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KEN OKUYAMA「Power of Car Design」 アウトガレリア・ルーチェ企画展

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KEN OKUYAMA「Power of Car Design」 アウトガレリア・ルーチェ企画展

ケン奥山のデザイン展

ケン奥山は、空前絶後のデザイナーである。何しろ、コルベット、ポルシェ、フェラーリという、それぞれの国を代表するスポーツカーのデザインを手がけたのだから。そんなデザイナーは過去には存在しなかった。そして、これからもそんなデザイナーは登場しないだろう。そういう意味で空前絶後・唯一の人がケン奥山だ。(ショーカーやコンセプトモデルならば、これまでもあったかもしれないが、生産車では他に例を見ない)

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山形で生まれ育った奥山は、少年時代にテレビで放映が始まった人形特撮劇『サンダーバード』のようなSF作品に夢中になったという。彼のユニークなところは、TVを見ながら、その放映時間の間に、登場する様々な未来の乗り物をスケッチするばかりか、粘土で模型まで作り上げたという点だ。三つ子の魂百まで、その後のケン奥山の出発点にふさわしいエピソードだ。

奥山は武蔵野美術大学を卒業するとアメリカに渡り、カリフォルニアのArt Center College of Designer に入校した。ここで才能を認められてGMの奨学金を獲得し、そしてGMのデザイン部門に入社した。GMはデザイン力でフォードを打ち負かして、アメリカ最大、すなわち世界最大の自動車メーカーになった歴史を持つが故に、伝統的にデザインには力を入れてきた。’70年代までは、デトロイトが世界の自動車デザインに大きな影響力を及ぼしてきたのだ。奥山は、チャック・ジョーダンの元で、アメリカ自動車デザインの真髄を会得したようである。また、社内のコンペティションでは常に1位の座を獲得してきた。

しかし奥山は、「GMのデザインのようなファッションではなく、歴史に残るクルマのデザインをしてみないか」と口説かれて、ポルシェに移籍したが、それは大好きだったポルシェのデザインをあえて壊すような仕事だったので、どこか馴染めないところがあった。

再びGMに戻り、それからピニンファリーナに移籍するチャンスを得た。待遇面ではデトロイトの大企業とは違い、イタリアの小さな企業ゆえに収入は減ることになるが、子供の頃から憧れていたピニンファリーナだったので入社を決心した。奥山がピニンファリーナのデザインを初めて見たのは、’70年の大阪万博のイタリア館でのことだった。それはフェラーリ512Sをベースにしたモデューロで、その未来的なフォルムに感動を覚えた。

ピニンファリーナに入社したことはGMやポルシェに入社した以上に大きな喜びで、夢の実現であった。実は彼の恩師であるGMのチャック・ジョーダンこそはピニンファリーナの信奉者であったから、それは恩師の夢を引き継ぐことでもあった。

イタリアのトリノに集中するカロッツェリアも自動車のデザインの先端を進み、デトロイトとともに、世界の自動車デザインを牽引してきた。しかも、GMやポルシェのデザインの現場とはまったく違う環境で、個人の力、職人の力が大きい職場だった。奥山はこれまでも様々なデザインの現場で勝ち抜いてきた男だったが、やがてはピニンファリーナにとって最も必要とされる人間となったのだった。

日本に戻って来て久しい奥山。故郷の山形にカロッツェリアを設立したことで、彼の活動もひとつの円環が閉じたように思われるが、その活動の幅はさらに広がっており、実はより大きなものへと成長しているのだ。

ケン奥山作品が一堂に集結

今回のアウト ガレリア ルーチェの「ケン奥山作品展」は、主に自動車を中心としたケン奥山の仕事を、今という時点で俯瞰する試みである。展示されるのは2002年フェラーリ・エンツォ、2008年K.O 7 Type MAZAK、2013年Kode 9、2013年Kode 57、2015年ヤンマーYK650MR、2017年ヤンマーYT5113Aで、彼のデザインしたクルマたちが、ここまで同じ空間に集まったのは初めてのことではなかろうか?

それだけに、この機会にわざわざ名古屋まで訪れるだけの意味があるといえよう。

KEN OKUYAMA — Power of Car Design
ケン奥山のデザイン展

●開催場所:アウト ガレリア ルーチェ
名古屋市名東区極楽1-5
TEL:052-705-6789
●開催期間:2018年10月20日~12月24日
●開場時間:12:00~18:00
●休館日:月曜日、火曜日(祝祭日を除く)

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