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【F1メカ解説】ライバルに追い付かれつつあるレッドブル、リヤウイング翼端のトレンドに新たな風を吹き込むか

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【F1メカ解説】ライバルに追い付かれつつあるレッドブル、リヤウイング翼端のトレンドに新たな風を吹き込むか

 F1では、特定のチームが革新的なアイデアを持ち込んだ際、それがライバルチームによってコピーされてさらに進化を遂げていくという流れが常だ。リヤウイングのフラップと翼端板(エンドプレート)が一部切り離されたような形状となっている“セミデタッチ・リヤウイング”もその一例と言える。

 各チームは2022年からの現行レギュレーションによって失われたリヤ周りの空力効果を取り返そうと模索してきた。その中で生み出されたのが、エンドプレートとフラップの接合部にテコ入れをするという案だった。それによって翼端渦をコントロールし、ダウンフォースの増加と空気抵抗(ドラッグ)の低減に繋げられることを彼らは理解していたのだ。ただ、これはマシンのパフォーマンス向上には寄与するが、後方を走るマシンは乱流を受けることになるため、”接近戦を増やす”という現在のレギュレーションの意向に背くものであった。

【F1メカ解説】2023年F1、リヤウイング翼端板にまつわるふたつのトレンド。レギュレーションの意図に反するも、各チームは効率を追求?

■“セミデタッチ・リヤウイング”の元祖

 昨年はアストンマーティンとアルピーヌが先陣を切って、この新たなソリューションのリヤウイングを持ち込んだが、ライバルたちはそのポテンシャルを明らかに見抜いていた。そのソリューションが生まれて1年が経過。現在ではその開発の方向性も変化を見せている。

 現在のリヤウイングで“王道”と言えるのが、アルピーヌのデザインを核としたもので、翼端板とフラップの接合部の裏側に金属製のブラケット(金具)が取り付けられている。しかしながら各チームは設計と改良を繰り返すうちに、接合部付近の形状やフラップ先端の形状を変化させた。これらを最適化することで、トレードオフの関係にあるダウンフォース増加とドラッグ低減を促進しようとしている。

■成績低迷も、細かな変更を繰り返すキック・ザウバー

 ザウバーはモナコGPとカナダGPで新しいリヤウイングを投入した。彼らはウイングを支えるピラー(支柱)を2本から1本に減らしている。そして興味深いことに、その新型ウイングはモナコとカナダでデタッチ(分離)の仕方が異なっていたのだ。カナダのローダウンフォース仕様はアルピーヌの形状と似ている一方で、モナコのハイダウンフォース仕様はアストンマーティンのデザインを踏襲していると言える。



■メルセデスはコンセプトを変更

 一方でメルセデスのリヤウイングも興味深い。彼らは2023年シーズンではアストンマーティン型を追求したが、今季はアルピーヌ型にコンセプトをスイッチしている。また彼らはイモラで新しいソリューションを導入したが、その目標は明確で、ウイングのダウンフォースレベルとドラッグ量の効率化を図ったものと思われる。

■レッドブルRB20の気になる処理

 レッドブルもカナダGPでRB20のリヤウイングに変更を加えており、空力効率の向上を模索していることが受け取れる。昨今はライバルチームがレッドブルに追いつきつつあることを考えると、これは重要なことだ。

 最新のデザインは非常に興味深く、メインプレーンとエンドプレートが交わる角、フラップがセミデタッチされた下の部分に板状のフラップが垂直に立っている。これにより周辺の気流が変わることで、空力効率に影響を与えることが期待されている。カナダGPのフリー走行1回目では、シミュレーションツールの予測通りにウイングが機能していることを確認するため、レッドブルはフロービズペイントを施して走行した。

 グリッド上の全チームがセミデタッチのウイングを採用している中、ライバルチームがいつ、どのような形でレッドブルのやり方を模倣してくるかは今後の注目ポイントと言える。

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みんなのコメント

1件
  • 南斗水鳥拳のレイの子そう母はマミ
    ニューウェイさんのエッセンスは
    もう入って無いんだろうなぁ
    来年はトップから15位くらいまで1秒以内に入りそう
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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