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偉大な足跡を残した小さなクルマ 初代「ヴィッツ」を振り返る

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偉大な足跡を残した小さなクルマ 初代「ヴィッツ」を振り返る

■世界のコンパクトカー市場に影響を与えた初代「ヴィッツ」

 1999年にトヨタは、人気のコンパクトカー「スターレット」の後継車種として、初代「ヴィッツ」を発売しました。当時のFFコンパクトハッチバックは、ベーシックカーとしての質よりも安さが優先される傾向にありましたが、ヴィッツの登場で世界が変わったと、現在も語り継がれる存在です。

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 そこで、偉大な足跡を残した初代ヴィッツを振り返ってみます。

 初代ヴィッツは、次世代のコンパクトカー、そして世界戦略車としてプラットフォームをはじめ、基本コンポーネントのすべてが新開発されたモデルです。

 1998年のパリモーターショーで「ヤリス」の名でデビューし、1999年1月に日本国内で発売。

 ボディサイズは全長3610mm×全幅1660mm×全高1500mm、ホイールベースは2370mmと、現在の水準からするとかなりコンパクトで、欧州ではAセグメントに属すモデルでした。

 ボディタイプは3ドアハッチバックと5ドアハッチバックの2種類で、ボディサイズはどちらも同じ設定です。

 車重はメイングレードの「F 5ドア」が840kgと軽量で、すべてのグレードが800kg台を達成。

 発売当初は70馬力の1リッター直列4気筒エンジンのみで、トランスミッションは5速MTと4速ATを設定。決してパワフルではありませんが、この軽量な車体には、十分なパワーとなっています。

 外観のデザインは曲面を多用して丸みを帯びた張りのあるフォルムで、小さいながらも安定感のある印象です。

 優れたパッケージングで、クラスを超えた広い居住スペースと荷室を確保した室内は、外観と同様に曲面を多用したセンターメーターを配したインパネが特徴で、収納スペースも多く、実用的かつ機能的なデザインとなっています。

 前述のとおり新開発されたプラットフォームは、フロントがストラット、リアがトーションビームというコンパクトカーでは標準的なサスペンション形式を採用し、上質な乗り心地と優れた走行安定性の両立が図られました。

 また、10・15モード燃費で22.5km/L(「B」5MT車)と、クラストップの低燃費を誇り、価格(消費税含まず)は83万円から、量販グレードでも92万8000円とリーズナブルで、高い経済性から日本のみならず、欧州でも大ヒットしました。

■スポーティモデルに燃費スペシャルも登場

 滑り出し好調だったヴィッツは、早くも1999年8月にはラインナップを拡充します。
まずは88馬力を発揮する1.3リッター直列4気筒エンジンを搭載したモデルが追加され、余裕のある走りを実現。同時に4WDも設定されました。

 また、1.3リッターモデルに先んじて発売された「ユーロスポーツエディション」があり、上級グレードの「U」に欧州仕様のサスペンションとスタビライザー、14インチタイヤとアルミホイールなどを備えたスポーティなモデルで、インターネットのみの販売とユニークな取り組みがおこなわれます。

 そして、欧州ではフランス工場でも生産され、2000年には日本メーカーとしては史上2番目となる「ヨーロッパ・カー・オブ・ザ・イヤー」を受賞。「1999-2000年 日本カー・オブ・ザ・イヤー」の受賞と併せ、ダブルタイトルを獲得する快挙を成し遂げました。

 その後2000年には、最高出力110馬力を発揮する1.5リッター直列4気筒エンジンを搭載した「RS」を発売。940kgの車体に、サスペンションは専用にチューニングされて前後にスタビライザーを備え、4輪ディスクブレーキがおごられるなど、欧州テイストのホットハッチに仕立てられています。

 また、RSは1.3リッターモデルにも設定され、より軽量な車体に使い切れるパワーという組み合わせも魅力的でした。

 2001年にはアイドリングストップ機能を装備する「1.0Bエコパッケージ」を発売し、5速MTのみの「燃費スペシャル」として10・15モード燃費で24.0km/Lを達成。

 スポーティモデルとエコなモデルという、盤石なグレード設定がおこなわれました。

 2001年にはマイナーチェンジをおこない、ヘッドライトを含めフロントフェイスが刷新されます。

 そして、2003年にはトヨタのレース活動のサポートや特装車を製作するトヨタテクノクラフト(現トヨタカスタマイジング&ディベロップメント)から、ターボを装着した「ヴィッツRSターボ」が登場。

 1.5リッターエンジンは最高出力150馬力を発揮し、往年の「じゃじゃ馬」ターボを彷彿させるパワフルさで、過激なモデルとなっています。なお、後にTRDから同仕様のターボキットも発売されました。

 こうして、さまざまなモデルが存在した初代ヴィッツは、2005年2月に2代目のデビューによって販売を終了。2代目からはボディも大きくなり、より実用的なコンパクトカーとなりますが、初代の優れたパッケージングとデザインは、後年も高く評価されています。

※ ※ ※

 2020年2月にヴィッツはフルモデルチェンジがおこなわれ、車名をグローバルで統一するヤリスに改められました。

 初代ヴィッツと同様に、新生ヤリスは新世代のコンパクトカーとしてスタートするために、車名を変えたといいます。

 実際にヤリスは世界トップレベルの低燃費を実現し、先進安全技術も新世代へとアップデートされ、スーパースポーツモデルの「GRヤリス」が設定されるなど、トピックスが満載です。

 一方で、初代ヴィッツの根底にある優れたパッケージングや、品質、十分な装備、そして安価な価格設定は、ヤリスにも受け継がれています。

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みんなのコメント

25件
  • チープとかゴージャスではなく、ここまで完成度の高いデザインはなかなか無い
  • 初代以上に明快な出来のヴィッツ(ヤリス)は未だにないんじゃないか?今回の4代目で走る曲がる止まるプラス安全性能は初代を凌駕したが、初代が持っていた明るい雰囲気、チープだけどそんなこと気にならない内外装という点で現行モデルはバランスが悪いと感じるね。
    まあ、現代のクルマは総じて価格が上昇しているけれど・・・
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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