今年に入って、IT大手アップルが作る電気自動車(EV)、通称「アップルカー」を製造するにあたって複数の自動車メーカーに打診しているといった報道が世間をザワつかせている。
しかし、このアップルカーについてはメディアによる勝手な憶測で混乱が起きていることがあって、その存在が謎のようになっている。とはいうものの、最近の報道のように、アップルカーは自動車メーカーとの協力で作られるということなのか?
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あまりにも存在が見えてこないアップルカーだが、そもそもアップルはクルマを作る気はあるのだろうか? モータージャーナリストの桃田健史氏が解説する。
文/桃田健史 写真/bennymarty@AdobeStock、TOYOTA、NISSAN
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■情報錯綜で真実見えずのアップルカー
アップルは本当にクルマを作っているのか?(Sundry Photography@AdobeStock )
直近でアップルカーが大きな話題になったのは、2021年1月だ。
アメリカや韓国のメディアが、「韓国ヒュンダイがアップルカーを受注生産」と報じたが、その直後に、一時は事実関係を認めていたヒュンダイが一転して本件に対する情報開示を止めた。
また、一部報道ではアップルが日産などにもEV生産を打診したとも言われた。
本件についての事実関係を確認しようと、ドイツ人記者が日産の今期第3四半期・オンライン記者会見の質疑応答で内田誠CEOに質問するも、内田氏がはっきりと否定しなかったため、これまた大きな話題として報道された。
こうしたさまざまな報道があるのだが、本稿執筆時点(2021年3月中旬)ではアップルカーに関する噂は影を潜めている印象だ。
はたして、アップルカーは本当に現実的なプロジェクトなのだろうか?
確かなことは、アップルには同社がプロジェクト・タイタンと呼ぶグループがあり(各種報道では少なくとも数百人規模だという)、EVおよび自動運転車の研究開発を継続的に行っていることだ。
アップルのティム・クックCEOは、これまで米メディアのインタビューなどで、プロジェクト・タイタンについて詳細な社内体制は明らかにしていないが、その存在は認めている。
とはいっても、各種報道のようにアップルカー量産について情報は錯綜しており、プロジェクト・タイタンの出口戦略は謎のままだ……。
■アップルとクルマとの関係
カーオーディオをiPhoneとの連携させて使えるApple CarPlay(Chinnapong@AdobeStock)
では、改めてアップルがなぜクルマの領域に進出する動きを見せているのか、その背景からみていきたい。
2021年時点で、日本人にとってアップルのクルマとの関係をはっきりイメージできないのではないだろうか?
アップルといえば、まずiPhoneを思い浮かべるひとが多い。
そのiPhoneをクルマで使う方法として、「Apple CarPlay」があるのだが、はっきりいって日本ではあまり使われていない。
例えば、トヨタがインフォテインメント車載器で標準化を目指すディスプレイオーディオにもCarPlayが装備されているのだが、「若い世代を含めて、日本では欧米と比べCarPlayの認知度は高くなく、実際のCarPlayの使用率も高くない」(同分野のトヨタ関係者)という状況だ。
やはり日本では、カーナビの普及が世界のなかで先んじたことで、車載ナビに対する依存度がいまだに高い。また、若い世代では車載ナビではなくiPhoneのナビ機能を使う人が多いが、それをCarPlayを通じて車載器と連動させるという発想に結び付きにくいようだ。
そもそも、CarPlayというアップルの発想は、iPhoneの普及によって走行中にナビ、SNS、電話、音楽視聴などの操作をする人が増えてしまい、安全な運転に支障をきたすことへの配慮であった。
さらに、もうひとつのポイントは、iPhoneの車内への「ブロードイン(持ち込み)」という考え方だ。これは、日常生活でiPhoneを多用化することが人々にとって当たり前になっていくなかで、クルマの運転中はiPhoneとユーザーとの関係が途切れてしまうことを回避する、ということ。
車内に「ブロードイン」してCarPlayと接続することで、クルマ全体がiPhone化するという発想だ。2013年のアップル年次開発者会議で「iOS in the car」として公表され、2014年にCarPlayとして量産された。
その結果として、ユーザーの移動に関するデータが地図情報と連動し、いわゆるビックデータとしてアップルの貴重な資産となるのだ。
こうしたビックデータ最優先のビジネスモデルのなかで、そこから一歩先に踏み出したのが、クルマ本体というハードウエア分野への進出計画。
それが、プロジェクト・タイタンである。
■アップルはアップルカーを自社生産しない?
2010年代後半、ミニバンを使った公道実験車がみかけられたアップルの本拠地のあるクパチーノ市(Newport Coast Media@AdobeStock)
プロジェクト・タイタンが表舞台に出てきたのは2010年代後半だ。
シリコンバレーの各種IT系企業や、自動車メーカーの電動化技術者がアップルにヘッドハンティングされ、クライスラーのミニバンを使った公道実験車がアップルの本拠地であるクパチーノ市や、そこからほど近いスタンフォード大学があるパロアルト市などの周辺で目撃されるようになった。
同時期に、グーグル(現在の親会社はアルファベット)も、いわゆるグーグルカーである自動運転車で公道実験をシリコンバレー周辺で活発に行うようになった。
こうしたアップルカーにしても、グーグルカーにしても、アップルもグーグルも自社で完成車を仕立てるという発想はない。そもそも、彼らのビジネスモデルは、事実上の自社工場を所有しない、ファブレス企業なのだから。
そのためアップルカーでは、研究開発と商品企画をアップルが行い、部品製造と車両最終組立てを既存の自動車メーカーに依頼する可能性が高い。
依頼相手を探すなかで、各種報道のようなメーカー名が出てきているのだろう。
アップルとしては、アップルカーでもiPhoneのように、アップル独自の世界感でのブランド戦略を進めながら、そこから得られるビックデータを活用した、次のビジネスに結びつけたいところである。
どの自動車メーカーといつ手を組むのか、アップルの今後の動きを注視したい。
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みんなのコメント
世界中にいるiPnoneユーザー10億人の個人データをもとにその1%をターゲットにするだけでトヨタ越え、0.1%でもテスラは超える。GAFAってそうゆう思考で生きてる連中。
それよりもっと目先のGoogleやAmazon、iPhone組立で有名な鴻海(FOXCONN)、携帯のシャオミの自動車参入を注意したらどうか。他にもEV化で参入する企業は多い。既存の自動車会社もうかうかしていると製造会社に落ちぶれる。最終的に作るのは自動車製造工場を持っている会社だからだ。仮に新規組が自前の自動車工場を新設するにしても既存の工場から支援を仰ぐか買収する事になるだろうから。1から自動車を開発する酔狂な会社は無いよ。