もくじ
どんなクルマ?
ー 伸び悩んだカリフォルニアを超えるため
新型フォルクスワーゲン・ポロ「GTI」試乗記 2018年型は「正当派」
どんな感じ?
ー 軽量化とパワーアップで得た2.7kg/ps
ー 向上した質感と見慣れた眺めのインテリア
ー グランドツアラーらしくないエンジン
ー スーパーカーとしてなら理解できる
「買い」か?
ー 大多数が楽しめるフェラーリ・ライド
スペック
ー フェラーリ・ポルトフィーノのスペック
どんなクルマ?
伸び悩んだカリフォルニアを超えるため
スポーツカーを作っていた70年ほど前と比較すれば、フェラーリが大きな進歩を果たしていて当然。例えば488GTBは、無慈悲な凶暴性と、興奮に満ちたクルマだ。
その点で、オープントップ・グランドツアラーに当てはまる新しいポルトフィーノは、現代のフェラーリとしての説得力には欠けると言わざるを得ない。
10年前に発表されたリトラクタブル・ハードトップを持ったカリフォルニアは、AMG SL63やポルシェ911ターボに対するフェラーリからの回答だった。しかし、デイトナ・スパイダーや575Mスーパーアメリカなどのモデルなどの歴史を持っている跳ね馬にとって、その魅力は充分ではないということが、すぐに明らかになってしまった。
その目標は、相反するものだった。フェラーリとして確かなダイナミクス性能とエキサイトさを保ちつつ、多様性や洗練性、運転のしやすさと言った毎日乗れるクルマとしての利便性も高めること。そのために様々な重量増を招き、リトラクタブル・ハードトップ機構の搭載という、構造的な妥協も求められてしまった。このフェラーリの挑戦は、販売数をおよそ倍にまで伸ばし、高い成功を生むはずだった。
しかしカリフォルニアは、フェラーリの狙い通りには売れなかった。
クルマは改良を重ね、軽量化され、後期にはターボも搭載するが、ついに予想していた販売数には届くことがなかった。ヨーロッパにおいて、フェラーリのV8ミドシップモデルの販売数が年間1000台に届かない事は珍しいのだが、反面、カリフォルニアが1000台を超えたのは1度のみ。以降、下降線を描いてしまう。
そこで、ポルトフィーノが登場する。
どんな感じ?
軽量化とパワーアップで得た2.7kg/ps
この全く新しいポルトフィーノは、名前からも明らかなように、輸出に主眼が置かれている。正統的で特徴的なスタイリングは、明らかにカリフォルニアよりもプロポーションで優れ、目を引く仕上がりを得ている。ルーフを上げれば、デイトナの面影すら感じ取ることができる。
美しく彫刻が施されたボディパネルの内面は、カリフォルニアと比較してホワイトボディで35%軽量化され、剛性も高められている。サスペンションは締め上げられ、磁性流体アダプティブダンパーも改良が加えられた。パワーステアリングは油圧から電動に切り替えられ、レスポンスも向上している。
ボンネットの下に収まるのは、吸排気系統の見直しがされた3.9ℓのツインターボV8エンジン。バンク角は90度で、クランクシャフトはフラット(シングル)プレーン化され、その他の改良も加わり、最大出力で38ps上乗せされている。
このポルトフィーノのV8は、近年のエンジンとしては珍しく排気系統がバンクの外側に位置している。そのため、アウディやメルセデス-AMGの「ホットインサイドV」と呼ばれるユニットと比較して、ターボが低い位置の両サイドに取付けられているのが特長。
フェラーリによると、ふたつの方式を試した結果、排気圧を下げられ重心位置も低くなることから、このパッケージがポルトフィーノや488にとってはベストだったと言う。
トルクは0.5kg-mのみの加算となるが、車重で80kgの軽量化を果たしており、新しいアストン マーティンDB11ヴォランテを上回る、2.7kg/psのパワーウエイトレシオを実現している。
向上した質感と見慣れた眺めのインテリア
ポルトフィーノのドライバーの正面には、見慣れたふたつの5インチのカラーディスプレイに挟まれた、少し見にくいアナログ式のレブカウンターが備わる。助手席側には、3300ポンド(50万円)のオプションとなるが、横長のタッチスクリーンも装着可能。
5cmほどの幅のモノクロディスプレイでナビゲーションの指示を受けるという、マラネロの考えたインフォテインメント・システムは、ドナルド・トランプの貿易政策より理解が難しい。
