舞台は白銀のソルトフラッツ、目標は390km/hオーバー!
チームDANDY密着レポートDay.1~4
「ボンネビルスピードウィークのすべて」フルチューンFC3Sで世界最速に挑んだ男の物語/予告編【DANDY×FC3S 最速王座・奪取計画 at 2009】
Day.1(8/8 Sat.)
前途多難のスタート、車検でまさかの不合格…
23年前にレーシングビートRX-7がたたき出し、いまだクラスレコードとして残る383.365km/h(238.442MPH)を打ち破るため、意気揚々とソルトフラッツに乗りこんだダンディFC3S。しかし、いきなり誰もが予想してなかった状況に置かれることとなった。
まず、通関の問題から車両の到着が1日遅れ、レース前日に行われた車検ではレギュレーションに合致しない箇所があるとして、まさかの不合格となってしまったのだ。インスペクターから手直しを指摘されたのはロールケージの取り付け方法、シートの固定方法、ヘルメットガードの追加、サイド&リヤウインドウへの飛散防止フィルム貼り付けなど5つのポイント。
「う~ん、レギュレーションブックに記載されてないところまでツッコまれてもねぇ…という思いは正直ある。出るクイを打つじゃないけど、半分嫌がらせのようにも感じるし。ただ、車検に通らない限り走れないんだから、言われた通りに直すしかないよね」とダンディ田中。そうとなったら行動あるのみ。車検をパスさせるための具体的なリメイクを考え、それに必要となるパーツや部材をすぐに調達した。
万が一のクラッシュ時に、割れたガラスが飛び散らないようサイド&リヤウインドウに保護フィルムを貼る。実はシワが寄っていたりするけど、見ためよりも「貼ってあることが大事」と割り切って作業。
ロールケージ補強のために集められたスチールプレート&パイプ。「飛行場の近くにあった資材置き場みたいなところで見つけてきたよ」と田中サン。左にあるのはフルバケに追加するヘルメットガードだ。
スチールプレートをサンダーでカットしていく。発電機もサンダーも、ほかのチームから借りてきたモノ。ちなみに溶接機も同じで、地元アメリカからの参加組は、ありとあらゆる道具を現場に持ってきているのだ。
トーチを手に自ら溶接作業を行う田中サン。ロールケージを補強して車検に通すことが目的だから、ここでも見た目より機能を優先する。バーの外側にプレートをあてがって溶接していくけど…。
レース初日、快音を響かせて走り去っていく他チームのマシンを尻目に、ピットで黙々と作業を進めるチームダンディのスタッフたち。FC3Sのオーナーで、今回自らステアリングを握る常世田サンが、それを見つめる。
「やっとここまできたんだから、絶対にあきらめるワケにはいかない」。ピットには、チームダンディのそんな思いが満ちていた。
Day.2(8/9 Sun.)
他チームの協力も得て無事に車検をパス!
この日も朝からリメイク作業を行う。なかでも厄介なのが、溶接作業を伴うロールケージの補強だ。ダンディFC3Sは各バーをボルトで固定している点がNGとされ、万が一ボルトが抜けても剛性を保てるように手直ししなければならない。
そこで、調達してきた幅3cmほどのスチールプレートを短くカットしてあてがい、接合する2本のバーと三角形をつくるように溶接していくのだ。それが必要とされるのは14ヵ所。前日から作業してるとはいえ、先が長い。
すると、そこへとなりのチームのメンバーたちがやってきた。しばらく様子をうかがっていると、そのうちのひとりが「溶接は得意だからオレにまかせろ」と手伝いを申し出た。溶接箇所の塗装をサンダーで削り、マスクをかぶってトーチを握って手際よく溶接していく。これで作業のペースがグンとアップ。困っているチームがあったらお互い手助けするのはよく見られる光景だし、それがボンネビルのいいところだったりする。
溶接して塗装まで完了した状態。この方がバーの外側にプレートを配置するよりも強度を出せるし、見た目的にもはるかにスマートだ。なにより、現場で作業したとは思えないほどの仕上がりがすばらしい。
また、ロールケージの手直しが進められる一方で、スライド機構をキャンセルして完全な固定式にするためシートレールを加工。さらに、クラッシュ時にドライバーの頭部を守るヘルメットガードの追加なども行われた。
強い衝撃を受けた時、ロックが外れてシートが動いてしまう可能性があるとのことで、シートレールがスライドしないように手直し。ドリルで穴を開けて、ボルト&ナットで固定してしまうワケだ。
併せて、クラッシュ時に頭部を守るためのヘルメットガードを取り付ける。ドライバーが座った状態で位置合わせをしたら、フルバケのヘッドレスト部に固定用の穴を開ける。田中サンいわく、「まさかレカロのフルバケをこういうふうにイジるとは思わなかったね」とのこと。
作業終了後、手直しした箇所をインスペクターにチェックしてもらう。そこで、サイドネット下側の固定方法とサイドネット自体のサイズが小さいことを新たに指摘されてしまった。ただ、これはロングコースを走るまでに直せばイイ…ということに。
この日は、昼までに車検をパスして午後には1本アタックする予定だったけど、すべての作業が完了したのは午後4時。連絡を受けてピットにやってきたインスペクターから各部のチェック受けて“OK”をもらい、そのあと車検場へと移動。2日がかりで行った作業の甲斐あって、無事に車検をパスすることができた。
この2日間の努力がむくわれたことで思わず笑顔が出る田中サン。インスペクターも「よくやった」とばかりに握手に応じてくれた。
これで、スタートラインに立てる。さぁ、ここからが本当の戦いだ。
Day.3(8/10 Mon.)
