スズキは2代目となる新型『スペーシアギア』を発売した。
新型は、「アウトドアライフに欠かせないアクティブ軽ハイトワゴン」をコンセプトに、2023年11月にフルモデルチェンジしたスペーシア、スペーシアカスタムに採用した使い勝手の良い装備に加え、アウトドアライフに寄り添う専用のデザイン・装備を採用した。
“無骨かわいい”をテーマに「スズキらしくデザインした」という新型のデザインについて、担当者に詳しく話を聞いた。
◆デジタルガジェットを意識したエクステリア
デザインコンセプトは、「10マイルアドベンチャー」。10マイルは、軽自動車の一日の平均走行距離に値し、日常の中で気軽にアウトドア気分を楽しんでほしいという思いから、遊び心をくすぐる個性的なデザインを目指しこのコンセプトとなった。
そこからエクステリアデザインに落とし込むヒントとして「デジタルガジェットを造形テーマにしました」と話すのは、スズキ商品企画本部 四輪デザイン部 アイデア開発課の中村賢都さんだ。「アクティブなシーンで使う小型アクションカメラ、ダイバーズウォッチ、モバイルライトといったデジタルガジェットのデザイン要素を取り入れ、縦横斜めの多角形のデザインと、スッキリとした面質を意識しました」という。
デジタルガジェットを意識した理由は、「近年、アウトドアギアのデジタル化が進んできており、例えばスマホと連携してランタンの色味を調節できるなどより便利になっています。これまで敷居が高く感じていたアクティビティも身近になり、気軽にアウトドアを体験できるようになってきました」と述べ、それはスペーシアも同じだという。「スズキコネクトといったスマートフォン連携機能、電動パーキングブレーキの採用などデジタル化が進んできており、新型スペーシアギアが目指す“10マイルアドベンチャー”とも合致すると考えたのです」と説明。
これをデザインに反映した一例はフロントバンパーだ。寸法の限られる軽自動車の中でも張りのある面質を表現した。同時に、サイドからフロントフェイスを包み込むような造形を用いることで守られ感も強調している。またフォグランプベゼルもデジタルガジェットの造形を意識したもの。そして正面から見てナンバー左横にはホーンが隠されており、むき出しにならないように守られている。
そのフィンの形状にはダズル迷彩を採用した。「最近アウトドア用品にも用いられているパターンで、元々はカモフラージュするような柄です。通常ホーンの穴を意識させずできるだけ見せたくない部分ですが、ギアだし楽しくやりたいなと思いました。外で遊んで、ちょっと汚れたら洗車する。そのときに何これ!みたいに気づいてもらえる楽しいポイントです」。
◆フロントグリルは「まさにジムニー」
フロントグリルは『ジムニー』を彷彿させる力強い意匠を採用している。中村さんは、「皆さん『ジムニー』だといわれますが、まさにそうです。よりタフに頑丈にしたいという狙いがありました。無骨かわいいの最大の特徴である丸いヘッドライトとともに、大きいメッキの入ったブロックを中に使い、とにかく目立つ、インパクトのある顔つきにしています」と説明する。
リア周りは、フェンダーは変更せず、バンパーの形状を変えている。標準のスペーシアは後ろに行くにしたがって絞り気味になる形状だが、「部品の見切りから外周を外に5mmほど出す」ことで軽自動車枠の中で、力強さ、押し出し感を表現している。
エクステリアではホイールも新作だ。先代のマイナーチェンジ後から4本スポークとなったが、今回はそれを更にアップデート。4本の十字はネジの頭をイメージしたという。巨大ドライバーで取り付けたかのようなイメージにすることで、スペーシアのデザインコンセプトである“コンテナハウスデザイン”とともにギア感(道具感)を強調した。
◆オレンジのアクセントで高揚感を
エクステリアにはオレンジをアクセントに取り入れるなどCMF(色、素材、表面処理)にもこだわりが。同エクステリア課の長嶋みのりさんは、「ハードで機能的な質感と、個性あるアウトドアスタイルを掛け合わせたデザインをしています。先代スペーシアギアでは武骨かわいさが好評でしたので、そこを踏襲し、よりハードで機能的でより質感が高いようなイメージでエクステリアカラーを採用しました」と新型のデザインについて話す。
車体の部品色では、スキットプレートやピラーデカールをシルバーにすることで、一段階上のハードな質感を表現した。リアのエンブレムデザインもビート形状を入れることで道具感や質の高さを表現しているという。縁にオレンジをアクセントとして入れることで、「ガツガツの格好良いというよりは、ちょっと遊び心みたいなところもプラスしています」と説明。
