白煙を出しながら走行している古いバイクは故障ではない?
街中や高速道路、山道などで白煙を出しながら走行する古いバイクを度々見かける事があると思います。バイクから煙が出ていると故障しているのではないか、もしかしたら発火しているのではないかなど、心配になる人もいるでしょう。
【画像】走行中のバイクから白煙が出る理由を画像で見る(10枚)
では、白煙を出しながら走行しているバイクは、故障しているわけではないのでしょうか。
まず、バイクのエンジンには「4ストローク」と「2ストローク」が存在します。そして2ストロークエンジンには、走行時にマフラーから白煙が出ると言う大きな特徴があります。つまりマフラーから白煙を上げながら走行しているバイクは、2ストロークエンジンを搭載した車両である場合がほとんどであると考えられます。
では、いったいなぜ白煙が出るのでしょうか。その答えは、2ストロークエンジンの構造にあります。
エンジン内部は、「シリンダー」という筒状のパーツの中をピストンが上下に運動し、「クランクシャフト」というパーツを回すことで、エンジンの回転運動へと変化させています。
このシリンダー内部でピストンが上下運動をすることによって、吸気、圧縮、燃焼、排気という行程がおこなわれる仕組み。
上記の行程をピストンの往復運動2回でおこなうエンジンのことを4ストロークエンジン、そして2ストロークエンジンは、ピストンの往復運動が1回で完了するエンジンとなっています。
この2ストロークエンジンには、4ストロークエンジンのような吸気バルブや排気バルブのようなバルブ機構がありません。代わりに、シリンダーに設置された「掃気ポート」や「排気ポート」と呼ばれる孔(ポート)から、吸気と排気が行われます。
また2ストロークエンジンは、混合気にエンジンオイルも混ぜてクランクシャフトなどエンジン内部の各所パーツを潤滑させ、混合気を燃焼させているのも特徴。
こうした構造の違いにより、2ストロークエンジンはオイルを一緒に燃やしているので、その燃焼したオイルが白煙としてマフラーから出てくるというわけです。
また、4ストロークエンジンで使用されるエンジンオイルは基本的に燃やすことができませんが、2ストロークエンジンで使用されているエンジンオイルはガソリンとオイルを一緒に燃やすことができる性質のものを使用している点も、走行中に白煙が出る要因のひとつとなっています。
オイル上がり・オイル下がりとはいったい何?
一方で、時には4ストロークエンジンであるにもかかわらず、白煙を出しながら走行している場合もあるでしょう。
この場合は、エンジンで何かしらのトラブルが起きている事が考えられる為要注意。エンジントラブルの一例として、「オイル上がり」や「オイル下がり」が挙げられます。
エンジンは、高熱になるのを防いだり金属の摩耗を防いだりするために、シリンダー内部にもエンジンオイルが潤滑しています。そのため4ストロークエンジンのピストンには、シリンダーに付着したオイルが燃焼しないよう、エンジンオイルを掻き出しエンジンオイルの燃焼を防ぐ「オイルリング」というパーツが取り付けられています。
またオイルリングの他にも、「トップリング」と「セカンドリング」というピストンが滑らかに上下できるよう助ける役割を持ったリングも取り付けられており、こうした3種類のパーツを合わせたものが「ピストンリング」。
このピストンリングに損傷や摩耗が見られたり、シリンダー壁面に傷などがついてしまったりした場合、シリンダー壁面の傷やピストンリングの隙間からエンジンオイルが燃焼室へと入ってしまいます。
このようにピストンの下側にあるクランク室からエンジンオイルが燃焼室へ侵入してしまうトラブルが、オイル上がり。そしてオイル下がりは、吸気バルブや排気バルブを潤滑しているオイルが燃焼室へ侵入してしまう場合を示します。
また、吸気バルブと排気バルブには、バルブが開閉する時に起こる金属摩擦による劣化を防ぐために、シリンダーヘッド内部に「バルブステムシール」というパーツが取り付けられています。
このバルブステムシールが劣化することにより、吸気・排気バルブからオイルが燃焼室へ侵入し、混合気と一緒に燃えることでマフラーから白煙が出るというわけです。
ちなみに、オイル上がりかオイル下がりかを見分ける方法もあり、オイル上りの場合はエンジンの回転を上げる、つまり加速する際に白煙が出ることがほとんど。オイル下がりの場合は、エンジン始動時や減速時に白煙が出る可能性が高いと言われています。
こうした症状を出さないためには、普段からエンジン内のエンジンオイル量を適切に保つことや、適合したオイルの使用、定期的なオイル交換等のメンテナンスをおこなうことが重要です。
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みんなのコメント
そのマッハが走ると後ろが見えないほどの煙をたてて爆走していた。
2stの全開加速の後追いは大変だった記憶が。