパー耐久に参戦していますが、以前はマツダ デミオで全日本ラリーに参戦していて、ラリー・カムイの前身であるラリー洞爺でのクラス優勝経験もあるコンビです。

 直前の納車となり、突貫作業でラリー車へと仕上げたトライトンは、ロールケージなどの安全装備以外は足回りとブレーキパッド、ホイールぐらいしか変更しておらず、エアコンも装備したままです。

 まるで梅雨のような天候となったカムイではエアコンは強い味方になったようでした。CX-5も同様で、安全装備以外は足回り、ブレーキパッド、ホイールのみの変更にとどまります。

 両車ともイマドキの車ゆえに通常の想定を超えた走行ではセーフモードに入ることもあり、エンジン出力が抑えられてしまいます。他にもさまざまな安全デバイスが競技走行に影響を与えることもあり、今後はこのあたりの対策が必要とのことでした。

 次戦、ラリー北海道には自身のルーツともいえるマツダ RX-3で10年ぶりにD1グランプリに参戦しているマッド・マイクがCX-5で参戦することが発表されています。

■ベテランの力と若手の挑戦! サバイバルラリーのドラマ

 荒れたラリーになればなるほどベテランが強みを発揮するのがラリーという競技です。7台が出走したJN3クラスはベテランぞろいのクラスです。

 その中では若手と言える山本悠太選手はSS3でクラス首位に立つと、SS5でクラス2位に浮上した曽根崇仁・竹原静香組との差をじわじわと広げ、SS11終了時点でその差は50.3秒まで広がりました。残すは12.12キロのSS12だけでしたが、ここでまさかのマシントラブルで山本悠太・立久井和子組がリタイア、曽根・竹原組が逆転優勝となりました。クラス7台出走して完走が2台。最後まで生き残れば逆転もありえるというサバイバルラリーならではの結果となりました。

 毎戦接戦が続くJN5クラスは、松倉拓郎・山田真記子組のデミオと大倉聡・豊田耕司のGRヤリスRSの一騎打ちと見られましたが、北海道出身でグラベルを得意とする松倉選手が速さを見せ、大倉・豊田組をジリジリと引き離しにかかります。

 最近では珍しくなったいわゆるストリート出身の松倉選手の競技歴は三菱 ミラージュ(CJ4A)で参戦したジムカーナから始まります。ミラージュオタクとして知られていた松倉選手はその後ラリーへ転向します。筆者は以前、全日本ラリー初参戦の松倉選手の走りを見たのですが、FFのミラージュでお尻を流しまくりで、これじゃ完走できないだろうと思ったら予想通りリタイア。しかし、その後は徐々に実力を発揮します。

 ミラージュのホモロゲが切れてからは少しの休止期間を経てデミオに乗り換えて参戦を継続します。デミオでも相変わらずの派手な走りは健在で、他の選手よりもはるか手前から姿勢を変えてドリフト状態でコーナーに進入するので、写真を撮る時は立ち位置を大幅に変えるほど。

 そんな松倉選手はターマックはチームが所有するヤリス、グラベルは自身が所有するデミオと、車種を使い分けて参戦しています。昨年のラリー・カムイで全日本初優勝を飾った松倉選手は、グラベルや雪での派手な走りが印象深いけど、元々はジムカーナ出身なのでターマックでもセンスを発揮し始めます。

 今年の開幕戦、ラリー三河湾でターマックラリー初勝利を飾りました。40秒前後の差をつけられながらも2位を守っていた大倉・豊田組ですが、SS9でリタイアを喫します。果たして松倉選手の2連覇を阻止できるのか、残り2戦に注目したいと思います。

■新井・松尾組の完全勝利とファビアR5のポテンシャル

 Leg1を全ステージベストで終えた新井・松尾組はLeg2も危なげない走りで2位の勝田・木村組との差を広げます。ファビアでのグラベルラリーは初めてということで不安ものぞかせていた新井選手ですが、ラリーが始まると不安は自信へと変化します。

 かつてドライブしたことがあるフォード フィエスタやシトロエン C3と比べると、懐が深く走らせやすいとのこと。世界中で売れに売れまくったファビアR5の強みはこういったところにあるのかもしれません。

 途中からは走らせ方を変化させたりと、次戦ラリー北海道を見据えた走りで最終的には2位に1分008秒の差をつけ、全ステージベストの完全勝利! 不安要素がなかったといえばさにあらずで、ラリー中に配線関係のトラブルが発生してしまい、最終ステージ終了後にはアンチラグも効かなくなったとのことでした。

 カムイというとアイヌ語で「神」を意味するとされていますが、実際にはさまざまな意味を持つそうです。

 動物や植物の他にも、自然現象などもカムイが引き起こすものと考えられたそうです。また、人の手によって作られた道具もまたカムイであると考えられました。

 まさに神がかった全ステージベストや、最終ステージ終了後にアンチラグやローンチコントロールが機能を停止してしまったことなど、人間の年齢でいうともはや高齢者といえるファビアもまたカムイと呼べるのかもしれません。

【キャンペーン】第2・4 金土日はお得に給油!車検月登録でガソリン・軽油7円/L引き!(要マイカー登録)

