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イヴォークの駆動系を移植 ランドローバー・ディスカバリー・スポーツに試乗

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イヴォークの駆動系を移植 ランドローバー・ディスカバリー・スポーツに試乗

新プラットフォームを移植しハイブリッド化

text:Richard Bremner(リチャード・ブレンナー)

【画像】ディスカバリーとイヴォーク 全62枚

translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)


つい最近までは、このD180はディスカバリー・スポーツで一番人気のグレードだった。だがディーゼルエンジンの不人気で陰り気味。

それでも43.7kg-mという太いトルクが低回転域から得られるという事実は、オフロードモデルにぴったり。定員7名のファミリーSUVとしても、トレーラーを牽引する目的としても、ディーゼルエンジンの有効性は確かだと思う。

ディスカバリー・スポーツはこれらの機能に加えて、とても快適な長距離移動手段でもある。質感の良い180psの2.0Lターボディーゼル・エンジンとの組み合わせなら、燃費もさほど気にせずに走れる。ただし、旧フリーランダーの直系の子孫という関係上、車重が1953kgもあることが玉に瑕。

この質量は、これまでのディスカバリー・スポーツよりも僅かに増えている。その理由は電圧48Vによるマイルド・ハイブリッドシステムを搭載したことと、9速ATが採用されたことに伴う。同時に、燃料タンクも大型化されているのだ。

しかし実は、この他にも多くの変更点を受けている。バンパーやライト周りのデザインが変更されただけではない。ディスカバリー・スポーツは大々的な移植手術を受けており、まったく新しい車体骨格、プラットフォームで成り立っているのだ。

イヴォークの駆動システムを獲得

モデルライフ中期のマイナーチェンジで、ステアリングシステムに変更を受ける程度なら珍しくない。だが新しいディスカバリー・スポーツは、従来のものを捨て、最新のレンジローバー・イヴォークの駆動システムを移植する変更を受けている。その結果、マイルド・ハイブリッドシステムも獲得したわけだ。

素人考えでも難しそうな変更だから、あまり考えないことにしよう。マイナーチェンジといって良いのかどうか、新しいディスカバリー・スポーツは洗練性が一気に高められたことは間違いない。外界からの隔離感は、まったく感知できないとはいえないまでも、飛躍的に向上した。

インジニウムと呼ばれるディーゼルエンジンは、出発時に存在を確認できるが、走行中は昼寝でもしているかのように静か。トランスミッションが変速するタイミングで少し目覚めるも、最近試乗したディスカバリー・スポーツD240より静かだ。

急な加速を求めた時には、少しのタメがあったあと、突如シフトダウンをする癖がある。だが高めのギア比で走らせている限り、トランスミッションもとても滑らかにクルマを進めてくれる。

郊外のカーブの続く区間に入ると、変速フィールの滑らかな9速ATの価値が発揮されてくる。それほど負荷がかかっていない状態なら、ディスカバリー・スポーツは7シーターのSUVとは思えない落ち着いた挙動で、カーブを曲がり、地形の起伏をこなしていく。

黒子のようにオフロード走行を支援

なカーブでギクシャクすることなく、ボディロールも最小限。ディスカバリーの「スポーツ」であることを証明するかのようだ。

アクセルペダルのオン・オフで姿勢を変えていけるクルマではないし、ステアリングホイールにグリップ力の残量が伝わるわけでもない。だが期待以上のコーナリングの楽しさには、驚かざるを得ない。

乗り心地も極めて良い。舗装が剥がれた鋭い穴を通過したり、キャンバー角の大きな変更がなければ。オフローダーとして、どこへでも走っていける実力と組合わさり、ほとんどのオーナーは、ディスカバリー・スポーツの限界領域を知ることはないだろう。

移植に成功した新しいプレミアム・トランスバース(横置き)・アーキテクチャによって、新しい電子制御ホイール・マネージメント技術も導入された。滑りやすい急斜面でタイヤが空転している状況で、鋭く加速することが脱出方法だとドライバーが考えていても、クルマの方でちゃんと対応してくれる。

仮に闇雲にアクセルペダルを踏んでいても、ディスカバリー・スポーツは地形に最適なアルゴリズムを導き出し、ドライバーをその状況から抜け出させてくれるのだ。例えオールシーズン・タイヤを履いていなくても、砂や土、岩場であっても黒子のように助けてくれる。

目に見えない部分での大きな進化

多くのドライバーの場合、ディスカバリー・スポーツでのオフロード走行で意識するのは、他の部分になるだろう。例えば、車内の大きなタッチモニター式のインターフェイス。部分的にモニター式になったデジタルメーター。大きくなった荷室容量や、40:20:40で分割してスライドできる2列目シートなど。

シート自体もデザインし直され、フロントシートにはマッサージ機能も内蔵された。3列目シートもオプションで設定できるようになっている。このクラスでは珍しい。

他のモデルのマイナーチェンジと異なり、多くは目に見えない部分だが、得たものは本物の中身だといえる。特にスピードで勝っていたり、燃費で優れていたりはしなくても、同じ価格で得られるクルマとしての価値は大きく向上した。

快適で実用性が高く、オフロード性能にも優れている。道を選ばないファミリーSUVとして、ランドローバー・ディスカバリー・スポーツは真っ先に指名して然るべきクルマだといえる。

ランドローバー・ディスカバリー・スポーツD180 AWD SEのスペック

価格:4万3175ポンド(600万円)
全長:4597mm
全幅:1920mm
全高:1727mm
最高速度:188km/h
0-100km/h加速:11.8秒
燃費:14.1km/L
CO2排出量:185g/km
乾燥重量:1953kg
パワートレイン:直列4気筒1999ccターボチャージャー
使用燃料:軽油
最高出力:180ps/4000rpm
最大トルク:43.7kg-m/1500-3000rpm
ギアボックス:9速オートマティック

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