技術の刷新を目立たなくする見た目の変化
近年、欧州でのレクサスの存在感が拡大している。特定の年齢層では明らかに。プレミアム・ブランドになろうという、成長段階は既に過ぎた。レクサスは独自の方向性を発見し、独自のクルマを生み出している。
【画像】モデルチェンジ レクサスNX 350h 欧州で競合するSUVと写真で比較 全117枚
好きになるか、そうではないか、という段階にある。判断はそれぞれだ。
2代目へと進化したNXは、現在のレクサスを象徴している。中型SUVとして初代が登場したのは2014年。アウディQ5とレンジローバー・イヴォークに注目が集まっていたタイミングだったが、オリジナリティのあるモデルだった。
競合とは異なるプロポーションで構成され、模倣ではないスタイリングを得ていた。初代NXは支持を集め、世界各国で販売した数は100万台以上。英国を含む欧州でも、人気車種へと躍り出た。
そんなNXが2代目へと進化した。レクサスが何をわれわれに見せてくれるのか、肯定的な気持ちを抱かずにはいられない。
新しいNXは、初代の特徴的なスタイリング要素を維持しつつ、さらに洗練されたデザインを獲得していると思う。ただし、新旧の違いを理解するには、じっくり観察する必要がある。
わかりやすい変化はテールゲート。楕円にLのロゴではなく、LEXUSとクロームメッキの文字が並ぶようになった。近年の流行に沿っており、配列が視覚的に心地良い。
それ以外の見た目は、内部に施された技術的な刷新を目立たなくしている。ベースの骨格がトヨタRAV4と同じTNGA-Kプラットフォームに置き換えられ、ボディサイズは成長しているが、外見からはそれを匂わせない。
人間工学的に優れた操作系と高い知覚品質
特に触れるべきは、シャシー剛性を高め、左右のタイヤ間隔、トレッドが広げられたこと。それに伴い重心位置も下がっている。インテリアも一新され、ブランド最新のインフォテインメント・システムが与えられている。
パワートレインは、欧州では自己充電と呼ばれる、シリーズパラレル方式のハイブリッドと、よりパワフルなプラグイン・ハイブリッド(PHEV)の2種類。今回試乗したのはNX 350hのFスポーツで、前者となる。
テールゲートを開くと、広い荷室が現れる。そのフロア下にも、使い勝手の良い収納スペースが用意されている。
一方で、車内空間は同クラスのSUVでは狭めな方。前後シートに不足ない広さは用意されているものの、身長の高い大人の場合、運転席の足元空間が充分ではないようだ。シートはサポート性に優れ、座り心地は良い。
インテリアで称賛したいのが、人間工学的に優れた操作系のレイアウト。ダッシュボードの知覚品質もかなり高い。
レクサス・リンク・プロと呼ばれるインフォテインメント・システム用タッチモニターは14.0インチ。操作しやすい位置にあり、ソフトの反応も良好で、直感的に使える印象だった。
ステアリングホイールのスポークには多機能パッドがあり、ヘッドアップ・ディスプレイの切り替えも可能。運転中でも視線をそらすことなく、各機能を操作することもできる。
深く考えられており、機能的だった。他メーカーも参考にしてほしいと思うほど。1点、センターコンソールのグロスブラック・パネルは、指紋が残りやすい。
過去のレクサスにはなかった水準の洗練性
走り出してみると、洗練され快適で、安楽な走りに感心する。過去のレクサスにはなかった水準にあるといって良い。Fスポーツでも。
2.5Lガソリンエンジンによる最新のハイブリッド・システムは、初代NXより25%もパワーアップしている。その甲斐あって、アクセルレスポンスはシャープ。一般的な環境では、苦労なしに流れをリードする加速が得られる。
ノーマル・モードで普通に走れば、燃費は簡単に17.5km/Lを超えてくる。車重1.8t近いにも関わらず。
急な上り坂や、追い越し車線を一気に抜けたい場面では、従来のトヨタ製ハイブリッドらしい、少々ダイレクト感に欠ける反応と息苦しそうなノイズを伴う。だが、それもほんの数秒程度で収まる。
この機械的な遠隔感は、秘めた性能をすべて発揮させようという気を削いでしまう。余力はかなりあるのだが。
ステアリングホイールにはシフトパドルが備わるが、マニュアルモードで弾いても、操作したという感覚が乏しい。スポーティなドライブモードへ切り替えても、エンジンの回転数が高まる反面、目立った動的な変化はなく、燃費が落ちる感覚の方が強い。
そういっても、2代目NXは明らかに乗り心地や操縦性も向上している。Fスポーツには、AVSと呼ばれるアダプティブダンパーが組まれ、秀でた横方向のグリップ力を得ていた。このクラスのSUVとしては姿勢制御もタイトで、操作に対する反応も正確だ。
ステアリングホイールへ伝わる感触も充分。カーブや滑りやすい路面での操舵を、しっかり助けてくれる。
セグメントのリードも不可能ではない
乗り心地は、路面との接地感がやや乏しいものの、管理の悪い舗装でも巧みに均し概ね良好。不規則な入力の連続など、まれに落ち着きを失うような場面も見受けられたが。Fスポーツではない標準のサスペンションなら、かなり快適なSUVになりそうだ。
レクサスは、NXでFスポーツを指定するユーザーの多くは、スポーティな走りではなく、ルックスの違いを理由にするだろうと考えている。それは、レクサスを選ぶユーザー層全体にも当てはまるだろう。
さらにいえば、中型SUVを検討する多くの人が、デザインや長距離の快適性、燃費効率、静かで安楽な運転というNXが持つ強みに惹かれると思う。ドライビング体験で得られる充足感が、多少及ばなくても。
運転のしやすさや、現実環境における洗練性、車載技術にインテリアの質感まで、2代目NXは先代から大幅に完成度を高めている。スタイリングも、レクサスらしい独自性を明確に表現できている。モデルレンジ全体にも、成功例として影響を与えそうだ。
プレミアムブランドとして、セグメントをリードすることを狙いたいレクサス。望み通りの成果を得られる可能性もありそうだ。
レクサスNX 350h E-Four(英国仕様)のスペック
英国価格:5万5720ポンド(約863万円)
全長:4660mm
全幅:1865mm
全高:1640mm
最高速度:199km/h
0-100km/h加速:7.7秒
燃費:15.6-17.0km/L
CO2排出量:133-146g/km
車両重量:1790kg
パワートレイン:直列4気筒2487cc自然吸気+ツインAC同期モーター
使用燃料:ガソリン
最高出力:244ps/6000rpm(システム総合)
最大トルク:−
ギアボックス:CVT
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みんなのコメント
プリウス全然売れてないよ。