EVでも24時間で英国の初回仕様は完売
物価高が深刻な英国だが、仕上がりの良いクルマは売れている。AUTOCARの読者なら、トヨタGR86が90分で完売したことはご存知かもしれない。
【画像】英国では販売好調 ヒョンデ・アイオニック6 日本導入済みのアイオニック5 競合車も 全119枚
それ以外にも、とあるサルーンが英国で人気を集めた。ヒョンデ・アイオニック6のファーストエディションが、24時間で売り切れたらしい。90分と比べれは長い時間だが、バッテリーEV(BEV)であることを考えると、誇らしい結果だといえる。
半導体不足などの影響で提供が遅れ、本国で販売が始まったのは2022年10月。その韓国仕様のレビューも、11月にご紹介したばかりだ。英国のディーラーには、2023年3月頃からクルマが割り振られるというが、既に好調といえるだろう。
アイオニック6は、非常に個性的なスタイリングをまとっている。以前にお会いした、ヒョンデのクリエイティブ部門を率いるリュック・ドンカーヴォルケ氏との話のなかで、斬新なものだとは知っていたが、実際はそれ以上だった。
シルエットは流線型で、テールはなだらかにカーブを描く。その途中で、一段高いスポイラーが後端へ伸びる。一般の交通に紛れても、存在感は小さくない。
ただし、ボディカラーは慎重に選んだ方が良いかもしれない。ブラックの場合、折角のディティールが影に紛れて知覚しにくい印象だった。目立ちたくないオーナーには、好都合かもしれないが。
航続距離はアイオニック5より僅かに長い
基礎骨格をなすプラットフォームは、アイオニック5と同じE-GMPと呼ばれるもの。駆動用バッテリーも、同様に77kWhのものが載る。
滑らかなスタイリングのおかげで、空気抵抗を示すCd値は0.21と驚くほど小さく、アイオニック5より航続距離は僅かに長い。後輪駆動のシングルモーターでは、一度の充電で544kmを走れるという。テスラ・モデル3 パフォーマンスにも並ぶ数字だ。
他のBEVと同じく、気温の低い冬場は駆動用バッテリーの能力も落ちる。試乗時は、370km程度へ短くなっていた。
パワートレインのシステムも、アイオニック5譲りの電圧800Vという高性能なもの。急速充電能力は350kWに対応し、最短18分で10%から80%まで回復できる。大容量の充電器を見つけられれば、だが。
高性能なツインモーター版も用意される。シングルモーター版より航続距離は25kmほど短くなるが、0-100km/h加速は7.4秒から2.3秒も縮める。もっとも、今回試乗した258psのシングルモーターでも、まったく不足ない速さは備える。
英国で展開されるトリムグレードは、初回限定のファーストエディションを除いて2段階。プレミアムは4万6745ポンド(約747万円)からで、アルティメットは5万245ポンド(約804万円)からとなる。
この設定は、アイオニック5とほぼ同じ。目的に応じて、ハッチバックかサルーンを選んで欲しいと考えているのだろう。
品質の高いインテリアに大きな2連モニター
試乗車のアルティメットは装備が充実しており、割高でも選ぶ価値はありそうだ。上級なフロントシートとオーディオシステム、ヘッドアップ・ディスプレイ、360度カメラ映像機能などが備わる。
インテリアの組み立て品質は高く、レイアウトも整い、車内には開放的な雰囲気が漂う。着座位置は想像より高めだが、ドライビングポジション自体に不自然なところはない。
ダッシュボードには大きな2連モニターが据えられ、システムを操作するための、実際に押せるハードボタンも残されている。大部分のインターフェイスがタッチモニターに集約されているわけではなく、使い勝手は良好だ。
リアシート側は、前後方向には感心するほど広いが、なだらかに傾斜するルーフラインとフロアに敷かれた駆動用バッテリーの影響で、上下方向のゆとりは限定的。身長の高い大人がリアシートへ座るなら、アイオニック5の方が喜ばれるだろう。
助手席の角度調整ボタンは、リア側からでも触れられる場所にある。子どもがいたずらするかもしれない。
ゆったりマイルドな走り味 完成度は高い
アイオニック6を発進させてみると、加速具合は予想通り。静止状態から鋭くスピードを乗せていき、高速域になるにつれて徐々に勢いが鈍っていく。スペック以上に速いとは感じないが、これ以上必要はないだろう。
緩やかにカーブを描くスタイリングへ呼応するように、走り味はゆったりマイルド。シャープなアイオニック5との差別化が図られている。高速道路でも乗り心地は滑らかで、快適に感じられる。宙に浮くのではなく、路面へしっかり追従する。
ステアリングホイールの操舵には適度な重さが伴い、レシオも妥当。長距離でも疲れにくそうだ。
ただし、舗装の悪い区間は得意ではない。20インチと大径なホイールも影響し、サスペンションはバネ下の動きを処理しきれず、小さくない振動が車内へ届く。
路面の起伏などはしなやかにこなすため、硬すぎることはないものの、連続した入力は苦手といえる。それ以外の印象が良いだけに、快適性で及ばないのは少々惜しい。
後輪駆動ということで、上質なサルーンでありながら、コーナーでの自由度も備わっている。濡れたロータリー交差点でアクセルペダルを深く倒したところ、僅かなテールスライドとカウンターステアを興じれた。
英国の一般道では、アイオニック5の方が全体的な評価では勝るかもしれない。しかし、アイオニック6も完成度は決して低くない。テスラ・モデル3やポールスター2などの好敵手といっていい。ヒョンデの攻勢は、まだまだ続きそうだ。
ヒョンデ・アイオニック6 RWDアルティメット(英国仕様)のスペック
英国価格:5万245ポンド(約804万円)
全長:4855mm
全幅:1880mm
全高:1495mm
最高速度:185km/h
0-100km/h加速:8.4秒
航続距離:544km
電費:6.2km/kWh
CO2排出量:−
車両重量:1835kg
パワートレイン:永久磁石同期モーター
駆動用バッテリー:77.0kWh
急速充電能力:350kW
最高出力:258ps
最大トルク:35.6kg-m
ギアボックス:シングルスピード・リダクション
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みんなのコメント
ホルホル
ただ台数書いてないのがミソ
どうせ数台売れただけだろうね
後で何とでも言えるわ
当然ちゃ当然だが
先月の韓国内では0台だったそうだ