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【試乗】ダッジJCはトリプルクロスオーバー。3列シートだがミニバンほど所帯じみていなかった【10年ひと昔の新車】

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【試乗】ダッジJCはトリプルクロスオーバー。3列シートだがミニバンほど所帯じみていなかった【10年ひと昔の新車】

ダッジJCはダッジブランドの7人乗りのマルチコンセプトカー。ミニバン+SUV+セダンの個性を融合した「トリプルクロスオーバー」だ。2009年1月にダッジ5番目のモデルとして日本に上陸している。ここでは上陸して間もなく行われた国内試乗会の模様を振り返ってみよう。(以下の試乗記は、Motor Magazine 2009年4月号より)

クライスラーのミニバン「グランドボイジャー」の弟分
クライスラーは、現在(編集部註:2009年)、クライスラー、ジープ、ダッジの3ブランドを日本で展開している。

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そのダッジブランドが日本に上陸したのは2007年6月。Cセグメントのキャリバー、Dセグメントのアベンジャー、SUVのナイトロ、スポーツモデルのチャージャーを一気にデビューさせたのだが、それに続く5つ目のモデルがこのJCとなる。

そのコンセプトはトリプルクロスオーバー。SUVとミニバンとセダンの「いいとこどり」をしたモデルで、クライスラーのラインアップを拡充させる役割も持っている。

中国ではJCUV、そのほかの国ではジャーニーと呼ばれるJCは、クライスラーのミニバン「グランドボイジャー」の弟分と言っていい。ちなみにJCという名前にはジャーニー・クライスラーとかジャパン・クルージングなどの意味はなく、ただのコードネーム。せっかくのブランニューモデルなのだから、インパクトのある名前を付けたほうがいいと思うのだが。

ディメンジョンをグランドボイジャーと比較すると、全長でマイナス250mm、全幅マイナス125mm、全高マイナス35mm。車両重量はマイナス200kgとなっている。

アメリカ車=ビッグサイズを期待している人にとっては少々残念かもしれないが、JCはそれほどデカクは感じられない。トヨタ アルファードと比較しても、全長プラス45mm、全幅プラス50mm、全高マイナス170mm、ホイールベースはマイナス60mm。この長く低いスタイルにより、JCはミニバンとは違う雰囲気を醸し出しているのだろう。

搭載エンジンは、兄貴分のグランドボイジャーが193psを発揮するV6の3.8Lなのに対して、弟分のJCはアベンジャーに搭載されるものと同じV6の2.8L。ただし、カタログ値の最高出力はアベンジャーよりも1psダウンの185psだ。排気量は、グランドボイジャーと1L違うのだが、最高出力は8psしか差がない。車重が200kg軽い分、軽快感はJCのほうが上だということは想像に難くない。

▶︎▶︎▶︎次ページ:アイデアが満載された数々の収納アイテム

アイデアが満載された数々の収納アイテム
試乗車は、ボディカラーがインフェルノレッドクリスタル、インテリアカラーがパステルペプルベージュの組み合わせ。内装に使用されているプレミアムファブリックは、グランドボイジャーなどではイエスエッセンシャルと呼ばれていたものが名称変更されたもので、素材などに変更はない。

運転席に座って真っ先に目に飛び込んでくるのが、グリーンのバックライトが綺麗なメーター。ただし、デイライトではメーターの照明が夜間仕様に切り替わってしまうため鮮やかなグリーンを味わえない。これは残念。

JCは、走りも脱ミニバンとなっている。一番好印象だったのが、2.8L V6エンジン。これがとても軽快に回る。運転していると、アルファードよりも長く幅広いボディの大きさも、重さも忘れてしまうほど。この軽快なリズムがJCの運転する楽しさにつながっている。思い通りにクルマが動くことが楽しいと感じるからだ。それは欧州用のセッティングとした前後サスペンションにもよるところが大きい。

どちらかと言えばセダンに近い走行感覚で、ミニバンにありがちな高い重心により、ふらふらすることはない。それもそのはず、JCはBピラーから前がアベンジャーと共用され、後ろが専用設計となっているのだ。

シアターシーティング、Dピラーの中にリア専用の空調システムが入っている点など、乗員への配慮はミニバンのいいところを採り入れている。

また、収納の多さもJCの特徴だろう。ダッシュボード、シート下、フロア下、ドアポケット、アームレストなど、数え切れない、いや収納しきれないほど数多くある。これだけあれば不満は出ないだろう。

不満を言えばナビが用意されていないこと。ダッジはアベンジャーにはナビを用意していたが、このJCでは用意されていない。これは疑問。もちろん、ディーラーオプションとして設定されているが、それではどうしても後付感が出てしまう。日本ではナビは必需品。とくにミニバンのユーザーは純正で装着されていて「当然」の装備だと思っている。ミニバン的素質も持つJCだからこそ、エンターテインメント機能は、充実させておくべきだと思う。

とは言ってみたものの、このJCは積極的にドライバーズシートに座ってハンドルを握り、運転を楽しみたいクルマに仕上がっている。

それはJCがそれだけドライバーズカーとしての素質があることだと思う。運転していて楽しくないクルマは世の中に数多くあるが、ミニバンとしてだけではなくセダンとしての素質も持つJCは、それこそがキーポイント、いや生命線だと言っていい。

ダッジJCとなら、ロングドライブでも家族や友人のため積極的に「運転手役」を買ってでてもいい。クルマを運転することが楽しいと感じるからだ。そんなJCには、「運転が主役」となる素質が十分に感じられた。(文:Motor Magazine編集部 千葉知充/写真:島村栄ニ)

ダッジ JC SXT 主要諸元
●全長×全幅×全高:4895×1880×1720mm
●ホイールベース:2890mm
●車両重量:1830kg
●エンジン:V6DOHC
●排気量:2735cc
●最高出力:136kW(185ps)/5500rpm
●最大トルク:256Nm/4000rpm
●トランスミッション:6速AT
●駆動方式:FF
●燃料・タンク容量:プレミアム・77L
●10・15モード燃費:8.3km/L
●タイヤサイズ:225/65R17
●車両価格:362万2500円(2009年当時)

[ アルバム : ダッジ JC はオリジナルサイトでご覧ください ]

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