登場後、年数経っても売れ続ける「賞味期限のなが~い意外なクルマ」がある。売れ続けるそのワケは何じゃろか? 年数が経つのに売れている国産現行モデルについて、今年(2020年)2月の販売台数順に分析してみよう!
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※本稿は2020年4月のものです。すべて台数は今年2月の販売台数です
文:清水草一/写真:ベストカー編集部
初出:『ベストカー』 2020年5月10日号
■日産 ノート(9913台 ※e-POWER含む/2012年登場)
8割ほどがe-POWERとはいえ、モデルそのものは8年目。それでこの月販台数、凄いなぁ~
ノート、がんばってるよなぁ。不振の日産にあって、登場からもう8年も経つってのに! これについては、2016年にe-POWERが追加されたことが8割、と言ってよかろうと存じます。
e-POWERのワンペダルドライブは、確かにとっても新鮮だった。実際に試乗して購入を決める人が多かったと聞いておりますが、あの感覚はトヨタのハイブリッドカーにはナイ!
ノート自体はごく平凡なコンパクトカーだけど、登場当初から売れゆきは悪くなかったわけで、こういう当たり障りのない雰囲気を求める人はとても多いのでしょう。私にはわかりませんが。
そこに新鮮な驚きをもたらすe-POWERという武器が組み合わさって、ロングヒットになっていると思われまする。内装、メチャダサいけどね……。
■トヨタ アクア(8433台/2011年登場)
トヨタのハイブリッド、「これでいいや」と思わせる安心感とぬるま湯的な魅力で売れ続けている(写真はアクアクロスオーバー)
アクアが登場したのは2011年。忘れもしない、東日本大震災の直前だった。予約開始日には私もディーラーに並びましたから! 並んだのオレだけだったけど。
あれからもう9年。アクアはいまだに売れ続けている。いったいナゼ?
実際愛車にしていた人間からすると、アクアは乗れば乗るほど心地いい湯(ぬるま湯)で、「これでいいや……」と思わせてくれた。燃費はいいし、重心が低くてハンドリングもいい。
大きさもちょうどいい。後席やラゲッジはそんなに広くはないけど、決して狭くもない。私としてはデザインや内装は落第だったけど、その適度なダサさがまたぬるま湯だった。
でも、それは買ってみてわかること。登場から9年もたった今、アクアを買う人がこんなにいるのはナゼなんだ!?
それは、「トヨタで売ってる比較的お安いハイブリッドカーだから」ということに尽きるんじゃないか。クルマにこだわらない人にすれば、別に新しいモデルじゃなくてもいいわけだし。
トヨタのハイブリッドカーってのは適度に先進的なイメージだし、安心安全の極致! ヤリスが出てからも、居住性はアクアのほうがかなりいいので、この先も、それなりに売れるでしょう。
アクアの場合、マイチェンで自動ブレーキが付いたので、同じアクアからの乗り換えもけっこう多いとか。しかも前と同じ色、同じ希望ナンバーにする人がいるんだって! 買い換えたことをご近所に知られたくないんだと! まさに一度浸かったら抜けられないぬるま湯!
■トヨタ シエンタ(8266台/2015年登場)
パッケージングがいい。「これ買っときゃ間違いない」でヒット中
これまたオレが乗ってたクルマやんけ! 半年で売っちゃったけど。
2015年に登場したシエンタのよさ。それは、トヨタで売っているコンパクトミニバンで、安心安全なトヨタのハイブリッドもあり、室内の広さもちょうどよく、これ1台あればすべてオッケーな完璧なファミリーカーだから! ということになるだろう。
デザインも適度にアグレッシブで印象に残る。近年、ミニバン系のデザインは、ちょっとエグいくらいのほうがユーザーを振り向かせる傾向がハッキリしております。
私が買ったのはガソリンモデルで、発進時のアクセルガバチョが我慢できなくなってすぐ売ったけど、一般の皆様にはまったく問題ない様子。ハイブリッドならガバチョもない。それ以外はすべてオッケー!
パッケージングのすばらしさにはほとほと感心する。デザインもシトロエンみたいでステキだし内装もいい感じだし、まったくスキがない! これ、買っときゃ間違いない!
■ダイハツ ムーヴ(5420台/2014年登場)&ムーヴキャンバス(6150台/2016年登場)
6年目と4年目の両モデル、売れゆき堅調。特にキャンバスのヒット、予測できましたか?
