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新型スペーシア試乗 価格/走り/内装を評価 カスタム・ターボも

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新型スペーシア試乗 価格/走り/内装を評価 カスタム・ターボも

もくじ

どんなクルマ?
ー 2代目スペーシア スーパーハイト軽ワゴン
ー 全車マイルドHV HUD視認性は随一

『スペーシア・ハイブリッドX試乗』すべての画像をみる

どんな感じ?
ー ISGによる駆動補助 NA編
ー ISGによる駆動補助 ターボ編

「買い」か?
ー ノアを上回る室内高 約147万円

スペック
ー スペーシア・ハイブリッドXのスペック
ー スペーシア・カスタム・ハイブリッドXSターボのスペック

どんなクルマ?

2代目スペーシア スーパーハイト軽ワゴン


スペーシアが分類されるスーパーハイト系軽乗用はクラス最大級のキャビンスペースを利した居住性や積載性あるいは室内作業性を特徴としている。新型もこういった基本コンセプトは変わっていないのだが、内外装デザインを見ても分かるようにレジャー用途をかなり意識している。ファミリーユースに向けた実用面のポテンシャルをレジャーにも活かそうというわけだ。


全高は1785mmにもなるが、標準系の上級設定となるハイブリッドXにはOPでルーフレールも用意される(試乗車は、レール付きの2トーンルーフパッケージで全高1800mm)。この全高でルーフキャリアを架装するのは実用面では相当厳しいと思われるが、ルーフレールを装着しても似合うところがキャラの様変わりを端的に表している。



全車マイルドHV HUD視認性は随一


また、標準系/カスタム系ともにパワートレインは全車マイルドハイブリッドを採用する。標準系はNA仕様のみの設定で、カスタム系にはターボも用意されているが、いずれも2.3kWのISGと120Whのリチウムイオン電池(SCiB)を備え、回生充電や駆動補助を行う。新たにEVクリープ走行機能が加わり、マイルドハイブリッド車でも先進的な機能を備えている。


安全&運転支援装備も最新仕様となり、歩行者対応AEBSや車線逸脱警報、進入禁止標識認識を採用。車体周辺モニターは斜め上から視点を変えて表示できる3Dビューを軽乗用で初めて採用。また、視線移動少なく確認できるHUDをAEBS装着仕様全車にOP設定。ウインドウ投影型のカラー表示で視認性に優れ、メーターパネルを見る必要がないほど。実用性だけでなく、インパネ周りの車格感や先進感を向上させる新アイテムだ。


経済的な街乗り以上の用途に向けた性能と機能のレベルアップが大きな特徴である。



どんな感じ?

ISGによる駆動補助 NA編


インジケーターで蓄電量が半分以上あれば停車からブレーキを離すだけでEVクリープ走行に移行するが、ゆっくりすぎて車庫入れでも非実用的。不要なエンジン再始動を減らしてアイドリングストップ時間を稼ぐのが主目的と考えたほうがいい。しかし、動力性能面でのISGによる電動駆動補助の効果はかなりのものだ。


アクセル踏み増し時のダウンシフト量の減少が電動駆動補助の狙いであり、そのとおり巡航時の登坂や緩加速でNA仕様の軽乗用なら1000rpmくらい回転上昇しそうな状況でアクセルの踏み込みと同時に電動補助が加わり500rpm以下の上昇に抑える。ターボには及ばないにしてもNA仕様としては中庸域の力感に優れている。


深く踏み込むと電動補助は解除され、回転を一気に高めてエンジンの地力で加速する。そのため走行負荷が大きくなる高速域の動力性能アップにはほとんど寄与しないが、60km/h以下の一般走行時の力感や速度コントロールのしやすさはNA仕様とは思えないほど。



ISGによる駆動補助 ターボ編


ちなみにカスタムのターボ車(写真白)では高速域でもアクセルの踏み込み量が減るため電動補助も頻繁に介入する。一般路で乗っているとターボは不要かなと思えたが、高い速度域では余力が段違い。相対的にはマイルドハイブリッド効果もターボ車は高速走行向けと言えよう。


フットワークは和み系。へなちょこ系と言ってもいいが、頭の重さを感じさせるように、ゆらりと入るロールや鈍い操舵反応はスポーティ車を好むドライバーには許し難いかもしれない。ただ、緩さで全体がうまくバランスしているのが妙味である。

ある程度ロールしてしまえば挙動もライントレースも落ち着いているし、とくに補正操舵も必要としない。高速直進時のステアフィールの据わりもよく、神経質な反応は皆無なので、鷹揚に構えて運転できる。また、新型車ではウレタンを用いた「早当て」でバンプストップラバーを積極的に活用するサスストローク制御を採用する。軽乗用は後席使用の有無で後輪荷重が大きく変化しやすいが、空荷の乗り心地と定員乗車での操安を両立させるサス設計であり、ロールするほどにしっかりするのはそういう部分も効いている。


なお、サスチューンは全車共通であり、装着タイヤが標準系全車とカスタムのベーシックグレードは155/65R14、カスタムのXS以上は165/55R15となる。15インチ仕様は若干操縦感覚が引き締まるが、個人的には全体的に「緩さ」でまとまっている14インチ仕様がスペーシアらしくて好印象だった。



「買い」か?

ノアを上回る室内高 約147万円


標準系の最上級グレードはFFで約147万円。カスタムのターボ車なら180万円近くなる。「今の軽乗用って、そんなに高いの!?」と聞こえてきそうだが、タントの標準系最上級仕様は約153万円で、Nボックス・カスタムのターボ車は195万円である。コンペティターに対しては同等もしくは多少買い得なくらいだ。

しかし、価格の検討で最も重要なのはコスパである。


室内高は2L級1BOXミニバンのノアを上回る1410mm。後席は左右独立のスライド&リクライニング機構を備えて、収納はバックレスト前倒と連動して座面が沈み込むワンタッチダブルフォールディング(ダイブダウン)。前席周りには豊富な収納スペースがあり、リッド付きや引き出しなど常載品の整理もしやすい設計だ。先代から充実していたので大進化とまでは言えないが、2名乗車ならレジャーユースにも使いやすそうだ。後席は沈み込みを上手く使い、密着感を高めた座り心地。上級グレードは天井取り付け型薄型循環ファンを標準装着し、空調面でも後席の快適をサポート。4名乗車でも標準的なスモール2BOX車以上の居心地である。


登録車でこれだけの実用性を備えたモデルとなれば200万円超で、しかもハイト系軽乗用のコンセプト移植タイプくらいしかない。つまり、タウンユース軸脚でレジャーユースにも対応できるモデルとしてスペーシアのコスパは際立っている。車格にこだわらずに生活実態からクルマを選ぶ人には見逃せない存在だ。



スズキ・スペーシア・ハイブリッドXのスペック

■価格 146万8800円
■全長×全幅×全高 3395×1475×1785(試乗車:1800)mm
■最高速度 –
■0-100km/h加速 –
■燃費 28.2km/ℓ
■CO2排出量 82.3g/km
■車両重量 870kg(試乗車:880kg)
■パワートレイン 直列3気筒658cc
■使用燃料 ガソリン+電気
■エンジン最高出力 52ps/6500rpm
■エンジン最大トルク 6.1kg-m/4000rpm
■モーター最高出力 3.1ps/1000rpm
■モーター最大トルク 5.1kg-m/100rpm
■ギアボックス CVT
スペーシア・カスタム・ハイブリッドXSターボのスペック(差分のみ)

文:AUTOCAR JAPAN 川島茂夫
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