現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > ソアラの消滅はフルモデルチェンジに失敗したから……は間違い!? 代を追うごとに人気を失った本当のモデルとは

ここから本文です

ソアラの消滅はフルモデルチェンジに失敗したから……は間違い!? 代を追うごとに人気を失った本当のモデルとは

掲載 42
ソアラの消滅はフルモデルチェンジに失敗したから……は間違い!? 代を追うごとに人気を失った本当のモデルとは

 この記事をまとめると

■初代モデルと比較して人気がなくなり終売となった車種が存在する

実際乗ってりゃモテた謎時代があったのだ! 歴代最強デートカーを考えたら候補に挙がった6台とは

■トヨタ・ソアラは3代目からコンセプトの変更で人気がなくなってしまった

■ソアラ以外にも日産マーチや三菱ミラージュなどもモデルチェンジで不人気となった

 クルマのモデルチェンジは諸刃の剣

 俳優の伊藤かずえさんが1990年式の日産シーマにいまなお乗り続けていることからもわかるとおり、「ユーザーとしてクルマを走らせる」という部分だけでいうなら、フルモデルチェンジというのは必ずしも絶対に必要なイベントではない。3年前のクルマでも30年前のクルマでも、しかるべき整備さえ施せば、クルマというのはフツーに大過なく使えるものだからである。

 しかし、自動車ビジネスの観点から見るなら、一部の機能を大幅にアップデートさせたうえで装いも新たにすることで、人々に「……そろそろ新しいやつに買い替えなきゃヤバいかも!」という脅迫観念を抱かせるフルモデルチェンジは、非常に有効な手法である。

 そして、フルモデルチェンジというのは(主には)ユーザーにクルマを買い替えさせるための方策であるため、物事の道理としては「フルモデルチェンジを経るごとにクルマとしての魅力が増していく」という結果にならねばならない。そうでないと、人は新しいやつに買い替えてくれないからである。

 しかし、かつては大人気だったはずなのに、フルモデルチェンジを重ねることで逆に商品力を落としていき、結果として廃番になってしまったという悲しいモデルもある。

 代表的なところでは、たとえばトヨタ・ソアラだろうか。

 1981年に発売された初代ソアラは、ご承知のとおり「未体験ゾーン」「SUPER GRAN TURISMO」といった、当時としてはかなりグッとくるキャッチコピーを伴って登場した高級パーソナルクーペ。

 ソアラ用に新開発された2.8リッターDOHCの5M-GEUエンジンは、最高出力170馬力(JISグロス値)と、いまとなっては可愛らしい出力でしかなかったが、当時は──クルマ全体のデザインやコンセプトを含めて──確かに「未体験ゾーン!」としかいいようのない驚愕モノだったのだ。

 そんな初代ソアラは8万台ほどが売れ、続いて1986年におおむねキープコンセプトのフルモデルチェンジを受けて登場した2代目ソアラは、新開発された7M-GTEUエンジンが当時の国産車としては最高の230馬力をマークし、そして日本国全体がバブル景気の圧倒的な追い風を受けたということもあって、約30万台が売れる大ヒット作となった。

 と、ここまでは良かったのだが、1991年に発売された3代目は北米のレクサスブランド向けに開発されたため、どことなくアメリカ~ンなデザインテイストに変身。

 最高出力280馬力の1JZ-GTE直6DOHC2.5リッターエンジンなど、なかなかの各種機構を採用したにもかかわらず、販売はやや低迷。バブル崩壊の影響もあったはずだが、約5万台を販売するにとどまった。

 そのため、次の4代目ソアラはどのようなモノに変わって登場するかが注目されたが、2001年に発売された4代目は、やはり北米レクサスを本籍地とするゆえのアメリカ~ンなデザインテイストがより強調されたものだった(デザインそのものはフランスのスタジオで、ギリシャ人デザイナーによって行われたそうだが)。

 さらには、カリフォルニアの青い空がよく似合いそうな「電動格納式ハードトップを備えたクーペ」にも変身していた。

 結局、4代目ソアラはソアラとしての販売台数は1万台にも届かず、2005年に日本でもレクサス車の販売が始まったことで「レクサスSC」へと改名および転籍。そして、そのレクサスSCの販売も低空飛行が続き、ソアラ系の歴史は2010年末に幕を閉じることになった。

 ソアラの系譜はすでに2代目で終わっていた!?

