現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > ナディアに続いた!? マークXまで3列化の大勝負!! あえて「脱ミニバン」で挑んだクルマたち

ここから本文です

ナディアに続いた!? マークXまで3列化の大勝負!! あえて「脱ミニバン」で挑んだクルマたち

掲載 14
ナディアに続いた!? マークXまで3列化の大勝負!! あえて「脱ミニバン」で挑んだクルマたち

 1995年頃から乗用車の人気は「ミニバン」一色となり、ミニバンブームは20年近く続いた。一方この時期に、スペース効率を高めた新規格のクルマが登場しミニバンに立ち向かっていったのを覚えているだろうか。ミニバンの牙城を崩しにいった、勇猛果敢なクルマたちを紹介していく。

文/佐々木 亘、写真/TOYOTA

ナディアに続いた!? マークXまで3列化の大勝負!! あえて「脱ミニバン」で挑んだクルマたち

■背高/3列シートを採用せず5人乗りで勝負!

1998年登場のトヨタ ナディア。ミニバンのフォルムでシートを2列にして車内を広々使うという狙いがあった

 まずは1998年に、トヨタが「ナディア」を発表する。時代は初代ステップワゴンや初代エルグランドが大人気の頃だ。

 ファミリーミニバンとして、人気のあったイプサムをベースにし、ミニバンのエクステリアそのままに、シートは2列だけというクルマを登場させた。ミニバンベースの2列シート車なので、室内は十分に広い。

 しかし、ミニバン(3列シート車)はよく売れたのに、ナディアは売れず。2003年に姿を消すこととなる。

 ナディアが姿を消す僅か前、二の矢として放たれたのが2000年に登場した「オーパ」である。全長4,250mm、全幅1,695mm、全高1,525mmとサイズだけ見れば一般的5ナンバー車。どこに余裕の室内空間があるのかと思うが、秘密は長いホイールベースにあった。

 オーパでは、2,700mmというホイールベースが、広大な後席の足元空間を生み出す。後席にはスライド機構が備わり、リアシートを折りたたむとフラットで広大な荷室が現れるなど、ミニバンよりも使い勝手のいいクルマが登場したように思ったほどだ。

 両者が登場したのは、セダンからミニバンへの乗り換えが加速していた時代。「セダンよりも広いクルマが欲しいが、3列シートは必要ない。」そんなニーズもあるのではないかと、提案されたのが、ナディアやオーパなのである。

 同時期、ホンダもアヴァンシアでこのニーズを刈り取りに来た。ただ、ステップワゴンとオデッセイが人気を博した時代。結局、アヴァンシアの名は広がらなかった。

 結果として、広い車内に2列シート5人乗りというコンセプトでは、ミニバンの城を崩すことはできなかったのだ。

■2列がダメなら仮の3列! マークXジオが勝負をかける

2007年登場のトヨタ マークXジオ。一見3列シートのミニバンだが、3列目は多人数乗車の際に出す「補助席」のような扱いとした

 ミニバンの人気がハイルーフから、ウィッシュやストリームといった比較的背の低いクルマに移行してきた2007年。トヨタがマークXジオを投入する。

 一見すれば3列シートのミニバンなのだが、トヨタはマークXジオをミニバンと規定しなかった。コンセプトにあったのは「4+Free」という考え方。

 独立する4座を中心にして、エマージェンシーの3列目を出せば多人数乗車が可能、3列目を格納しトノカバーを付ければ間仕切りになりセダンのようにも使えるというものだ。

 発売から1か月の販売台数は5,000台超と好調にスタートしたが、その後は衰退の一途を辿る。セダンからミニバンまでの全部乗せをしたマークXジオだったが、このコンセプトもまた、中途半端に終わってしまう。

■ミニバンを超えたSUVと過去の挑戦者たちとの大きな違いは何?

1998年登場のトヨタ ビスタアルデオ。ビスタのステーションワゴン版として設定され一定の評価を得た

 皆さんご存じの通り、令和は空前のSUVブーム。20年以上続いたミニバンの牙城を、SUVが崩したのだ。

 過去の挑戦者たちと現代のSUV。共通するは広い車内と2列シートという点である。挑戦者たちに無く、今のSUVにあるものとは一体何なのだろうか。

 1つ言えるのは、オーパやマークXジオが、リアシートの格納方法に凝り無理にフラットな荷室を作ろうとしたのに対し、今のSUVは荷室空間のフラット化に、そこまでこだわっていないということ。

 格納に凝ったシートは、軽く薄く作られていく。操作性は上がるが、座り心地は下がっていく一方だ。座面は薄く短く、バックレストも低くなりがちである。対して、今のSUVは後席シートが分厚く上質だ。

 クルマに広さを求めるユーザーが、重要視するのは後席の居住性。ドライバーの空間は運転操作をするステアリングとペダルがある以上、広くするにも限界がある。何も広いクルマを買って、自分が広い室内を堪能しながら運転しようと考える人はほとんどいないだろう。

 こうしたユーザーのニーズは、大切な人が乗るリアシートの居住性の高さにあるのだ。人気のSUVたちは、挙っていいリアシートを持っている。

 ここを見誤ったオーパやマークXジオは、結果として失敗した。同時期に登場し、複雑なリアシート格納機構を持たなかったビスタアルデオは、上質なリアシートの作り込みで、一定の評価を獲得している。ここに気づければ、オーパなどがミニバンに対抗するゲームチェンジャーになれた可能性はあるだろう。

