約1カ月強のサマーブレイクを経て7月26~28日に争われたBTCCイギリス・ツーリングカー選手権第6戦クロフトは、名門ウエスト・サリー・レーシング(WSR)の“絶対エース”コリン・ターキントン(チームBMW/BMW 330e Mスポーツ)が、予選ポールポジションからのレース1勝利でキャリア通算70勝の節目を飾り、シーズン後半戦に向け完璧なスタートを切ることに。
続くレース2は元世界王者ロブ・ハフ(TOYOTA GAZOO Racing UK/トヨタ・カローラGRスポーツ)との勝負を制したジョシュ・クック(LKQユーロ・カーパーツ・ウィズ・シネティック/トヨタ・カローラGRスポーツ)が前戦に続く2勝目を挙げ、最終ヒートではリバースポールを活かしたトム・チルトン(ブリストル・ストリート・モータース・ウィズ・エクセラー8/ヒョンデi30ファストバック Nパフォーマンス)が今季初優勝を手にしている。
プジョー陣営のハンセンが原点“レッド”に回帰。新たな市街地戦構想にBTCC王者も興味/WorldRX
早めのサマーブレイクを経て迎えたBTCC後半戦幕開けの週末は、2022年王者トム・イングラム(ブリストル・ストリート・モータース・ウィズ・エクセラー8/ヒョンデi30ファストバック Nパフォーマンス)のFP1最速で始まると、続くFP2ではクックの操るイエロー&グレーのカローラGRスポーツがトップタイムを奪う展開に。
しかし今季導入“Quick Six”のシュートアウトで主役を演じたのは“King of Croft”の称号も得るシリーズ4冠のターキントンで、自身のラップ記録を更新するアタックで、ひさびさタイトル奪還への野望を再燃させた。
「オールトンパークの後、ここで良い週末を過ごすことが重要だった」と引き締まった表情を浮かべるターキントン。
「クロフトは僕の得意分野だし、シーズン後半戦をスタートさせたい場所があるとすれば、それはここさ。でもクロフトのすべてのコーナー、とくに最終セクターでクルマを完璧にするのはとても難しい。今日はチームが最高のBMWを用意してくれて本当にうれしいよ」
■比較的穏やかなレース1をターキントンが制す
その隣、フロントロウに並んだのはここクロフトを地元とするダン・カミッシュ(NAPAレーシングUK/フォード・フォーカスST)で、このレースウイークを前に所属先のアライアンス・レーシングとの複数年契約更新を発表した35歳は、ホームアドバンテージを活かして予選セッション終盤に競争力のあるラップを刻んだ。
「本当にうれしい。ここで予選2番手になる……と事前に言われても信じなかっただろうね(笑)」と、上機嫌のカミッシュ。
「昨年はここでポールポジションを獲得するなど強さを発揮したが、今季もここ数ラウンド、本当に重要なときにピークに達するという良い習慣が身についており、それをとても誇りに思っている。いい一日だったね」
迎えたレース1は比較的穏やかな展開となり、シグナル消灯とともにポールシッターが優位を維持してレースを支配。その背後では最前列発進のカミッシュがシケインをオーバーシュートしたことで、2列目にいたイングラムがタワー・ベンドでポジションアップに成功。ライト・トゥ・フラッグで自身通算70勝目を決めたターキントン以下、イングラム、カミッシュの表彰台となった。
このヒートでハードコンパウンドのタイヤをチョイスし、残るレースではソフト側の装着でアドバンテージを得ることになったのが7位、8位に入っていたトヨタ陣営で、続くレース2ではカラーリングの異なるハフとクックの2台が次々と上位勢を攻略していく快心のドライブを披露する。
前戦オールトンパークでも、グリッド8番手発進からオープニングラップで“7台抜き”の離れ業を演じていたクックは、残りわずかの周で首位のハフをロックオンすると、クロフト名物ジム・クラーク・エッセで華麗なオーバーテイクを敢行。同じくソフトタイヤを履いていたダニエル・ロウボトム(NAPAレーシングUK/フォード・フォーカスST)を3位に従え、クックがラウンドを跨いでの連勝を記録した。
■「この週末には本当にイライラしている」とターキントン
「緊張した。少し大変だったが本当に満足している」とレース2制覇の結果や、大先輩との直接対決を振り返ったクック。
「昨日は計画どおりにはいかず、予選で最前列にいられたはずのクルマだったと思う。そのぐらい、カローラは本当に本当に良かったよ。夏休み中にペースは確実に上がったが、そのペースを維持し、正しい方向に発展し続けられるかどうかを見極める必要があるね」
一方で、このレース2で辛酸を舐めたのがBMW陣営で、オープニングを制していたWSRのエースは、ディフェンディングチャンピオンのアシュリー・サットン(NAPAレーシングUK/フォード・フォーカスST)とタワー・ベンドで絡み9位に後退。さらに選手権首位で臨んだジェイク・ヒル(レーザー・ツールズ・レーシング・ウィズMBモータースポーツ/BMW 330e Mスポーツ)も、チルトンとサニーの出口で衝突しトップ10圏外に弾き出される結果となった。
そんなターキントンの受難は最終レース3でも続き、リバースポールのチルトンが首位をいくなか、3番手イングラムとのさらなるアクシデントでタイヤバリアに激突。最終的に勝者チルトン以下、2位カミッシュ、3位イングラムのポディウムを考えれば、北アイルランド出身の4冠王者は得られたはずのポイントを逃したことにフラストレーションを募らせた。
「この週末には本当にイライラしている」と明かしたターキントン。
「初戦でポールポジションを獲得し、力強い勝利を収めたにも関わらず、クロフトで得たBMWのペースを考えるともっと多くのポイントを獲得できたはずだ。ソフトタイヤでのペースは本当に強かったし、リバースグリッド上位の最終ヒートでは何ができるか試すつもりだったんだ……」
「結局、責任を感じないふたつの避けられたアクシデントで不運に見舞われ、自分だけでなくBMWも多くのポイントを失った。本当に痛いがチームは素晴らしい仕事をしてくれた。この前進は次の数ラウンドに向け良い前兆と考えよう」
これでイングラムがポイントリーダーに返り咲き、ヒルが21ポイント差で追う展開へと変わったBTCCの2024年シーズン後半戦。続く第7戦は8月9~11日の週末にノックヒルで争われる。
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