こんな記事も読まれています

被災3年…ついに架設スタート! 阿武隈川を渡る国道399号“軽くなる”新しい橋の姿は?
被災3年…ついに架設スタート! 阿武隈川を渡る国道399号“軽くなる”新しい橋の姿は?
乗りものニュース
“ランクル250”をハードコアにカスタマイズ!? オフロードチューニングのスペシャリストが最新コンプリートカー「AT37」を発表!
“ランクル250”をハードコアにカスタマイズ!? オフロードチューニングのスペシャリストが最新コンプリートカー「AT37」を発表!
VAGUE
FDJ2がMIDホイール一色に! 公式ワンメイク化でドリフトシーンに新時代到来!!…大阪オートメッセ2025
FDJ2がMIDホイール一色に! 公式ワンメイク化でドリフトシーンに新時代到来!!…大阪オートメッセ2025
レスポンス
【特集】レッドブルの非情なドライバー育成……しかし彼ら以上にドライバー育成に注力してきた存在はゼロ
【特集】レッドブルの非情なドライバー育成……しかし彼ら以上にドライバー育成に注力してきた存在はゼロ
motorsport.com 日本版
前の車との「車間距離」めちゃ大事! でも運転中「どうやって」測る!? 「高速」や「一般道」で適切な車間を取る方法とは
前の車との「車間距離」めちゃ大事! でも運転中「どうやって」測る!? 「高速」や「一般道」で適切な車間を取る方法とは
くるまのニュース
まるでリアルRPG!? 目指せ鈴鹿8耐優勝! レーシングライダー石塚健が新チーム立ち上げを発表
まるでリアルRPG!? 目指せ鈴鹿8耐優勝! レーシングライダー石塚健が新チーム立ち上げを発表
バイクのニュース
デジタル装備が進化、走行性能もアップ!フリークも納得した新型「ゴルフ8.5 GTI」の高い実力
デジタル装備が進化、走行性能もアップ!フリークも納得した新型「ゴルフ8.5 GTI」の高い実力
@DIME
【MotoGP】ホンダは思ったより大丈夫? アプリリアから加入のアルベシアーノ「革命は必要ない」
【MotoGP】ホンダは思ったより大丈夫? アプリリアから加入のアルベシアーノ「革命は必要ない」
motorsport.com 日本版
「これが普段使い!?」メルセデスAMG A35が“異次元”サウンドマシンに進化 Pro Shop インストール・レビュー by レジェーラ 後編
「これが普段使い!?」メルセデスAMG A35が“異次元”サウンドマシンに進化 Pro Shop インストール・レビュー by レジェーラ 後編
レスポンス
スーパーフォーミュラの改革は話題づくりだけじゃない。さらなる発展に不可欠な“制度整備”……ハンドボールリーグ元事務局長が荒地を耕す
スーパーフォーミュラの改革は話題づくりだけじゃない。さらなる発展に不可欠な“制度整備”……ハンドボールリーグ元事務局長が荒地を耕す
motorsport.com 日本版
スバル新型「S210」登場! 計算された“300馬力”の意図は? めちゃ速いのに室内が超快適なワケとは? 「“スゴい”スポーツセダン」についてSTI本部長に聞いてみた!
スバル新型「S210」登場! 計算された“300馬力”の意図は? めちゃ速いのに室内が超快適なワケとは? 「“スゴい”スポーツセダン」についてSTI本部長に聞いてみた!
くるまのニュース
 今や“シールドあり”が主流!? 「オフロードヘルメット」とは?
今や“シールドあり”が主流!? 「オフロードヘルメット」とは?
バイクのニュース
タナク、2.5秒差の3番手から虎視眈々「明日を楽しみにしている」/WRCスウェーデン デイ2コメント
タナク、2.5秒差の3番手から虎視眈々「明日を楽しみにしている」/WRCスウェーデン デイ2コメント
AUTOSPORT web
ランチア「ストラトス」やアウディ「クワトロ」など貴重なラリーカーが富士を逆走!「トヨタ7」のエンジンにも火が入りました
ランチア「ストラトス」やアウディ「クワトロ」など貴重なラリーカーが富士を逆走!「トヨタ7」のエンジンにも火が入りました
Auto Messe Web
Genbの『ハイエース』用ブレーキパッドが進化、同乗者や積載物にも優しい自然なフィーリング実現
Genbの『ハイエース』用ブレーキパッドが進化、同乗者や積載物にも優しい自然なフィーリング実現
レスポンス
神童アントネッリ……実は普通の18歳。好物は和牛!? 「鈴鹿を走るのは楽しみだけど、東京とか日本の色々な所に行ってみたい!」
神童アントネッリ……実は普通の18歳。好物は和牛!? 「鈴鹿を走るのは楽しみだけど、東京とか日本の色々な所に行ってみたい!」
motorsport.com 日本版
インテグラなのにおっさんセダン! マークXなのにFF!! 名前は「名車」中身は「迷車」なクルマ4選 
インテグラなのにおっさんセダン! マークXなのにFF!! 名前は「名車」中身は「迷車」なクルマ4選 
WEB CARTOP
路面電車にも「スピード違反」はあるのか 最高速度制限の法律と運用どうなっている?
路面電車にも「スピード違反」はあるのか 最高速度制限の法律と運用どうなっている?
乗りものニュース

みんなのコメント

1件
  • ******
    何がすごいって日本じゃ超マイナーかシュコダで勝つのが
    壊れたらGRヤニスみたいに簡単にパーツが揃わないからな
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

498.1540.1万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

135.0669.8万円

中古車を検索
トライトンの車買取相場を調べる

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

498.1540.1万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

135.0669.8万円

中古車を検索

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村