 それでも、新たなカタチを提案してきた各車は、現代につながる自動車の礎を築いてきた。人気のカタチに縛られない自由な発想から生まれるクルマの存在は大切だと思う。オーパ・マークXジオのようなチャレンジには、改めて敬意を表したい。

【キャンペーン】第2・4 金土日はお得に給油!車検月登録でガソリン・軽油7円/L引き!(要マイカー登録)

こんな記事も読まれています

[ホンダ CR-V e:FCEV]って燃料電池車の中でダントツに完成度高くない?
[ホンダ CR-V e:FCEV]って燃料電池車の中でダントツに完成度高くない?
ベストカーWeb
藤トモ「三菱の歴史を感じる一台」パジェロ登場! オフローダーの注意点は? 【グー鑑定団】
藤トモ「三菱の歴史を感じる一台」パジェロ登場! オフローダーの注意点は? 【グー鑑定団】
グーネット
【ポイントランキング】2025年WRC第2戦ラリー・スウェーデン後
【ポイントランキング】2025年WRC第2戦ラリー・スウェーデン後
AUTOSPORT web
三菱のコネクティッドサービスが進化!KDDIと開発した新スマホアプリを導入
三菱のコネクティッドサービスが進化!KDDIと開発した新スマホアプリを導入
グーネット
R’Qs MOTOR SPORTS、2025年もメルセデスでスーパーGT参戦へ。庄司雄磨が第4ドライバーに
R’Qs MOTOR SPORTS、2025年もメルセデスでスーパーGT参戦へ。庄司雄磨が第4ドライバーに
AUTOSPORT web
初勝利まであと3.8秒。勝田貴元が2位表彰台獲得「まだ勝つ準備ができていなかった」/WRCスウェーデン
初勝利まであと3.8秒。勝田貴元が2位表彰台獲得「まだ勝つ準備ができていなかった」/WRCスウェーデン
AUTOSPORT web
アウディ 新型「A5/A5アバント」シリーズ日本導入!限定モデルも同時発売!
アウディ 新型「A5/A5アバント」シリーズ日本導入!限定モデルも同時発売!
グーネット
自宅のような快適空間!新型「ディスカバリー1」 充実装備のフルサイズキャブコン
自宅のような快適空間!新型「ディスカバリー1」 充実装備のフルサイズキャブコン
グーネット
勝田貴元が首位浮上も、リード守り切れず。僚友対決を制したエバンスがWRCスウェーデン優勝【最終日レポート】
勝田貴元が首位浮上も、リード守り切れず。僚友対決を制したエバンスがWRCスウェーデン優勝【最終日レポート】
AUTOSPORT web
【最終結果】2025年WRC第2戦ラリー・スウェーデン パワーステージ後
【最終結果】2025年WRC第2戦ラリー・スウェーデン パワーステージ後
AUTOSPORT web
マツダ タイでの生産を強化 新型バッテリーEV「マツダ 6e」含む5車種投入へ
マツダ タイでの生産を強化 新型バッテリーEV「マツダ 6e」含む5車種投入へ
グーネット
こっそり決定!? ベストカーで選んだ[クルマ]流行語大賞
こっそり決定!? ベストカーで選んだ[クルマ]流行語大賞
ベストカーWeb
日産 リーフの車検費用|内訳や安くおさえる方法、車検業者選びについて解説
日産 リーフの車検費用|内訳や安くおさえる方法、車検業者選びについて解説
グーネット
トヨタ カローラ アクシオ/フィールダー 10月末での生産終了を発表
トヨタ カローラ アクシオ/フィールダー 10月末での生産終了を発表
グーネット
アシモが導く未来のホンダ【石井昌道の自動車テクノロジー最前線】
アシモが導く未来のホンダ【石井昌道の自動車テクノロジー最前線】
グーネット
GT-Rには負けられねーんだわ!!! 完全刷新で「911最速の座」へ ポルシェ911ターボ(991型)試乗プレイバック【ベストカーアーカイブス2013】
GT-Rには負けられねーんだわ!!! 完全刷新で「911最速の座」へ ポルシェ911ターボ(991型)試乗プレイバック【ベストカーアーカイブス2013】
ベストカーWeb
次世代「ケンメリ」完成! 日産「V35スカイラインクーペ」がベース…サーフラインやロゴの作り込みに「日産京都自動車大学校」生徒のこだわりを見た
次世代「ケンメリ」完成! 日産「V35スカイラインクーペ」がベース…サーフラインやロゴの作り込みに「日産京都自動車大学校」生徒のこだわりを見た
Auto Messe Web
目立った弱点ナシ? オペル・グランドランド・エレクトリックへ試乗 静かで滑らか 航続511km
目立った弱点ナシ? オペル・グランドランド・エレクトリックへ試乗 静かで滑らか 航続511km
AUTOCAR JAPAN

みんなのコメント

14件
  • マークXジオは芋虫みたいでかっこ悪かった。
  • 一昔前の資金力のあったトヨタが隙間隙間を狙って車種を増やしてた時ですね
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村