この記事をまとめると
■BYDは2024年8月単月締めでの新車登録台数で298台を記録した
トヨタ・スバル・マツダが「エンジン」の重要性を語る! クルマ好きなら知っておくべき「マルチパスウェイ」の中身
■世界中で進むBEVの普及だが最近は普及速度の失速が目立つ
■継続的にBEVに乗り続けられるようなフォローをしないとICE車への回帰が目立つことになる
BEVのみで約300台を販売するBYDのすごさ
BYDが9月9日に発信したプレスリリースによると、2024年8月単月締めでのBYDブランドとしてトータルでの登録台数が298台(JAIA[日本自動車輸入組合]統計では300台)となり、2024年3月単月での353台に次ぐ台数を記録したとのことである。
ネット上では「たった298台で……」という反応も目立っていたが、JAIAが発表している、2024年9月単月締めでの車名(ブランド)別輸入車新規登録台数をみると、これもネット上で指摘されていることだが、フィアット(288台)やアルファロメオ(65台)、シトロエン(169台)、ルノー(230台)などのお馴染みのブランドより新規登録台数が多いことになる。
しかもBYDは、ご存じのとおり日本国内ではBEV(バッテリー電気自動車)のみのラインアップとなるので、日本市場ではこれはかなりのハンデを抱えたなかでの実績となっている。
ちなみに東南アジアのなかではBEVの普及がめざましいタイ国内での2024年7月単月のBYDの新車販売台数は2672台となり(タイ国内の新車販売市場は日本の市場規模比で約17%)タイ国内でのBEV販売の約5割を占めたと報じられている。
BEVについては普及に前のめりだった欧州、とくにドイツブランドの失速傾向が顕著となり、何がなんでもBEVということでもなくなってきている。世界でも独特の政治体制をもつ中国でも、政府がBEVの普及を進めているのだが、その姿勢は慎重にも見え、ようやく新車需要全体の4割強程度となっており、あの政治体制なので、ある日突然すべてのクルマがBEVとなってもおかしくないが、そこまで強権発動をしない慎重さがうかがえるのはじつに興味深い。
東南アジアにてBEV普及のめざましいタイでは、2022年あたりから中国メーカーを中心としたBEVが注目され、よく売れるようになった。そしてタイでは、比較的短期間で新車を乗り継ぐ人も多く、2024年は「BEVからBEVへの乗り換え」がどこまで起こるかも注目されていた。
本稿執筆時点ではまだ2024年を締めくくるようなことは述べられないが、2024年春にタイの首都バンコクを訪れたときには、「次もリピート、つまりBEVへ乗り継ぐ人はそれほど目立たないのではないか」との話を聞いたことがある。
BEVの普及にはBEVからBEVへ乗り換えてもらうための施策が必要
普及に前のめりである欧州や中国でも、充電インフラの普及とBEVの増加スピードのミスマッチが発生し、充電に苦労するということが指摘されている。
そしていま、世界的にHEV(ハイブリッド車)が注目されており、それを得意とする日本車も世界的に注目されている。こうなると、現状ではどうしてもガソリン車よりも余計な気配りをしてしまいがちなBEVの所有に疲れた人が、再びICE(内燃機関)車に戻るという現象が世界的にも目立ってしまうとの見方もある。
先日、筆者の知人でBEVに乗っている人が、「次はICE車に戻す」といい始めた。都内の移動で主に使っているとのことなのだが、やはり充電をはじめ余計な気遣いがどうしても多くなるというのが理由であった。
このあたりは、メーカーが主体的に解決するというわけにもいかないので難しいところ。アメリカのように、クルマの複数保有が当たり前ならば別となるが、日本では都市部ほどオンリーワンですべてを賄うケースも多いので(そもそもクルマをもたない人も多い)、興味もあってBEVを選んだがその後くじけてしまったという人は、日本でも目立ってきてもおかしくないだろう。
新車を単に売るだけではなく、購入後のお客の不安に向きあう、その意味ではBYDのリアル店舗での販売は正解なのかもしれない。オンライン販売のみだったヒョンデもリアル店舗を設けるとの報道もあるので、そこは間違いないのかもしれない。
まずは興味をもって乗ってもらうことは大事だが、その後も継続的にBEVに乗り続けてもらえるようなフォローもないと、現状では進化が激しいこともあり、再販価値期待できないBEVでは、ICE車への回帰という動きが目立ってしまうことになるだろう。
その意味では、BEVにこだわらずにHEVやPHEV(プラグインハイブリッド車)もラインアップすれば、そちらを所有してもらうことで他メーカーのICE車へ流れることへの歯止め効果が期待できることになるだろう。
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みんなのコメント
ガソリン車ならとっくに家に帰れたのにという後悔。
さらにマンションや商業施設などで他の車を巻き込んでの大火災。
ストレス多過ぎてとてもまともな神経ではムリです。