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新型シビックの「エアコン吹き出し口」は世界初だった…どこがどうスゴイのか

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新型シビックの「エアコン吹き出し口」は世界初だった…どこがどうスゴイのか

旧車などを除き、大半のクルマのエアコン吹き出し口(アウトレット)には、細長い板を並べたルーバーが存在している。だが、新型シビックにはそのルーバーがない。あるのは金属製の細かいメッシュと風向調整のツマミだけ。風の向きを変える構造自体は内部に入っていて、中の構造物があまり目立たない設計になっている。だから、見た目もとてもスタイリッシュだ。

この新しいパンチングメタルのアウトレットについて、新型シビックのインテリアデザインを担当した小川泰範氏にお話を伺った。

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■どんな構造になっている?

風が出るメッシュの内側は上下方向の開口をすぼめた筒状の構造体としている点が大きなポイントです。内部の通風口を上下させることで風向を調整していますが、通風口から上側の壁に当たった風はすぼまった形状によって下方向に、下側の壁に当たった風は上方向に出る仕組みとなっています。

これによって省スペースで、角度を稼いだワイドな配風角(旧型比で上方向+12度、下方向+21度)を実現しています。ちなみに、横方向の風向の調整については、奥に隠れたフィンで対応しています。上下方向にワイドフローを実現すると、顔に直接風が当たるのを抑制し、肌や目の乾燥を防ぎますし、乗員の周囲に心地よい風を届けることで、心地よい空間の実現にも役立っています。

■開発にいたった経緯は?

もともとは見た目のカッコよさや目新しさを狙ったのではなく、インテリアのデザインコンセプトである“ファインモーニングインテリア=爽やかで気持ちのよい朝”がキーになっています。朝が気持ちよいと一日が爽快に過ごせるのではないかということで定めたコンセプトですが、朝の時間帯をイメージしたときに、低い角度で日差しが入ってくると、通常のアウトレットだとフィンがたくさんあって、その横に角度を調整するための機構など中の構造物が見えてしまいます。これはお客様には関係ないもので、お客様が欲しいのは気持ちのいい風だよねと。そんな着想から、構造物を隠すという意図で、メッシュパネルを採用しました。ただ隠すのでは芸がないので、配列まで気を遣いデザインされたハニカムパターンのパンチングメタルを施すことで、それ自体を価値のある存在にしました。

■メッシュパネルはなぜハニカムデザインなのですか?

精緻で、構造体として安心できる形としてハニカム構造を採用しています。フロントグリルといったエクステリアの風を吸う場所とテイストを揃えています。メッシュの大きさ(約1cm)については、あまり広げすぎずに風が通るという機能を損なわない範囲でバランスを取りながら決めています。また、素材はスチールで熱対策のために塗膜の厚いコーティングを施していますが、樹脂製ではこのように細くて穴の空いた細かな成形が難しいです。

■ノブの大きさにもこだわりはあるのですか?

アウトレットの中央には上下左右の風向を調整するツマミがありますが、下に向けると下に出てくるというように直感で操作できるようになっています。ただし、ノブは回せない構造です。これ以上(ノブの大きさが)大きくなると人間の心理で、回したくなってしまうんですよ。ノブは回さないで倒す構造を追求して、形状も相当悩んで作ったという裏話があります。操作のフィーリングにもこだわっていて、今回はワイドフローということで上下の操作幅も大きいので、センター位置はカチッとクリックするような機構を入れてデフォルトの位置がわかるようにしています。

■今までのクルマにはない異色のデザインですね?

世界初の機構です。メッシュやノブは家のリビングにあるものをイメージしてデザインしていますが、クルマではない感じというのはすごく狙っていたので、そういっていただけてうれしいです。

インテリアデザインでホンダに入社以来、クルマのアウトレットって、なぜこんなに偉そうに一等地にドーンと構えているのだろうと思っていました(笑)。冷やしたり、暖めたりする機能だけなので、ビルの空調のようにビルトインで隠れるような構造にならないものかと、ずっと思ってきました。直接風を当てたい時、空間を冷やしたい時、それぞれの機能も含めて、今回やっと念願が叶い、1個の解ができたかなと思います。世に問うまでずっとドキドキしていましたが、公開の日を迎えて非常にうれしいです。

◇◇◇

N-BOXの「サイドビューサポートミラー(ピタ駐ミラー)」やステップワゴンの「わくわくゲート」などアイデア装備を繰り出すホンダ。次なる新アイテムの新構造アウトレットで、インパネの景色が変わるかもしれない。

〈文=ドライバーWeb編集部〉

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