廃止も噂されたトヨタの新型「クラウン・セダン」登場の意味を、小川フミオが考えた!
豊田章男CEOのひと言
新型クラウン・スポーツは期待しかない!──トヨタが考えるSUVの新世界とは?
まもなくの登場を控えている新世代トヨタ「クラウン」シリーズ。多様な車型が特徴で、クロスオーバーやエステートなど、斬新なコンセプトも印象に残る。
いっぽう、スーツが時代遅れにならないように、“セダン”に興味を持つ人も少なからずいるはずだ。ここでは、新型クラウンのなかでも、セダンの魅力を掘り下げてみよう。
2022年内にまず「セダンとSUVの融合」とされるクラウン・クロスオーバーが登場し、それから1年半のうちに、エステート、スポーツそしてセダンを発表する。
クラウンは、これを読んでいる人はよくご存知のように、日本製セダンの代表格ともいえるモデルだった。ところが、新世代へモデルチェンジするにあたって、市場で高い人気を誇るSUV的要素を採り入れたクロスオーバーへの大胆な変身が考えられた。
「固定観念にとらわれず、これからのお客さまを笑顔にするクルマをめざそう」
これが、クラウン・シリーズの開発を担当したトヨタ自動車ミッドサイズビークルカンパニーの中嶋裕樹プレジデントが明かした背景。そこでクラウン・クロスオーバーの開発が始まったんだそうだ。
「その途中段階で、『セダンも考えてみないか』と、豊田章男CEOから提案がありました」
と、中嶋プレジデントは、新世代クラウンお披露目のメディア向け発表会の席上で語った。
中嶋プレデントによると、今回のフルモデルチェンジの初期段階では、現行クラウンのマイナーチェンジともいうべき“磨き上げ”を想定していたとか。そうではなく、コンセプトからの見直しを指示したのが豊田CEO。
「にもかかわらず、ふたたび「セダンも」と、働きかけてきたのは、ゼロから新世代クラウンのありかたを見直すというマインドが開発チームに共有されたのを見計らってのことだと思っている」と、中嶋プレジデントは語った。
当初のクラウン(セダン)はどんなアイディアだったのか? それが、4姉妹という多様なラインナップを前提とした開発コンセプトを採用するなかで、どこまで変わったのか? 開発者に、ぜひ聞いてみたいところだ。
保守的な層の好みに合致するか?
日本をはじめ、世界の各都市にいくと、路上ではセダンをけっこう目にする。セダンには、キャビンと荷室が分離しているため、空調や遮音の効果が高いなどの機能性や、荷室に入れておいた荷物の存在が他者に気づかれにくいといった防犯性も重視されている。
サスペンション・ストロークが長めにとりやすく、乗り心地も快適志向に出来る。とくに大きなバッテリーを使わないエンジン車やハイブリッド車では、サスペンションアームの自由度の大きさは、大きな特徴だ。
お披露目ではシルバーの塗色で舞台に並べられていたクラウン・セダン。まだ本当のガラスさえはまっていない、いわゆる“モックアップ”の状態だった。ドライブトレインなど、はたしてどんなクルマになるのか? トヨタ自動車が催した記者会見の席上でも明確なヒントはなかったのが残念。
わかっているのは、全長が5030mmと長く、ホイールベースも3000mmのサイズ。クラウン・クロスオーバー(全長4930mm、ホイールベース2850mm)より余裕がある。メルセデス・ベンツ「Eクラス」(4940mm、2940mm)よりも大きい。
レクサス「LS」(5235mm、3125mm)には届かないが、クラウン・セダンは、後席もひんぱんに使う需要を見込んだサイズといえる。
大きめサイズの意味を別の角度からみると、クロスオーバーでは最初からリムジン的な使用目的を満たせないのは明白だったともいえる。本当にセダンはクロスオーバーの後で開発することになったのか? あるいは、クロスオーバーの想定サイズは、最初こそ大きめだったものの、のちにすこしコンパクト(量産車のサイズ)に下げられたのか?
そのあたりの真相は明らかでないものの、セダンは、従来からのクラウン・セダンのマーケットにきちんとリーチできそうだ。フロントマスクのデザインが、いまあえてセダンを選ぶ、いってみればちょっと保守的な層の好みに合致するか? そのあたり、私には判断がつかない。
LEDによる照明をふんだんに使うなどして、トレンドに即したような演出がほどこされる可能性もあるし、あるいは、逆張りで、ぐっと控えめな外観を守るかもしれない。
それもトヨタ・デザインの力量を示すいい機会で、私としては、ぜひ見てみたい。
文・小川フミオ
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みんなのコメント
ただ…
なんで格下のカローラ寄りなフロントにしたかな…
個人的にはココが1番嫌なポイントですね
キーンルックを貫くのではなく格上のセンチュリーに寄せたデザインのほうが
トヨタのフラッグシップモデル(ショーファードリブン除く)として重厚感、高級感も保ちつつ
レクサスとの差別化もできたと思います