三菱が新型エクリプスクロスを発表。フルモデルチェンジなのか、マイナーチェンジなのか？

外装デザインを一新する大掛かりなチェンジ

三菱自動車のミドルクラスSUVとして2017年にデビューした「エクリプスクロス」が進化しました。スタイリングは同社のデザイン哲学でもある「ダイナミックシールド」を採用して一新。一見するとヘッドライトに見える部分はデイタイムランニングランプで、ヘッドライトの灯体はバンパー左右に埋め込まれている処理は「デリカD:5」や「eKクロス」と共通です。

従来型の特徴だったリアのダブルウインドウはオーソドックスなタイプに変わり、テールゲートには背面装着式スペアタイヤを思わせる六角形のモチーフが入れられ、よりSUVらしい雰囲気を強めています。

オンライン発表会の冒頭で登壇した加藤隆雄CEOの挨拶も力の入ったニューモデルであることを感じさせるもので、“新型”という表現を多用。従来型から生まれ変わったことをアピールする意図が伝わってきました。

実際はマイナーチェンジだがPHEVが新たに追加された

では、今回の新型エクリプスクロスはフルモデルチェンジなのでしょうか？　登場から3年でのフルモデルチェンジは早すぎますし、インテリアの基本造形やホイールベース、全幅などは変わっていません。また、1.5Lガソリンターボ車の車両型式は従来型と同じ「GK1W」となっていることから、分類としてはマイナーチェンジといえます。

ただし、今回は2.4Lエンジンと前後独立した駆動モーターを持つプラグインハイブリッド仕様が追加されました。こちらには新しい型式の「GL3W」が与えられています。その意味では新型車の追加ともいえます。マイナーチェンジという言葉は使わず「新型エクリプスクロス」という表現をしているのはそうした背景があるからでしょう。

2019年に追加されたクリーンディーゼルは廃番に

一方、2019年6月に追加されたばかりの2.2Lクリーンディーゼルは設定がなくなりました。このあたりは世界的な電動化トレンドが大きく影響していることは間違いありません。今回のオンライン発表会で加藤CEOは「EVやハイブリッドなども含め、2030年の電動車比率を50%とする計画」であることを発表したことからも、エクリプスクロスのパワートレインの大きな変更は、そうした計画に基づくものといえます。

アウトランダーよりお手頃、ハイパワーなガソリン車にも注目

三菱の乗用車における電動車は、今回で3モデル目です。最初は2009年の「アイミーブ」、次が2013年の「アウトランダー PHEV」、そしてこのエクリプスクロスPHEVです。2.4Lエンジンを搭載するということからアウトランダーのプラグインハイブリッドシステムとほぼ同等と考えられますが、アウトランダーPHEVの価格帯が436万4800円～529万4300円なのに対して、エクリプスクロスPHEVは384万8900円～447万7000円と手の届きやすい設定なのは注目です。

また、エクリプスクロスPHEVはアウトランダーPHEVより楽しく走れるチューニングだといいます。三菱の四輪制御技術の最新版「S-AWC」も、モーターがもつリニアリティや自由度をフルに活かした制御が行なわれているというから、ハンドリングにも期待が持てそうです。

熟成された1.5Lガソリン直噴ターボ仕様にも注目。プラグインハイブリッド仕様の車両重量が1900～1920kgなのに対して、1.5LターボのFFは1450～1480kg、4WDでも1520～1550kgと圧倒的に軽量なうえ、2.4Lエンジン級のダウンサイジングターボということなので、パフォーマンスへの期待が高まります。価格帯も253万1100円～334万6200円とプラグインハイブリッド仕様より100万円以上安くなっています。

文：山本晋也（自動車コミュニケータ・コラムニスト）

Comments

これはカッコいいぞ。

欧州車に唯一対向可能なプラグインハイブリッド車だ！