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「R32スカイラインには4気筒エンジン搭載モデルがあったんです!」幻の変態グレード1800GXiと遭遇【ManiaxCars】

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「R32スカイラインには4気筒エンジン搭載モデルがあったんです!」幻の変態グレード1800GXiと遭遇【ManiaxCars】

「やっちゃえ」でなく「やっちゃった」日産

人呼んで“幻のR32”とはコイツのことだ!

「R32スカイラインには4気筒エンジン搭載モデルがあったんです!」幻の変態グレード1800GXiと遭遇【ManiaxCars】

日産が最も勢いづいていた1989年5月、8代目スカイラインR32が登場した。R32というとRB20DET搭載のGTS-t/同タイプM系と、3ヵ月遅れで登場したGT-Rが“花形”で、正直それ以外のグレードは陰のような存在…と言っても反論する人はいないだろう。その筆頭が、4ドアセダンのみに用意された1800GXiだ。

まず、R32シリーズで唯一、4気筒のCA18iを搭載しているのがポイント。末尾の“i”から察しがつくように、シーケンシャル噴射のマルチポイントインジェクションがすでに当たり前になっていた時代、シングルポイントインジェクションを採用しているのが変態で、しかもSOHCなのである。それが、日産を代表するスポーツモデル、スカイラインの1グレードに搭載されていたという事実に変態グルマ好きは思わず萌える。

さらに4速ATの他、5速MTもちゃんと用意されていたのが変態度をより高めているわけで、ただでさえ1800GXiを捕獲するのは困難な状況だというのに、取材車両がそのまさかの5速MTモデルだったことに運命を感じた。ちなみに、GTS以上のグレードは2~3速のシンクロがダブルコーン化されているが、GXiとGTEは2速のみダブルコーンシンクロだったりする。

外装は、細いタイヤと樹脂製ホイールキャップが織りなす微妙な足元に目が釘付け。ゆえに全体の印象がすごく貧相なのだが、それがエクステリアにおける1800GXiの全てであり、R32シリーズの異端児としてのアイデンティティでもあると思う。

リヤワイパーレスでフルオートパワーアンテナを持つのが、上位グレードに対するGXiとGTEの外観上の特徴。その上で、ウインドウが無着色ガラスのGXiに対して、GTEはブロンズまたはグレーガラスとなるのが違いだ。

GXiは鉄チンホイール+ハーフホイールカバー+165SR14タイヤが標準だが、オプションでGTEの標準と同じフルホイールカバー+185/70R14を選ぶことができた。取材車両がまさにその仕様で、オプションのタイヤと同サイズのミシュランエナジーセイバーを装着。

ミラー面の電動角度調整機能は付くが、電動格納機能はメーカーオプションとなるサイドミラー。ボディ同色となっているのが、せめてもの救い。

ラジオのスイッチを入れると伸びてくる、左リヤフェンダーに設けられたフルオートパワーアンテナ。これもGXiとGTEのみの装備で、それ以外のグレードではガラスアンテナが標準装備となる。

大きなメインサイレンサーから生える細いテールエンドがリヤビューのアクセントとなる純正マフラー。交換歴は確認できなかったが、貴重であることは間違いない。というか、アフター品に交換しようにもGXi用はどこのメーカーにもラインナップがないだろう…。

室内に目を移す。ダッシュボードは、メータークラスター両サイドのサテライトスイッチが時代を感じさせる。基本的なデザインは上位グレードと変わらない。ステアリング調整はチルトのみで、GTS以上に備わるテレスコピック機能は省かれている。メーターはスピード&タコメーターを中心に、右側に油圧計と水温計、左側に電圧計と燃料計が配置される。

センターコンソールは上からマニュアルエアコン操作パネル、純正AM/FM電子チューナー、アフター装着したグラフィックイコライザー付きカセットデッキ、灰皿&シガーライター。スピーカー数は2つで、GTE以上は4スピーカーとなる。ちなみに、カセットデッキは完動品で今でもたまに音楽を聴いているそうだ。

生地の違いはあっても、形状そのものは上位グレードと同じ(と思われる)シート。サポート性は良好だし、前後別に座面の高さを調整できるなど手抜き感は一切ナシ。というか、クッションのヘタリを感じなかったことに驚いた。後席は今時のセダンに比べると狭いが、大人ふたり分のスペースを確保。格納式センターアームレストも備わる。

取材車両で、なぜかものすごく高い装着率を誇るのが純正フロアマット。「よく残っているなぁ」と感心することしきりだ。このGXiも例に漏れず、SKYLINEの赤いロゴを確認。程度も非常に良い。

そして試乗タイム。運転席に座り、そそくさとポジションを合わせて出発する。カタログ値91ps/14.5kgmのCA18iだが、アイドリングでクラッチを繋げばスルスルと走り出し、2000rpm前後のトルク感も十分。そこからアクセルを踏み込むと4気筒とは思えないほどのスムーズさでエンジン回転が上昇し、5500rpmくらいまでシャープに吹け上がる。フィーリングは非常に良い。

それ以上に感心したのが、何とも軽快な身のこなし。車重はGTS-t/同タイプMより170kgも軽い1120kgしかなく、しかも前軸重590kg、後軸重530kg…前後重量配分は53:47とFR車としてなかなか優れたモノだったりする。

その車重と前後重量配分に4輪マルチリンク式サスが加わるのだから、ハンドリングが軽快なことにも納得。オーナーいわく「若い頃、コレで峠に行ったりもしました。パワーがないので上りはどうしようもなかったですけど、下りは結構速かったですよ」とのこと。

ただの廉価グレードでなく、R32魂がシッカリと息づく1800GXi。やはりスカイラインの血統は伊達じゃないのだ。

スカイライン1800GXi
車両型式:FR32
全長×全幅×全高:4580×1695×1340mm
ホイールベース:2615mm
トレッド(F/R)1460/1460mm
車両重量:1120kg
エンジン型式:CA18i
エンジン形式:直4SOHC
ボア×ストローク:φ83.0×83.6mm
排気量:1809cc 圧縮比:8.8:1
最高出力:91ps/5200rpm
最大トルク:14.5kgm/3200rpm
トランスミッション:5速MT
サスペンション形式(F/R):マルチリンク/マルチリンク
ブレーキ(F/R):ベンチレーテッドディスク/ドラム
タイヤサイズ(F/R):165SR14

●TEXT&PHOTO:廣嶋健太郎(Kentaro HIROSHIMA)

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みんなのコメント

70件
  • 「変態グレード」とはオーナーになった方に対して失礼だと思う。当時はそれなりの数が走っていました。また、同じ頃の80系のマークⅡ(セダン)やチェイサーにも1.8ℓのグレードが同じようにありました。「予算の関係」「ディーラーとの付き合い」「性能的・装備的にこれで十分」などという消費者のための設定だったと思います。何より、今では考えられないほどの幅広いエンジン設定ができたことが素晴らしいですね。
  • エンジンルームの違和感がスゴくて笑ってしまう。
    フロントミッドシップに片足突っ込んでるね。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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