■もはや伝説的な限定車となった「インプレッサ 22B-STiバージョン」を振り返る
イギリスのレーシングカーコンストラクターで、かつてスバルがWRCに参戦した際にタッグを組んだプロドライブ社が2022年5月25日(現地時間)に、コンプリートカーの「P25」を25台限定生産することを発表しました。
【画像】超ゴツいフォルムがカッコイイ! スバル「インプレッサ 22B-STiバージョン」を見る(21枚)
発表によるとP25は、1998年に400台限定で発売されたスバル「インプレッサ 22B-STiバージョン」をベースに、最新技術によってモディファイされたモデルで、現在判明している情報では最高出力400馬力以上を発揮する2.5リッター水平対向4気筒エンジンを搭載し、トランスミッションはパドルシフトの6速セミAT、さらにボディはカーボンファイバーを多用して軽量化されるとのことです。
このP25のベースとなるインプレッサ 22B-STiバージョンは、今や伝説的なモデルと知られていますが、どんなクルマだったのか振り返ります。
※ ※ ※
スバルは1992年に、「レガシィ」の下位に位置するモデルとして初代「インプレッサ」を発売。
4ドアセダンと、ステーションワゴンの「インプレッサ スポーツワゴン」をラインナップし、トップグレードにはハイパワーな水平対向4気筒ターボエンジンとフルタイム4WDを組み合わせた「WRX」を設定し、セダンのWRXは世界ラリー選手権(WRC)に出場することを想定して開発されていました。
インプレッサ WRXは市販車をベースとしたグループAカテゴリーで戦われるWRCで活躍したことで、スバルのイメージアップに貢献し、国内外で高い人気を誇りました。
その後、1997年からWRCのレギュレーション変更により、改造範囲が広がった「WRカー」による戦いとなり、スバルは2ドアクーペの「インプレッサ リトナ」をベースにした「インプレッサ ワールドラリーカー97」で参戦。
このワールドラリーカー97をSTI(スバルテクニカインターナショナル)の手によってストリート向けに再現したコンプリートカーが、2ドアクーペの限定モデル「インプレッサ 22B-STiバージョン」です。
外観はワールドラリーカー97を可能な限り忠実に再現するため、前後をブリスターフェンダーとしたワイドボディ化。フロントフェンダーは新規でプレス型が製作され、リアはノーマルボディのボディパネルを溶接部から剥離し、手作業によってワイドボディのパネルが取り付けられました。
同時に専用の前後バンパーと2段階の角度調整が可能なリアウイング、専用のアルミ製ボンネット、大型サイドアンダースカートを装着し、よりアグレッシブなフォルムへと変貌を遂げました。
なお、ボディサイズは全長4365mm×全幅1770mm×全高1390mmと、全幅はベース車よりも80mmワイドです。
内装ではインパネとドアショルダーパネルがマットブラック処理され、シートはWRXと同等の形状ながら専用のトリムカラーとし、バックレストにはSTIのロゴマークを配置。001/400から始まるシリアルナンバープレートがコンソールボックスに装備されました。
エンジンも専用に開発された2212cc水平対向4気筒ターボ「EJ22改」を搭載し、「インプレッサ WRX STiバージョンIII」用タービンが装着され最高出力280馬力を発揮。ほかにも鍛造ピストンや高剛性シリンダーブロックなどが採用されていました。
トランスミッションは5速MTのみで各ギアは表面処理によって強化され、クラッチはセラミックメタルのツインプレートを装着。クラッチは容量アップというだけでなく、WRカーのドライブフィーリングを再現したといいます。
ワイドトレッド化したサスペンションはビルシュタイン製倒立ダンパー、アイバッハ製スプリングが奢られ、ホイールはBBS製17インチホイールに235/40ZR17のピレリP-ZEROタイヤを装着。
ステアリングは13:1のスーパークイックステアリングギアボックスで、ハイグリップタイヤとチューニングサスペンションと相まって、シャープなハンドリングを実現し、ブレーキもフロントが16インチベンチレーテッドディスク+対向4ピストンキャリパー、リアは15インチベンチレーテッドディスク+対向2ピストンキャリパーが装着され、ストッピングパワーを向上。さらにキャリパーをレッド塗装としたことで、足元をレーシーに演出していました。
インプレッサ 22B-STiバージョンはSTI謹製のコンプリートカー第1弾という歴史的なモデルで、エンジンからシャシに至るまで総合的にチューニングされ、後のモデルにもコンセプトが継承されています。
なお、当時の価格は500万円(消費税含まず)と高額でしたが、即完売し、今では新車価格の数倍の値段で取引されています。
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