ホンダ「オデッセイ」「CR-V」に続くクリエイティブ・ムーバー第3弾として、2Lクラスミニバンの「ステップワゴン」は1996年5月に登場した。
ステップワゴンが革新的だったのは、現在ミニバンのなかで最も激戦区となっているクラスにおいて、商用車がベースで運転席下にエンジンを搭載し、FR駆動のセミキャブオーバーが主流だった時代に、いち早く乗用車と同じFFの駆動方式を採用し、低床で広い室内空間を実現したことだ。
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また、3列シート仕様だけでなく、広いラゲージスペースを確保した2列シート仕様を設定し、商用車として使用できるアイデアも採用されていた。
現在2Lクラスミニバンはトヨタ「ヴォクシー/ノア/エスクァイア」3兄弟と日産「セレナ」が市場で大きなシェアを占めており、ステップワゴンは後塵を拝している。しかし、こういうモデルほど中古車はバリュー感が高くなるのだ。そこで今回は、現行型ステップワゴンの最新中古車事情を紹介する。
文/萩原文博
写真/HONDA、編集部
【画像ギャラリー】ファミリーユースにピッタリの使いやすさ! 現行型ステップワゴンを詳しくチェック!!
■装備充実で わくわくゲートも採用したホンダの意欲作
5代目となる現行型ステップワゴンは2015年4月より販売開始した。標準車のステップワゴンそしてエアロパーツを装着した「ステップワゴン スパーダ」というモデル体系は、先代と同じだ。
「ほかのミニバンはフロントマスクが派手だから、ステップワゴンは個性を追求した」と開発者が語る現行型ステップワゴン(標準車)
ワンモーションフォルムと言えるエクステリアデザインを採用し、縦開きのリアゲートに床下収納が可能なサードシートへのアクセスが可能な横開き式のサブドアを採用した「わくわくゲート」を採用。この重量のあるテールゲートを採用したことで、リアの開口部の剛性を向上させている。その結果、クラストップレベルの走行性能を実現したのが特徴だ。
こちらが「わくわくゲート」。2020年1月の一部改良でわくわくゲート無しのグレードも設定された
搭載されているパワートレーンはデビュー当初、最高出力150ps、最大トルク203Nm(20.7kgm)を発生する1.5L直列4気筒ターボ+CVTのみだったが、2017年9月に行われたマイナーチェンジの際に、スパーダにのみ「スポーツハイブリッドi-MMD」と呼ばれる2Lガソリンエンジンと駆動・発電用2つのモーターを組み合わせたハイブリッドシステム搭載車を追加している。
一方、安全装備はホンダ独自の運転支援システム「ホンダセンシング」をデビュー当初は全車にオプション設定となっていたが、2016年5月の一部改良で、「B」を除くグレードに標準装備化。続く2017年9月に行われたマイナーチェンジで、歩行者事故低減ステアリング、さらにハイブリッド車にはアダプティブクルーズコントロール機能に0km/hから作動する渋滞追従機能を追加し、全モデルに標準装備となった。
2020年にはハイブリッド車を「e:HEV(イーエイチイーブイ)という名称に変更。その際に、エントリーグレードの「B・ホンダセンシング」と「スパーダハイブリッド B ホンダセンシング」が廃止されている。
2016年にカタログモデルとして追加された「モデューロX」は、ミニバンでもナンバーワンのハンドリングと評価が高い
加えて、ステップワゴンにはファクトリーブランドであるホンダアクセスが手がけたカスタムカー「モデューロX」が設定されている。空力性能を向上したエアロパーツと専用チューンを施したサスペンションによってミニバンとは思えない旋回性能や優れた乗り心地を実現しているのが特徴だ。それでは、現在の現行型ステップワゴンの中古車相場を見てみよう。
■ホンダセンシング搭載車がオススメ! 今が狙い時
現在、現行型ステップワゴンの中古車の流通台数は約1440台。3カ月前の2020年7月の時点が約1680台だったので、減少傾向となっている。
流通している中古車の平均走行距離は3カ月前が約3万km、そして現在は約3.4万kmまで延びていることもあり、平均価格は約217万円の3カ月前から現在は約209万円まで値落ちしている。現行型ステップワゴンの平均価格の推移をもっと長い1年というスパンで見てみると、1年前の2019年10月の時点では約245万円だったので、順調に値落ちしていることがわかる。
ちなみに同じクラスのライバルであるトヨタ「ヴォクシー」の平均価格は約217万円。日産「セレナ」は約250万円で、販売開始が1年早いヴォクシーよりもステップワゴンが割安となっている。これが中古車特有の人気が価格に影響している表われなのだ。
約1440台流通している現行型ステップワゴンだが、約80%はステップワゴンスパーダで、標準車のステップワゴンは約20%に留まっている。新車販売でもスパーダの7に対して標準車3と言われているので、中古車ではさらにスパーダ優勢が顕著となっている。中古車の価格帯は約83万~約383万円で、100万円以下のプライスを付けた中古車も5台ほど流通しており、これから増加が期待できる。
2017年9月のマイナーチェンジでスパーダ系は外観が変更され、ヘッドライトのLED化、フロントグリルのデザインやテールゲートスポイラーの形状が変更された
グレード構成では、最も流通台数が多いのが、約220台の「1.5スパーダ」、続いて約200台で「1.5スパーダ クールスピリット」が続く。第3位が「1.5スパーダ ホンダセンシング」の約175台。第4位に「2.0スパーダG EX ホンダセンシング」の約88台。そして第5位に「1.5G ホンダセンシング」の約80台となっている。
運転支援システムの「ホンダセンシング」はデビュー当初は全車オプション設定で、2016年5月の一部改良以降に「B」グレードを除く全グレードに標準装備となった。流通台数の上位2グレードはホンダセンシングがオプション設定だった時期のグレードなので、購入するときには注意が必要だ。そこで、ここではホンダセンシングが標準装備となった第3~5位について紹介する。
流通台数約175台の「スパーダ ホンダセンシング」の中古車の価格帯は約150万~約300万円。流通台数約88台で第4位の「2.0スパーダG EX ホンダセンシング」の中古車の価格帯は約260万~約383万円。そして第5位の「1.5G ホンダセンシング」は約120万~約250万円となっている。
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加えて、流通台数が約57台のハイブリッド車のエントリーグレード、「2.0スパーダ G ホンダセンシング」の価格帯を見てみると約246万~約340万円と上級グレードの「2.0スパーダG EX ホンダセンシング」との価格差は小さくなっている。
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運転支援システム「ホンダセンシング」装着車をリーズナブルで手にいれるならば、台数は少ないものの標準車がオススメと言え、ハイブリッド車にこだわるのであれば、装備が充実し流通台数の多い「スパーダG EX ホンダセンシング」がオススメだ。
人気面ではヴォクシーやセレナには一歩譲るが、充実した運転支援機能システム「ホンダセンシング」を装着した中古車であれば、その実力と価格のバランスはステップワゴンがピカイチと言える。まさに現行型ステップワゴンは中古車で購入するとオイシイクルマとなっているのだ。
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