英国のオーナーズクラブに連絡をして愛車の来歴まで判明
新潟県糸魚川市で開催された「フォッサマグナミュージアム・クラシックカーミーティング」が、2025年でついに20回目を迎えました。会場には約50台のヒストリックカーが集まり、展示や縁日、ミニコンサートなどで大いににぎわいました。そのなかで注目を集めたのが、英国の名門ディムラーが送り出した希少なスポーツカー「SP250」。名古屋から自走で参加した落合さんが、愛車を通じてヒストリックカーつながりによる人と人との温かい交流をご紹介します。
30年愛用するデイムラー「SP250」になぜ佐藤琢磨やフェリペ・マッサのサインが…? 奇跡的に大火から難を逃れた英国車の半生とは
ディムラー初のスポーツカーで最後のオリジナルモデル「SP250」
前日までの悪天候から一転、絶好のイベント日和となった5月3日のミーティング当日。会場には約50台のヒストリックカーが展示されたが、なかでもひと際目を引いたのが英国生まれの個性的なスポーツカー、ディムラー SP250だ。
ディムラーは英国最古のメーカーとして知られ、同社の送り出す重厚なリムジンは英国王室御用達ブランドとしても有名だった。しかし、長きにわたる歴史と高い格式を誇りながらも、1960年には経営難からジャガー傘下となる。その直前の1959年に突如リリースしたのが、このSP250である。ディムラーはSP250によって、北米のスポーツカー市場での成功を目論んでいたのだろう。
最終的にSP250は1959年から1964年の5年間で2654台が生産されたといわれている。ディムラー初の本格的スポーツカーにして、最後の自社オリジナル設計のクルマとして知られている。
ジャガー好きが選んだ人生初のヒストリックカーがディムラー
そんな希少なディムラーSP250で今回のイベントに参加したのが、名古屋から自走でやってきた落合正人さんだ。
「昔からクルマが好きだったのですが、ずっと現代車に乗ってきたので、このSP250が人生初のヒストリックカーです。このイベントへの参加も初めてです」
初めてのヒストリックカーに、お世辞にもメジャーな人気車種とは言えないディムラーSP250を選んだ理由は何だったのだろうか。
じつは落合さんは、その前はジャガー「XE」の最終型や、さらにその前は「Xタイプ」に乗っていた。
「もしヒストリックカーを手に入れるなら、馴染み深いブランドであるジャガー「Eタイプ」を、と思っていました」
しかしジャガー「Eタイプ」は日本はもちろん世界的にも人気車種であるため、なかなか条件が揃う個体に出会えなかった。そんな時、愛知のショップで見かけたのが、このシルバーの1960年式ディムラーSP250だった。
「ディムラーといえばジャガーと同門なので、なるほどその選択肢もありだな、と」
こうしてSP250は、2024年8月に落合さんの元へやってきた。念願のヒストリックカー趣味生活が始まり、めでたしめでたし……というところだが、さらにここからが落合さんの熱心なところである。
SP250の購入が決まった際、落合さんはすぐにその情報をイギリス本国のディムラー・オーナーズクラブへ連絡した。すると会員のローレンスさんという方からすぐに返事が来た。ローレンスさんは
「君の手に入れた個体はフレーム番号から調べたところ1960年12月に生産されたモデルだ。ニュージーランドに輸出され、そこのディーラーを介してオーストラリアに渡り、その後は……」
と、個体の来歴を詳しく教えてくれた。
オーナーズクラブの重鎮との出会いからイベント参加へ
さらにローレンスさんは
「ディムラー・オーナーズクラブのメンバーはじつは日本にもいる。ミスター・オオクボという人物の連絡先を教えるから、彼に連絡してみるといい。彼も古くからのディムラー SP250オーナーだ」
と教えてくれた。
そこで落合さんはさっそく”ミスター・オオクボ”に連絡してみると、それは糸魚川クラシックカー・クラブの重鎮である大久保峰生さんだった。
「私がSP250を手に入れたことを話すと、大久保さんは『フォッサマグナミュージアムでイベントをやるので、ぜひいらっしゃい』とお声がけいただいて、それで今回このイベントに参加した次第です」と落合さん。
古いクルマを通じて広がる同好の士との新たな出会い。人生初のヒストリックカーを手に入れてからまだ間もない落合さんだが、今後は海外も含めてさまざまなイベントに積極的に参加するつもりだとのことだ。その素敵なヒストリックカー趣味人生は、いよいよこれからが本番である。
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みんなのコメント
それをディムラーが作ったことに価値がある('ω')