 ソアラのフルモデルチェンジが失敗に終わった理由は、表層的に見るのであれば「日本ではアメリカンテイストのクルマは一部の人にしかウケないのに、アメリカンテイストを採用したから」ということになるのだろう。

 ファッションの世界では「アメリカンカジュアル」は永遠の人気定番カテゴリーであり、飲食においても「アメリカンダイナーっぽい感じのお店」の人気は高い。しかし、なぜかは知らないが「アメリカンテイストなクルマ」だけは、1980年代以降の日本では一般ウケしにくいのだ。3代目以降のソアラしかり、日産レパードJフェリーしかりである。

 だが、これはあくまでも表層的な見方でしかない。より本質的には「ソアラの系譜は、じつは2代目ですでに終わっていた」と見るほうが正しいはずだ。

 つまり、トヨタ・ソアラというジャパニーズ・ハイエンドクーペの歴史は2代目でバシッと完結しており、3代目と4代目のソアラは世を忍ぶ仮の姿というか、あくまでも「レクサスSC」でしかなかった。が、それにたまたまというか何というか、ソアラという名前を無理やり付けて、日本市場でも無理やり売ることになった──というのが実態であったように思う。

 それが証拠に、4代目ソアラの日本における月販目標台数はわずか100台でしかなかったのだ。

 となると、トヨタ・ソアラは冒頭付近で申し上げた「結果として廃番になってしまった悲しいモデル」であることは間違いないが、「フルモデルチェンジを重ねることで逆に商品力を落としていったモデル」とは少し違うのかもしれない。

 3代目、4代目へのフルモデルチェンジ時にソアラが商品力を落としたのは確かにそうかもしれないが、それは「多くの日本人から見た場合の話」でしかない。なるべく客観的に、世界市民的に見た場合のソアラの商品力は、「むしろ代を追うごとに上がっている」ということもできるはず。つまり、ソアラはフルモデルチェンジによって商品力が落ちたというよりは、「フルモデルチェンジ時に、いつの間にか中身が別物へとすり替わっていた」というべきクルマなのだ。

 本稿のタイトルである「かつては人気だったけど最終モデルはダメだった! 代を追うごとに人気がなくなって消滅してしまった過去の名車」とは、歴代のトヨタ・ソアラではなく、たとえば日産マーチと三菱ミラージュにこそ当てはまるのだろう。

 とくにマーチは3代目のK12型がウルトラスーパー素晴らしかっただけに、最終世代となったK13型へのフルモデルチェンジは「なんとも悲しいモデルチェンジ」であったように思う。