このオレンジは、タフなイメージと高揚感が一番伝わるカラーとして採用したという。「どんな車体色にも馴染むように、そして高揚感も伝えたかったので、少し赤み寄りに振りつつも、彩度が強すぎない程よいアクセントとなるようなオレンジを開発しました」(長嶋さん)。
サイドのエンブレムは“GEAR”の文字があしらわれた。インテリアではシートバックタグなどで使われている山のグラフィックなどを含め、遊び心満載のアイディアを50通りは検討したそうだ。しかし、「GEARという特別なものを使ってもらいたい」という強い思いからあえて文字にしたと明かした。
◆インテリアこそスペーシアギアの真骨頂
スペーシアギアの真骨頂はインテリアのCMFといっても過言ではない。同商品・原価企画本部 四輪デザイン部 インテリア課の沖野有花さんは、「内外で統一したカラーデザインをかなり意識しています。特にオレンジのアクセントカラーをガツンとアクセントにしつつ、他の加飾色ではカーキグリーンを採用してタフで機能的な表現をしています」という。
オレンジについては、「先代に引き続きわりやすい色相なので、そこから進化させないといけません。そこでハードで機能的なという方向性に振るために赤みに寄せてより冒険心を掛け立てる方向に調整しました」。また、内外に採用していることから、「同じような色味に見えないといけないのですが、かなり高彩度なオレンジなので内外とも入れすぎるとうるさいし、そのバランス感はかなり吟味しています」と話す。インテリアではシートバックタグとシートのステッチ、そしてメーターの色とサイドのシャットダイヤルに採用し、どこに座っていてもオレンジが目に入るようなレイアウトにしつつ、「かなり彩度を上げた分、小面積でガツンと効くようにしています」とこだわりを説明。
カーキグリーンは助手席前の大型トレイを中心にドア周り、そしてシートバックなどに採用されている。標準のスペーシアとカスタムと違い助手席前のビード部分にまで入れているのがギア独自のコーディネートの肝だという。他の2車はトレイ部分まで色を入れ、それ以外をブラックアウトさせた。しかしギアでは、ビード部まで色を入れている。これは「タフな丈夫さを際立たせたい」というねらいがある。
「その重さ感を出したかったので、明度は明るくしたくない。かつカーキグリーンの色域も黄色く寄りすぎるとミリタリー感が強くなってしまいますし、青みが強いと今度は上品でファッショナブルなカーキに見えてしまうので、その色相と明度のバランスをハードな質感をよく見せるところを狙いました」(沖野さん)
◆「タグ」にも遊び心
またシート表皮もギア専用の“大柄”なものを採用した。「歯車のようにも、山のようにも、そしてタイヤのパターンのようにも見えるこの柄感を採用できるのはギアしかいない、かなり個性的で大柄な表皮になっています」と沖野さん。また質感にもこだわり、撥水感が見てわかるような艶感と凹凸感にこだわった。「それを表現するためには、表皮に熱をかける時間を伸ばしてより光沢を出す過程を踏むのですが、そうするともう一方で表現したい凹凸感は損なわれてしまうんです。そのバランスは苦労しました」と話す。
そしてシートバックにはタグが配されている。このデザインに至るまでには、「無骨かわいさといわれている、愛されてきたフロントフェイスのデザインやシートの表皮パターンをシンプルに埋め尽くしたようなものをはじめ様々なデザインを検討しました」と沖野さん。中にはもっとシンプルな案も検討したが、「リアシートの人の気持ちを考えると、楽しさ表現はタグで表現できるといいということで辿り着いたのがこの案です」という。
「小さいクルマがギアでトレイルランして頑張っているような表現。8ビットゲームみたいな表現をすることで、ギアがゲームの中の主人公みたいにトコトコ走っているようなそういう遊び心を感じてもらえたら嬉しいです。一見こういう風景っぽいイラストにはなっているんですけど、山のグラフィックがシート表皮の柄だったり、エクステリアのスキットプレートに使われている多角形の造形要素などを取り入れています。また、ビードもサイドボディのところを彷彿とさせるような背景に横ラインを入れたりして、スペーシアギアのデザイン要素をぎゅっとまとめて構成しているのです」(沖野さん)
細かいところにまでこだわりが見られる、遊び心満載の新型スペーシアギア。お気に入りのアウトドアグッズと一緒に楽しめそうな1台だ。
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みんなのコメント
醜悪です。
こんな車を買わなくてはいけない低所得者が本当に哀れで仕方ありません。
中古車でも良いからもっとマシな車を買った方が良いですよ。
軽自動車は軽くぶつかっただけでも潰れますから。
走る棺桶なのでお勧め出来ません。
1つしかない命を大切にして下さい。