パワーは十分、速さも文句ナシ!
ついに走り始めたダンディFC3S。この日は2本のアタックを行った。1本めは、まずライセンスEを取るため120MPH(193.0km/h)以下で走らなければなければならない。
といってもスピードメーターが付いてるわけではないから、スタート前、使うギヤやエンジン回転数などから車速を計算している田中サンが「ここは4速6000rpmで」というように、ドライバーの常世田サンに指示を出す。
ファイナル比が2.73と超ハイギヤードなため、スタート時はエンジン回転数を高めにキープしたまま、半クラッチをうまく使って加速していく…というテクニックが必要。「回転数が低いとストールしちゃいますし、逆にふかしすぎるとエンジンがカブリぎみになるので、かなりを気を使いましたね」と常世田サン。
ところが、結果は143.450MPH(230.8km/h)とオーバースピード。つまり、本来ならライセンスEはもらえないけど、ダメもとで「車速を計算する時にタイヤ外径を間違っていた」とオフィシャルに言い訳をしたら、なんとOKが出てしまった。しかも、ラッキーなことに、このアタックで125~149MPH(201.1~239.7km/h)と決められているライセンスDまで獲得できてしまったのだ。
初走行となった常世田サンは、「4速6500rpmまで踏んだだけなんですけどね。ブーストがかかると車重がなくなるように思えるくらいパワーが出てますよ」とコメント。
アタック後にもらえる記録用紙。ショートコースでは計測ポイントとなる2/2.25/3マイルの各地点での速度が記されている。これは3日めの1本目に走った時のものだ。
続く2本めはライセンスCにチャレンジ。150~174MPH(241.3~279.9km/h)というターゲットに対して162.444MPH(261.3km/h)をマークし、立てつづけに目標をクリアした。
走行後にロギングデータをチェックする田中サン。ここでエンジン回転数やスロットル開度、ブースト圧、インジェクター噴射率などを確認する。
さらに、各ギヤとエンジン回転数から割り出した速度を示す表と計測結果を照らし合わせ、計算値と実測値の間にある誤差を出し、それを正す補正係数を算出する。
「空燃比はバッチリ。とくにイジるところはないよ。ブースト圧はまだ最低の1.5kg/cm2まで達してないし、インジェクターもプライマリー90%、セカンダリーはたった10%しか開いてないから、クルージングしてるようなもの。にしても、昨日まではバタバタだったけど、今日走らせることができてちょっと気持ちがラクになったよ。ただ、自分じゃない人間が乗るから、緊張感はあるけどね」と田中サン。
走れなかった2日間の遅れを取り戻すべく、こうしてダンディFC3Sは順調なスタートを切ったのだ。
Day.4(8/11 Tue.)
軽量ボディが災いか、痛恨のスピンを喫する
この日の目標はライセンスBを手に入れること。175~199MPH(281.5~320.1km/h)で走ればショートコースを卒業し、晴れてロングコースへとコマを進められる。
最低ラインの175MPHには計算上4速8500rpm、もしくは5速6800rpmで到達する。走行中でもそれを確認できるよう、ダッシュボードにはメモが貼られた。この日1本めのアタックに出ていくが、初めてスピンして結果を残すことができず。
「スタートに失敗したことでアセリが出ましたね。計測地点までにスピードを乗せなければ、と。4速8000rpmでブーストがかかり始めた時、テールが流れてスピンしてしまいました。実は、これまでも加速中にリヤがフラつくことがあって、パワーのかけ方が結構難しいんです。どうやってスピンさせずに走らせるか? それが課題ですね」と常世田サン。
そこで再アタックを前に、リヤの安定感を高めるため減衰力を4ノッチ分、やわらかい方向に変更。この日はさらに2本走ったけど、リヤの不安定な挙動を消すことができず、ベストは173.133MPH(278.5km/h)と、ライセンスBの獲得にはわずかに及ばないところでおわった。
田中サンいわく、「ロギングデータからわかるのは、まずシフトチェンジの時に迷いがあるということ。スロットル開度のグラフにフラットな部分、つまり“待ちの時間”がある。それとアクセル操作がちょっとラフかな。クルマ的には最大ブーストがまだ1.0kg/cm2で、いちばん踏んでるところでもスロットル開度は30%。だから、ぜんぜんイケる…というより、実力の半分も出してない状態だね」とのこと。
一方、「3本走ってアクセル操作に対する挙動が読めてきました。明日はライセンスBを取ってロングコースに行きますよ」と常世田サン。
ちなみに、ガソリンはERC社が供給。タンクローリーでやってきて、エントラントはここで給油する。ダンディFC3Sは、日本でセッティングをした時と同じオクタン価120の“A8C”を入れる。
とくに軽量化は行ってないけど、1200kg台半ばというダンディFC3Sの車重は絶対的に軽い。それが挙動を不安定にする大きな要素であることに加えて、さらに650~700psものパワーがかかるとなれば、決定的にトラクションが不足することも目に見えている。
また、スピンすると再車検を受けなければならない。ダメージを負ってないか各部をチェックされるけど、とくに安全性を大きく左右する足まわり、ステアリングラック、タイヤ、ホイールが念入りに確認された。
ライセンスBの獲得、その先にあるロングコースでのアタックに向けて、クリアしなければならない課題が出てきたワケだ。
●PHOTO:小林克好(Katsuyoshi KOBAYASHI)/TEXT:廣嶋健太郎(Kentaro HIROSHIMA)
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