ムーヴが2014年、ムーヴキャンバスが2016年の登場。ムーヴなんてもう存在感ほとんどないけど、ちゃんと売れている。
これはまぁ、「軽だから」ってのが最大の要因だ。軽を買う人は、わりとなんでもいいって人が多いので。ホントに。
一方、ムーヴキャンバスのほうは、あのカワイイ系のレトロデザインが不滅の輝きを放っているのだと断言します。
あのデザインは時代を超えて人を惹き付ける! オッサンのオレでも惹き付けられる! キャンバスが似合うオッサンになりたい! マジで。
カワイイ系は長い賞味期限になる傾向!?
■ホンダ ヴェゼル(3540台/2013年登場)
デザイン的にソコソコで、なんとなくスタイリッシュ。それでいて目立たない。それが強み。恐るべきSUV
2013年登場ながら、SUV販売の上位に踏みとどまっている。ナゼ?
最大の理由は、ライバルに比べてそこそこお安いことではないか。車格はやや上ながら、C-HRに比べると20万円前後安い!
デザイン的にも、可もなく不可もなくという感じで、なんとなく都会的でスタイリッシュ! それでいてC-HRみたいに目立ちはしない。このちょうどよさが賞味期限の長さにつながっていると思われます。
■トヨタ ハリアー(2179台/2013年登場)
実像よりかなり盛り、ゴージャスに仕立てているのが奏功し(!?)、7年目でもこの数字
2013年登場のハリアーが、いまだにかなり売れている! 一度は消滅までしたってのに!
ハリアーって、悪く言うと「盛り」のSUVだと思うのですよ。実像よりかなり盛って、ゴージャスに仕立てている。こういうゴージャス系のSUVって、国産車にはほかにない! つまりオンリーワン! そういうことだよね!
■トヨタ ランドクルーザープラド(1840台/2009年登場)
11年目なのにこの月販台数。ランクル200よりお手軽だし、国産ライバルなし…なので、賞味期限長し
2009年登場なのですでに11年目! スゲエ! でも考えてみりゃ、ランクルって完全に時代を超越してるわけで、逆に古いほうがイイって人も多いくらいだし、古くてもカンケーない!
プラドは200に比べると断然お安くてお求めやすいわけですし。ディーゼルもあって燃費も悪くない。それで超本格派のクロカン4WDが買える。スバラシイじゃないですか!
パジェロもサファリも消滅した今、この分野はランクルのほぼ独壇場!
■三菱 デリカD:5(1091台/2007年登場)
昨年大幅マイチェンしたけどモデルとしては13年目。この個性だもの、もっと売れていいはず……
昨年(2019年)、ダイナミックシールド顔に大変身して大復活! っていう印象だったけど、ドカンと売れたのは最初だけで、その後は1000台ちょいで安定しております。
もうちょっと売れてもよさそうなもんだが、ベースモデルの古さ(2007年登場)と、三菱の販売力の限界でしょうか? まだまだ頑張っていただきたい。ミニバンのなかでは“一番くらい”に好きです!
■トヨタ カローラフィールダー(1090台/2012年登場)
5ナンバーサイズ強し?! 併売中の先代モデルだが健闘中の月販台数。ちなみにカローラツーリングの2月台数は4560台
現行のカローラツーリングじゃなく、先代が継続販売されてるフィールダーのほうだヨ! 先代モデルがこれだけ売れているのはスゲエ! さすが営業車需要&5ナンバー需要底堅し。
■トヨタプレミオ/アリオン(合計で958台/2007年登場)
「ミニクラウン」と清水氏が指摘するプレミオ。……うむ、なるほどそう見えてきた
この2台、登場は2007年。もはや死に体と思いきや、まだここで踏ん張っている! 信じられん!
見た目は、正直死にたくなるような平凡な中型セダンから始まり、見るだけで赤面のミニクラウン、そしてミニパサートへとプチ変身しつつ生きながらえている。
これは、まるでゾンビといっていいのではないでしょうか! 超高齢化社会ニッポン、侮れず! なんだか目頭が熱くなる。
こちらはアリオン。両車ともヒット中ではないが生きながらえる様を讃え、特別枠で登場。意外といいじゃないとも思える…
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