英国の道路環境に理想的な高性能モデル
ランドローバー・レンジローバー・スポーツのステアリングは、ジャガーにも似ている。適度な弾性と重さがあり、ラインを正確に辿れ、安定を崩さない。
【画像】同じ土俵に登った2台 M3 ツーリング レンジローバー・スポーツ M4とレンジローバーも 全136枚
確かに、路面からの情報は手のひらへ殆ど伝わってこない。とはいえ、ローレンジ付きの四輪駆動と、カイエンより50%深い河川を渡れる能力を持つことを忘れてしまうほど有能だ。
運転時間が長くなるほど、傷みの酷い英国の道路環境にとって、理想的な高性能モデルだという実感が湧く。よく動くサスペンションと、不足ないサイドウォールを持つタイヤ、運転席からの優れた視界に外界との隔離性が、オンロードでも存分に活きる。
ラグジュアリーなキャビンに抱かれながら、ツインターボで過給される4.4L V8ガソリンエンジンを奮い立たせる。筆者はSUVを好むわけではないが、レンジローバー・スポーツが支持される理由は充分に理解できる。
獰猛なほどパワフルではない。フルスロットル時の轟音から期待するほど、鋭くはない。トラクションは極めて高く、ボディの質量は大きく、シャシーの電子制御は安定性を最優先する。それでも、間違いなく運転は面白い。
乗り心地は上質で、操縦性は正確。クルマ好きの気持ちをしっかり満たしてくれる。レンジローバー・スポーツが誕生したことへ感謝したくなる。
慣性の小ささと爽快な敏捷性を実感
キドニーグリルがこれ以上ないほど拡大した、G80型BMW M3 ツーリングへ乗り換える。レンジローバー・スポーツより車重は565kgも軽い。アクセルペダルを踏み込んだ瞬間から、慣性の小ささと爽快な敏捷性を実感できる。
ひたすら気持ちイイ。最も優しいドライブモードでも、キビキビと小気味イイ。滑らかに路面へ追従し、雨で多少濡れていても、不安を感じさせない身軽さで回頭していく。
Dセグメントのクラスリーダーといえるステーションワゴンをベースに、高度にチューニングされたという事実が、筆者の気持ちをくすぐる。能力の高さは疑いようがない。
それでも、殆どの時間を過ごすであろう、一般道や高速道路へも見事に対応する。自分の身の回りにある不要なものを売却してでも、M3 ツーリングを手に入れたいと思わせるほど、筆者を夢中にさせる。
レンジローバー・スポーツも、万能選手として極めて水準は高い。雨がちな道を650km程走る途中、家畜を運搬するトラックの後ろで、その快適性へ酷く感心させられた。
座面が高めのドライビングポジションは、背もたれが倒れ気味で好ましい。JLR最新の機能的なインフォテインメント・システムが稼働する、13.1インチ・タッチモニターが据えられたダッシュボードも美しい。M3 ツーリングでは叶えがたい、幸福感がある。
多様性を調和させた望むべき最高の1台
乗り心地も別次元にある。感服してしまうほどフラットで静か。レンジローバー・スポーツとの日常が、満ち足りたものになることは明白だろう。将来的に、M3 ツーリングが価値を高めるだろうと知っていても、こちらを選びたくなる気持ちもわかる。
乗り比べてしまうと、M3 ツーリングの車内は正直うるさい。高速道路での移動は、賑やかな飲み屋の2階で過ごすような時間になり得る。
現行のM3としては最もサスペンションの設定幅が広いにも関わらず、細かな振動も常に伝わってくる。レンジローバー・スポーツが、ロードローラーのように路面をいなすのとは対照的なほど。
オプションではあるが、カーボンファイバー・シェルのバケットシートは、高いサイドボルスターが乗降性に影響を及ぼしている。M3 ツーリングの高貴なまでの操縦性を体験できる時間は、極めて限られている。現実の英国においては。
だとしても、見事な仕上がりのBMW 3シリーズ・ツーリングの延長上にある。クルマへ求めるすべてを叶えつつ、本気のMモデルでもある。望むべき最高の1台だといっていいだろう。
多様性を調和させたモデルとして、両車は讃えるべき領域にある。スリリングさと実用性とのバランスで、軍配はM3 ツーリングへ挙げたい。しかし、その差は当初の想像以上に小さかったことも事実だ。
M3 ツーリングとレンジローバー・スポーツのスペック
BMW M3 コンペティション・ツーリング(英国仕様)
英国価格:10万150ポンド(約1753万円/試乗車)
全長:4794mm
全幅:1903mm
全高:1436mm
最高速度:280km/h(Mドライバーズ・パッケージ)
0-100km/h加速:3.6秒
燃費:9.7km/L
CO2排出量:232g/km
車両重量:1865kg
パワートレイン:直列6気筒2993ccツイン・ターボチャージャー
使用燃料:ガソリン
最高出力:510ps/6250rpm
最大トルク:66.1kg-m/2750-5500rpm
ギアボックス:8速オートマティック/四輪駆動
ランドローバー・レンジローバー・スポーツ P530(英国仕様)
英国価格:10万6550ポンド(約1865万円)
全長:4946mm
全幅:1990mm
全高:1820mm
最高速度:249km/h
0-100km/h加速:4.5秒
燃費:8.8km/L
CO2排出量:257g/km
車両重量:2430kg
パワートレイン:V型8気筒4395ccツイン・ターボチャージャー
使用燃料:ガソリン
最高出力:530ps/5500rpm
最大トルク:76.3kg-m/1800rpm
ギアボックス:8速オートマティック/四輪駆動
申込み最短3時間後に最大20社から
愛車の査定結果をWebでお知らせ!
申込み最短3時間後に最大20社から
愛車の査定結果をWebでお知らせ!
愛車管理はマイカーページで!
登録してお得なクーポンを獲得しよう
「うわぁ!懐かしい!」 “腕回しバック駐車”は過去の話? 昭和で当たり前だったけど“令和で消えそう”な「クルマ運転あるある」5選!
軽の「黄色いナンバー」を「普通の“白い”ナンバー」に変えられる!? 「黄色は恥ずかしい…」「むしろかわいい」意見も? 軽専用の「目立つナンバー」に反響あり
使える!遊べる!もっと自由なクラウン「エステート」公開。大人の好奇心に応えるロングツーリング性能も磨かれている。
レクサス「LBX」が「スピンドルグリルをぶっ壊した」理由とは?【レクサス・インターナショナル プロジェクトチーフデザイナー袴田浩昭氏:TOP interview】
赤信号を無視した女、警察官に「緊急のオペがある。人が死んだらどうする」と説明… その後再三の出頭要請に応じず逮捕! 一体何が起きた?
申込み最短3時間後に最大20社から
愛車の査定結果をWebでお知らせ!
申込み最短3時間後に最大20社から
愛車の査定結果をWebでお知らせ!
店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!
みんなのコメント
この記事にはまだコメントがありません。
この記事に対するあなたの意見や感想を投稿しませんか?