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欧州ナンバー1SUV上陸! ルノー新型キャプチャーは国産コンパクトSUVの脅威になるのか?

掲載 更新 15
欧州ナンバー1SUV上陸! ルノー新型キャプチャーは国産コンパクトSUVの脅威になるのか?

 2月25日に発売されたルノーのコンパクトSUV、新型キャプチャー。欧州のSUV販売でナンバー1モデルがついに日本に上陸した。

 近年、コンパクトSUVは日本でもとても人気を集めているカテゴリー。そこに今回、発売された欧州ベストセラーSUVの新型キャプチャーは、同クラスである日本のコンパクトSUVたちにとって脅威的な存在になるのか?

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 国産コンパクトSUVのなかでも新型キャプチャーとガチに競合するのは、トヨタ ヤリスクロス、日産 キックス、マツダ CX-30。この国産ライバルに比べて新型キャプチャーの実力は? さらに、まもなく4月下旬にデビュー予定のホンダヴェゼルと比べてどうなのか? も考察していく。

文/岡本幸一郎
写真/ベストカー編集部

【画像ギャラリー】キャプチャーと国産ライバルを比較してみる!

■実力で日本車の脅威になりうる、欧州ベストセラーSUV

 まだこのクラスのSUVが珍しかった時代に登場した初代は独り勝ち状態となり、2013年~2019年に全世界で170万台以上を販売した。

 続く2代目も登場翌年の2020年には欧州でSUVのベストセラーとなり、全乗用車でも7位という売れゆきを見せたほどの人気車となっている。そんな2代目キャプチャーが日本でも発売された。

 ここ数年、ルノーは日本でも好調で、年間の販売台数ランキングにおいても、純輸入車ブランドで10位が定位置となっており、ピークの2018年には7253台を販売した。

ルノーが日本市場にコンパクトSUVの新型キャプチャーを導入。今後の売れゆきも注目

 ただし、数字としては、全車種合わせて日本車の月販ランキング上位の1カ月分ぐらいの規模なので、新しいキャプチャーも台数的には「脅威」と呼ぶほどになるとは考えにくい。

 とはいえ、なにせ欧州SUVベストセラー、そうなった「理由」があるわけで、クルマ自体の実力では「脅威」となることも充分にあり、実際なかなか見どころは多い。

■新型プラットフォームをルノー・デザインで

 プラットフォームは日産と三菱とのアライアンスのなかでルノーの主導で開発されたもので、ルーテシアや日産の新型ノートと共通となる。1.3L4気筒エンジンとDCTを組み合わせたパワートレーンは、それにダイムラーの加わった提携関係による産物だ。

 ヴァン・デン・アッカー氏が手がけた近年のルノーのデザインは非常に評判がよいが、2代目キャプチャーの均整のとれたフォルムや凝ったボディパネルの造形、各部に効果的に配されたアイキャッチなどによるルックスは、奇をてらわないながらも目を引く存在感がある。

ルノー車のボディサイドデザインは比較的シンプルなのが特徴だが、新型キャプチャーは比較的複雑なライン構成となっているようだ。また寸法は、先代よりも特に全長が大きく拡大された

 日本勢もがんばっているが、そこは個性の表現に長けたフレンチブランドらしく、さすがのものがある。

 寸法は初代比で、全長+95mmの4230mm、全幅は+15mmの1795mm、全高は+25mmの1590mm、ホイールベースは+35mmでセグメントトップとなった2645mmと、それぞれ拡大している。

 なかでも全長がかなり大きくなったのは、ひと昔前ならCセグを乗っていたユーザー層が、近年はBセグを選ぶようになったことを受けて、人や荷物を載せる用途に対応するため足りない部分を補うという、ジャストサイズの考え方による。

 一方、日本勢はもともとそれよりもおしなべて大きめ。目安となる全長は、ヤリスクロスが4180mm、キックスが4290mm、CX-30が4395mm、新型が執筆時点では未発表のヴェゼルは旧型が4340mmとなっている。

■トランク容量はクラストップレベル

 車内の居住性や積載性について、キャプチャーの特徴として挙げられるのは、後席にも空調の吹き出しがあることや、リアシートに前後16cmのスライド機構があること。トランクもクラストップを謳うだけあり最大で536リットルと、競合の大半が400リットル台に対し圧倒的に大きい。

536Lの荷室容量は、欧州BセグメントSUVクラストップの大容量だ

 一方、最近では日本勢がこのクラスでも電動テールゲートを採用しはじめたところだが、キャプチャーをはじめ欧州勢はまだ。これがゆくゆくモデルライフ途中に採用されるとは考えにくく、次期型に期待するほかないであろう。

