■石川真禧照のKカー徹底解剖
2022年から2023年にかけて、最も売れた乗用車がホンダ「N-BOX」だ。「ヤリス」や「プリウス」といった普通乗用車を含め、軽自動車の「N-BOX」が1位だった。その台数は20万2197台。ちなみに2位は「ヤリス」で16万8557台だった。約3万5000台の差をつけての堂々の販売台数1位。しかも現行モデルが登場した2017年以降、年間販売台数で連続4年、昨年で5度目の快挙達成なのだ。
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「N-BOX」が売れ続ける理由
なぜこれほどの長期間、「N-BOX」は売れ続けているのだろう。オートブレーキホールド付電子制御パーキングブレーキを全車に標準装備した最新モデルに試乗した。「N-BOX」シリーズは大きく分けて「N-BOX」と「N-BOXカスタム」がある。エンジンやミッション、サスペンションなどの基本的なコンポーネンツに違いはない。両モデルともにNA(自然給気)とターボエンジンが用意されている。足回り系での違いといえば「N-BOX」は基本的にスチールホイールが標準装備なのに対し、カスタムはアルミホイールで、14インチと15インチが用意されている。
外観では「N-BOX」は、丸目のヘッドライトでファミリーカーをイメージした大人しいデザインを採用、日常生活の中に溶けこむような使いやすいクルマに仕上げられている。カスタムはクロームメッキグリルとバンパー下にコの字のメッキ部分を採用し、ダイナミックデザインで登場。ライト周りも9灯式のフルLEDヘッドライトが装備されている。リアは大型のルーフスポイラーが装着され、スポーティーなイメージだ。
試乗したのは、カスタムLコーディネートスタイル。Lとの違いはリア右側のパワースライドドアが標準装備になっているのと、フロントグリルやフォグライトガーニッシュ、アウタードアハンドルがクロームメッキでもツヤ消しのダーククロームになり、室内では助手席インパネ、ドアノブパネル、ハンドルスポーク下部にそれぞれマルチボルドー色の偏光る塗装が施されている。
運転席に座り、ポジションを合わせる。着座位置はやや高め。それでも頭上のスペースは、手を伸ばして、天井やフロントウインドに手が着くか、というほどに広い空間。サイズが大き目の前席は中央から2分割になり、スライド、可倒する。両席の間には大きめのアームレストも備わっている。床面もフラットだし、コンソールの張り出しも小さいので、前席間でサイドスルーすることができる。
試乗中に、後席で寛ぐ時間があった。スライドドアは左右ともに電動式。運転席からコントロールもできる。ベンチシート仕様のLは後席がスライドしないが十分に広い。後席は座面だけをチップさせ、高さのある空間を創り出したり、背もたれを前に倒すと座面もスライドして床下に潜りこむスライドダウン方式も採用している。室内高も他社のスーパーハイトワゴンよりも高くとれている。この広さは「N-ONE」の絶対的な強味だ。
ただし、気になったのはスライドドアのウインドウ。開閉させたが、約2分の1しか降りなかったことと、リアゲートから後席を倒すと、引きおこすのにサイドに回りこまなければならなかったこと。背もたれにロープを装備してくれると有難い。
ハンドリングの安定感
前席に戻って、イグニッションON。0.658ℓの3気筒エンジンを目ざめさせる。シフトレバーは、P、R、N、D、Sの5つのポジション。Dレンジで走り出す。0.658ℓのエンジンは4000回転あたりから音が高まり出す。音質はノイジーではない。
60km/hはDレンジで1800回転あたり。3000回転をオーバーするとアクセルレスポンスも良くなってくる。高速走行で80km/hは2800回転。Sレンジにシフトすると3400回転だ。エンジン音は4000回転あたりから大きくなるので、素早い加速が必要ならば、Sレンジにシフトするとトルクピークに向かって加速を開始する。Dレンジの0→80km/hが11秒台。速さを求めるならターボは必須だ。
ハンドリングの安定感も「N-BOX」の美点。とくに中・高速域での動きが安定している。中速域でのコーナリングは、アンダーステアはまだ残っているものの、かなり改良されている。乗り心地も低速域ではタイヤのザラつきや上下動の硬さが気になるが、車速を高めていくほどに上下動も抑えられてくる。
平均実走燃費は10~14km/L。カタログ値は21.2km/L(WLTC)だ。安全運転支援や快適装備も充実している。標準装備になったオートホールドパーキングブレーキなど、街中での使い勝手もよい。日本でもっとも売れているクルマは、室内の広さと、使い勝手のよさでライバルたちの追従を抑えているのだ。
■関連情報
https://www.honda.co.jp/Nbox/
文/石川真禧照 撮影/萩原文博
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スズキ、ダイハツのは、軽だよなーって感じ。