こんな記事も読まれています

レクサスが「新型プレミアムSUV」発売へ 14年ぶり全面刷新でめちゃ上質内装דカクカクデザイン”採用! 日本初投入の「新型GX」内外装の特徴は
レクサスが「新型プレミアムSUV」発売へ 14年ぶり全面刷新でめちゃ上質内装דカクカクデザイン”採用! 日本初投入の「新型GX」内外装の特徴は
くるまのニュース
スプリント2位の直後、予選Q1敗退となったハミルトン。中国GPでの問題の責任はチームにあると技術ボス
スプリント2位の直後、予選Q1敗退となったハミルトン。中国GPでの問題の責任はチームにあると技術ボス
AUTOSPORT web
グーマガ 今週のダイジェスト【4/20~4/26】ヴェゼルがマイナーチェンジ!
グーマガ 今週のダイジェスト【4/20~4/26】ヴェゼルがマイナーチェンジ!
グーネット
Moto3スペイン予選|山中琉聖、好調5番手を確保! ポールシッターはダビド・アロンソ
Moto3スペイン予選|山中琉聖、好調5番手を確保! ポールシッターはダビド・アロンソ
motorsport.com 日本版
4車種用が同時に販売開始、ブリッツの車高調キット「DAMPER ZZ-R」シリーズ
4車種用が同時に販売開始、ブリッツの車高調キット「DAMPER ZZ-R」シリーズ
レスポンス
First EVに選びたくなるボルボ「EX30」のコスパと完成度
First EVに選びたくなるボルボ「EX30」のコスパと完成度
@DIME
【スタッフ通信】アメリカンラグジュアリーで胃袋もアメリカンに
【スタッフ通信】アメリカンラグジュアリーで胃袋もアメリカンに
Auto Prove
日産に続きジャガーも! 2030年までのフォーミュラE参戦を決定「これは、電気自動車メーカーにとってのF1だ」
日産に続きジャガーも! 2030年までのフォーミュラE参戦を決定「これは、電気自動車メーカーにとってのF1だ」
motorsport.com 日本版
Honda R&D Challenge、スーパー耐久第2戦富士24時間で野尻智紀をゲストドライバーに起用
Honda R&D Challenge、スーパー耐久第2戦富士24時間で野尻智紀をゲストドライバーに起用
AUTOSPORT web
HELM MOTORSPORTS、車両変更となる2024年のFIA-F4に4台体制で参戦。チャンピオンを目指す
HELM MOTORSPORTS、車両変更となる2024年のFIA-F4に4台体制で参戦。チャンピオンを目指す
AUTOSPORT web
レンジローバー、2025年モデルの受注開始…ディーゼルモデルがパワーアップ
レンジローバー、2025年モデルの受注開始…ディーゼルモデルがパワーアップ
レスポンス
スズキ「モーターサイクルコレクション2024」 広島、福岡、香川、宮城の4会場にて開催
スズキ「モーターサイクルコレクション2024」 広島、福岡、香川、宮城の4会場にて開催
バイクのニュース
高性能「巨大ベッド」搭載!? 日産「新型“車中泊”カー」寝心地はどう? 実際に「泊ってみた」印象とは
高性能「巨大ベッド」搭載!? 日産「新型“車中泊”カー」寝心地はどう? 実際に「泊ってみた」印象とは
くるまのニュース
クラウンクロスオーバーの新種「RSランドスケープ」に初遭遇。なぜ市販化されることになったのか? 開発陣がイベントで激白!【週刊スタッフブログ 号外】
クラウンクロスオーバーの新種「RSランドスケープ」に初遭遇。なぜ市販化されることになったのか? 開発陣がイベントで激白!【週刊スタッフブログ 号外】
Webモーターマガジン
レース後の失格どうにかしてよ! ダ・コスタ、ミサノ失格未だ納得できず「スポーツのためにも、別の方法が必要」
レース後の失格どうにかしてよ! ダ・コスタ、ミサノ失格未だ納得できず「スポーツのためにも、別の方法が必要」
motorsport.com 日本版
ヤマダホームズがヒョンデの新型EV『コナ』とセット販売開始
ヤマダホームズがヒョンデの新型EV『コナ』とセット販売開始
レスポンス
基本「想像は夢と知れ」! オープンカー乗りが突きつけられる現実6つとそれでも乗りたくなる魔力
基本「想像は夢と知れ」! オープンカー乗りが突きつけられる現実6つとそれでも乗りたくなる魔力
WEB CARTOP
ホンダと別れるレッドブル、自社製PU開発の進捗は? デビューまであと2年弱……車体開発で培った「“大胆さ”が活きる」とホーナー代表期待
ホンダと別れるレッドブル、自社製PU開発の進捗は? デビューまであと2年弱……車体開発で培った「“大胆さ”が活きる」とホーナー代表期待
motorsport.com 日本版

みんなのコメント

42件
  • motorider
    皆様!日産の“レパード“をお忘れです! (先駆けだったのに)初代はソアラに負け、起死回生で出した2代目も(シーマにエンジンを横取りされ)イマイチ。3代目は理由が分からないデザインで総スカン。4代目に至ってはセドリック、グロリアとボディを共有になり単なるバリエーションになり自然消滅。これ程モデルチェンジでコンセプトが変わるクルマは国産車では唯一でしょう。
  • くらなおひと
    キープコンセプトかつ正当進化でも高級クーペのブームが去った時点で売れるわけがない
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

630.0661.5万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

33.2792.0万円

中古車を検索
ソアラの車買取相場を調べる

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

630.0661.5万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

33.2792.0万円

中古車を検索

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離(km)

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村