 インテリアのデザインもなかなかユニークで、このクラスながらお金がかかっている印象を受けるのも、ダウンサイザーの受け皿として、広さだけでなく質も求められることに応えるためだ。

 装備的には、カスタマイズ可能なデジタルメーターを採用しているほか、カーナビは「マルチメディア イージーリンク」によりスマホとつないでアプリをミラーリンクする設定。これで充分といえば充分だが、物足りない人はその点を認識しておくべき。

■ハンドリングは軽快だが、さらなる熟成に期待

 一方、見た目に加えて走りや乗り心地など、身体に感じる部分の質でクラスを超えるレベルまで大きく引き上げた、としている。ストローク感がありながらほどよくひきしまった足まわりは、初代はこのクラスとしては予想外の重厚な感覚があったところ、軽快な走り味になっているのは、このほうが現代に求められるからだろうか。

 ハンドンリングはかなり俊敏であることも印象的だ。ただし、曲がり過ぎる感もあり、切り返した時の揺り戻しも生じやすく、そのあたりはこれから煮詰められていくことと思う。

 日本勢の走りについて述べると、現状このクラスの日本勢でもっともまとまりがよいのはキックスだ。海外では数年前に出たクルマをキャリーオーバーした改良版が日本仕様なのだが、しなやかな乗り心地と正確な操縦性はなかなかのもの。改良により洗練度の増したe-POWERの極めてリニアなレスポンスは、たしかに「ひと踏み惚れ」させるだけのインパクトはある。

乗り味は新型のCMF-Bに対し、旧型のVプラットフォームをベースに日産が独自改良を施したキックスのほうが優れているとのこと

 かたやヤリスクロスはガソリン、ハイブリッドとも気になる点も少ないが積極的によいといえる点もあまりなく、全体的にやや薄味で、もう一歩に期待したい。

 CX-30は運動性能はまずまずであるものの、跳ね気味の乗り心地や煮詰め不足のパワートレーンなど、同じく現時点ではもう一歩。共通性の高いマツダ3が大幅に改良されてよくなったので、CX-30も近いうちにそうなるはずだ。

 新型がどうなるのか気になるヴェゼルは、これまた共通性の高い現行フィットがクラスを超えた「心地よさ」を実現したことから予想すると、それなりにレベルの高い仕上がりになりそうだ。

■コスパは日本車勢にかなわないが、輸入車としては頑張った!

 そんな日本勢に対し、キャプチャーで印象的なのはエンジンの速さ。スペック的にも154ps/270Nmというだけあって、このクラスとしては望外なほどパワフルだ。

 組み合わされるのがDCTというのも欧州勢では一般的ながら日本勢にはない設定で、一長一短あるのはご存知のことだろうし、日本のように停止再発進を繰り返すなら、CVTやATのほうが好都合であるわけだが、日本でもDCTを好む人は少なくない。

 かたや日本勢は、このクラスでも本格的ハイブリッドの選択肢が充実しているのが特徴だ。ここはなかなか横比較しにくい部分なので、お好みで、ということにしたい。

日本勢の強みは、ヤリスクロスをはじめストロングハイブリッドシステムなどで電動化した車種が充実していることだ

 リアがドラムブレーキというのが気になる人もいるだろう。それ自体が悪いわけではないが、それに起因する発進時の電制ブレーキのひきずりが見受けられるのが難点で、もう少しよくなるよう望みたい。

 先進運転支援システムについては、日産のプロパイロットとシステム的には共通で、ルノー独自のキャリブレーションが施されている。制御としては加減速やステアリングの制御の味付けにやや気になるところなど、今後の課題もあるものの機能的には申し分ない。

 2グレード展開で価格が299万円~というのは、くしくも宿敵のプジョー2008と同じ。むろん数字としては日本車のほうが低いことには違いなく、受け取り方は人それぞれだろうが、興味を持った人にとって価格的には購入のハードルは低い。

 コスパの高さは脅威≒驚異というと少々大げさな気もするが、輸入車としてはなかなかがんばったと思う。

【画像ギャラリー】キャプチャーと国産ライバルを比較してみる!

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みんなのコメント

15件
  • どれだけスタイリッシュで高性能でコスパが良くてもルノーの貧弱な販売網で売ってる限り国産SUVの脅威にはなりえない。もし日産の全ディーラーで扱ったら・・・・・。
  • 今からオーダー入れても、納車は8月以降…。
    この車の人気が伺えます。
    試乗したけど、書いてるようなネガは、普通に乗ってる分には感じなかったね。ブレーキのところは、納得。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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