しかし、10.3インチのセンターディスプレイがすべての機能を管理し、ナビゲーションの地図も見やすく、ルート案内もわかりやすい。クルマの様々な設定項目が組み込まれたシステムは、珍しいほどに直感的に操作できる。利便性が求められるGTとしては、悪くない。
そしてもうひとつの歓迎すべき点は、488と比較してはるかに沈み込みの少ない、クッションの効いたレザーシート。ポルトフィーノのキャビンはメルセデス-AMGやアウディの品質には及ばないまでも、マクラーレンやアストン マーティン並にはなった感じがする。
それでは、エンジンをスタートさせてみよう。
グランドツアラーらしくないエンジン
ポルトフィーノのエグゾーストには、電子制御のバイパスバルブが付いており、おなじみのマネッティーノで選択するドライブモードによって、賑やかにもできるし、静かにもできる。
最も静かな「コンフォート」モードを選べば、ハーフスロットルまでなら大人しい。もし心地よい美声で目立ちたいなら、「スポーツ」モードを選択すればよい。レブカウンターの針が7500rpm目指して跳ね上がれば、圧力の高いターボによって斬新的に出力が発生し、中回転域の分厚いトルクでシャープにクルマは反応する。
AMGやアウディのV8モデルと比較して、ダイナミクスの面ではずっと特長的。別の表現をするなら、とてもフェラーリ的。
ではグランドツアラーかと聞かれると、はい、とは即答しにくい。
同じことはトランスミッションでも言える。ギアをゆっくりとつなぎたい時でも力強い推進力を感じさせ、クルマが目指したであろう性格とは逆の雰囲気を感じざるを得ない。
スーパーカーとしてなら理解できる
ツインクラッチ・ユニットは、ステアリングコラムに取付けられたパドルでマニュアル操作をすれば、実態と合うスピードと力強さで、極めて優れた変速を披露する。シフトアップでもシフトダウンでも変わらない。
しかし、「オート」モードでは精彩を欠いてしまう。変速のタイミングに迷いがあり、振る舞いが不器用でストレスを感じてしまうのだ。それに、ブレーキペダルから足を上げても、クリープ走行することもない。
ミドシップのスーパーカーとしてなら、これらの事は見過ごすこともできる。しかし、グランドツアラーとして考えた場合、気を使わない乗りやすさの方が、重要視されるはず。
フェラーリの慣例に則り、ポルトフィーノもパワートレインやダンパー、ステアリング、スタビリティコントロールなどの設定を幅広く変更できる、定番の3種類のドライブモードが備わる。さらに、サスペンションの設定を変更する「不整路面」モードがあり、他のモードはキープしたまま、ダンパーをソフトに変更することも可能になった。ドライブモードに関わらず、「不整路面」のモードは常に必要ということのようだ。
ポルトフィーノの乗り心地は、スポーツモードだと荒れた起伏のある路面では平静を欠き、落ち着かなくなる。マネッティーノのダイヤルを回して柔らかくすれば改善するが、路面状況に関わらず、ガツンという振動や、細かな振動が収まることはない。鋭い起伏やくぼみでは、ボディの振動も看取される。
本物のグランドツアラーなら、快適な乗り心地は不可欠なのではないだろうか。
「買い」か?
大多数が楽しめるフェラーリ・ライド
このクルマが備えるダイナミクス性能や特徴は、かなりの次元であることには違いない。
また、大多数のオーナーは、カリフォルニアでは得ることができなかった、ジェットコースーター的な本物のフェラーリの乗り味を、楽しむことができるはず。多くの点で、カリフォルニアよりも幅広い楽しみ方ができる、ラグジュアリーなスポーツカーだとは思う。
狙ったのか、たまたまなのか、ライバルとなるミドシップのスーパーカーや、フェラーリのいくつかのモデルよりも、確かにポルトフィーノは運転が少しは楽で、長距離運転も苦ではない。
それでも、もし誰かがわたしに一般道での500kmのドライブを頼んできたとして、何か自由にクルマを選ぶとしたら、新しい跳ね馬のキーを手にする事はないだろう。
フェラーリ・ポルトフィーノのスペック
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